盗まれた子どもからの手紙

1997年11月22日(土)
盗まれた子ども─男の子─からの手紙を受け取った父。
はがきの大きさのノートの切れ端に、命懸けで書かれたものだ。露見したら死刑だ。誰の目にも触れないやり方で。少年が消えても誰も気づかない。
少年は皆と一緒に教室で一言も発せず目を見開いて教師を見つめ、動きを悟られぬように文字を書いていった。
父親は、命を懸けて通信した子どものために、自分のために、息子を取り戻そうと決意した。
完全な闇の世界のどこに密告者が潜んでいるかわからない。父親は勇気をもって慎重に行動しなければならない。

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