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川の写真と火事

1997年7月11日(金)
「わたしが幼いころの川」と「いまの川」と「幼かったころといまの間の川」の写真3枚を贈られた。淡い色のフレーム。白とピンクと青で、どの写真がどの色のフレームだったかは忘れた。

「いま」の写真には草が貼りつけられていた。

よく晴れて乾いた冬の日の川景色は、ごみで岸ができていた。
なぜこんなにゴミが?
わからないまま写真を見ているうちに思い出してきた。確かに、護岸工事する前の川はゴミだらけだった。

「いま」の川の写真にゴミは写っていなかった。草がよく生えている。ただ、川岸がガクンと落ち込んでいて、これはあまり喜べない。

帰ると家が火事だった。障子が閉まっていたが、勢いの強い黄色の炎がわかった。燃えている臭いもした。でも、隣近所は気づいていない。大変だ。
大変なのだが、自分の家だけが燃えることは、跡形もなく消え去ることは、いいことのような気がした。ほっとするような。

部屋は、黄の光が満ちて、整然と鎮まっていた。
火は消えていた。電気系が燃えた臭いだけが残っていた。

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