つばめとすずめ

「ほむほむのふむふむ」を聞いたからだろうか、うたを詠んでしまった。
二首。

こんな字さえいとおしかった 冷蔵庫から剥がして破り捨てたメモ

マザコンのうた。
健全な愛着が形成されなかったため、わたしは母親に執着している。
「母親に愛されなかった男は誰からも愛されない」
北方謙三さんがラジオで。反射的に、男だけじゃないよ、と思った。

きのう夕空で鳴くものがあり、そちら、東南を見やると、つばめだった。愉快そうに見えた。今年はじめての姿にわたしは喜んだ。
瞑想をしてみた。目をつむると今しがた見たつばめが懐かしく浮かび、ほほえみが。するとしあわせなのか、涙が。涙は左目から主に流れてほおを伝った。つばめが「グリーンマイル」のすずめに変わった。あの俳優さんの名を、わたしは知らない。俳優ではないから、わたしには、あの人はあの人。あの人、すずめ、わたし──塞き止められていた涙。

noteに「見ろ」を出したら、頭が痛くなった。涙滂沱。
YouTubeのサムネイル一番上の左にこの前聞いた歌が、別の柄で出た。この前は簡単な「へたくそ」な絵が気になって見てみたんだ。歌だった。英語だからわたしにわかったのは、♪ヘーイ ヘーイ イッツ オーケイだけ。聞いてて朗らかになる声が心地よかった。今度のは目を引くオレンジの髪の女性が見えた。同じ歌なんでしょって、聞いてみた。アニメとはまた違っておもしろかった。検索したら、Corookさんというんだ。有名なんだろうが、わたしは知らない。歌詞の翻訳を読んだら、あら、まあ、正気への剣呑な道を歩むわたしに届くべきうた。

だるい動きたくない動けない
もう精一杯やったしんどすぎるもういいよ もういいよ
破壊衝動が募る。誰かに危害を加えたいんじゃない、物を壊したいんじゃない、でも破壊衝動はあるから、自分を破壊するしかないんだ。もう終わりにしてくれ。

わたしが殺したくて、殺しても飽き足らないのは、抹殺したいのは、存在を無にしたいのは、わたしを生んだ二人だが、違うんだ。あの瞬間、あの時の、あいつらで、そのあいつらが時間のない「夢の島」で堆積したあいつらだ。手で掴むことができない幻影

そんな親殺せばいい と言う声に そうですねとわたしは答えた

堆積の幻影──に考えが至ったとき、岡田斗司夫先生の声が言った。特別な感慨もなく反射的に、そうですね、と返事している自分をわたしは眺めていた。

芹沢俊介さんの「母という暴力」という本がある。読んだとき30くらいになっていたろうか。あの時のうれしさと感謝の念がほんのりよみがえる。

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