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小説 のだくん9

人は紙一重の存在らしい。
運命や天命は多少はある。が大抵の場合、個人の心掛けと行動で善くいきることはできそうだ。

のだくんの毎日は、引きこもり時代と大分変わった。

朝新聞配達に走り、学校に通い、ボクシングで殴りあい、夜は尾崎豊を歌った。

あっという間に月日は流れた。
もう卒業式が迫っている。

いくつかの伝説を話そう。
のだくんは学校で一目をおかれていた。
それは三冠王を手にしたからである。
その三冠とは?
その3つとは怪力王、エロ王、天然王である。
怪力はまえに話をした通りである。
腕相撲は学校一だし、ゴールポストを一人で運んだこともある。体育祭の全5組、綱引き大会。のだくんがいない時ビリだって組が、のだくんが加わることで一番になった。

エロ王とは何か?それは、悲しい現実に基づくものである。皆さんの知っての通り、のだくんは新聞配達をしていた。これはボクシングの体力をつけるためのものだった。しかしそこに金という副産物が残った。最初は友達にご飯をおごったりした。そして貯金もした。 だが残念ながらのだくんの一族は変わり者が多かった。野田家の父シゲハルの兄キオハルは、かなりの変わり者である。一言でいえばヤクザである。がヤクザといっても堅気のヤクザみたいなよく分からない感じの人である。そのキオハルの口癖が、宵越しの金は残さない、だ。のだくんは、その言葉を馬鹿のひとつ覚えに実践した。つまり次の日になる前にエロビデオを買いだめした。そうしてのだくんの部屋はアダルトビデオショップになった。100以上の品揃えで同級生は勿論、下級生までレンタルショップにかけつけた。噂は噂を生んで別の学校から勃起した学生が訪れた。これがエロ王と呼ばれる所以である。

天然王とは、言うまでもないが言う。
とりあえずのだくんは、阿保である。
その阿保も天下がつくほどである。数字で表すと学年トップ(下から)を3年間守り抜いたのものだくんである。
あと女の子にもてたいあまりに全裸になってしまうのも天才的野性本能(煩悩?)が現す奇跡である。
学校の授業中に猪木の物真似をしたのも、テスト中漫画を書いて先生にビンタされたのも、会話の節々に天然的宝石が散らばっているのものだくんを天然王にした所以である。

こうして最高に楽しい学生生活は終わろうとしていた。復讐しようとしていたヤンキーは一番の友達だし、自信もついた。のだくんは15歳になるが、進学でなく就職をするつもりであった。

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