パキ・パキ

創作大賞ファンタジー小説部門に応募しています。締め切りまでに2万字だけでも上げるように…

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創作大賞ファンタジー小説部門に応募しています。締め切りまでに2万字だけでも上げるようにします。

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継がれる魔法 〜曇りところにより片頭痛、気づいたら異世界〜 第4話

ドラゴンは依然としてその強大な力を振るっている。1つの国を攻め落としたことで消耗していた連合軍は、突如現れた圧倒的な生物に対して全くの無力だった。  ドラゴンに対抗する術を用意していなかった連合軍はジリジリと着実に撤退まで追い込まれていた。 「クソッ! 何故伝説の幻獣がここにいるんだ!?」  ある兵士が怪我をした仲間の一人に肩を貸しながら悪態をつく。 「はは……。僕もノン・フォンジオーナをこの目で拝む日が来るとは夢にも思ってませんでした。なんせ、子供の頃母親に読み聞か

    • 継がれる魔法 〜曇りところにより片頭痛、気づいたら異世界〜 第3話

      「君たちには、これから私の国へ来てもらう。もちろんずっと居ろとは言わない。元の世界に帰る方法が見つかるまででいい」 異世界の国ウォークの第三王女、エウレナ・ブルー・オールト。彼女から告げられた言葉はまるで宣言であるかのように果断だった。少なくともコウトにはそう感じられた。  しかし、鏡はかえって理不尽さをおぼえたようだった。 「信じられないな。俺たちをこの世界に喚んだ奴は俺たちを利用しようとしていた。あなた達もそうでないという理由がない」  鏡は抱いた不信感のままやや食

      • 継がれる魔法 〜曇りところにより片頭痛、気づいたら異世界〜 第2話

        「私達、異世界転移しちゃったみたい」  嬉しそうに微笑みながらそう言ってのける目の前の女性にコウトはへー、そうなんですねと中身のない返事しか返せない。 「信じてない? まぁ無理もないかぁ」 「信じてないっていうか、信じられないっていうか……」  女性は目の前で少し落胆した様子を見せながら、洋画などで見かける銀色の少し湾曲した水筒、スキットルのようなものを差し出してくる。 「これ、中身は水ね。2日間も寝てたから喉乾いたでしょ?」 「2日間も」  さらりと告げられた

        • 継がれる魔法 〜曇りところにより片頭痛、気づいたら異世界〜 第一話

          ――寒い。 ――寂しい。  五感が失われ意識が少しずつ薄れゆくなかで、それでもしっかりと感じる凍え。  男はその中で自分の内側にある願いを自覚していた。  それは長い間、胸のうちにあったもの。  それは消滅の間際でようやく気づくことができたもの。  走馬灯のように脳裏をよぎる光景の数々は、日の当たらなかった多くの時間ではなく消滅の間際に一度だけ他人の生と交差した時間ばかり。  彼はこれからこの世界に連れられて来る【転移者】をこの世界で運用するため、人柱としてある国

        継がれる魔法 〜曇りところにより片頭痛、気づいたら異世界〜 第4話