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コロニス 鴉の伝えるものは?~ギリシャ神話美少女シリーズ~

 今回の美少女はコロニス。テッサリアのラリッサの領主プレギュアスの娘で、テッサリア全土で彼女ほど美しい乙女はいなかった、と言われます。
 その美しさに惹かれた太陽神アポロンに愛されていましたが、アポロンの使い鳥を務めていた白鴉から他の男と会っているという密告があり、これを聞いて逆上したアポロンは必中の弓矢を彼女の胸に放ってしまいます。

 浮気と聞いたら即殺害する。恐ろしいです(しかも間男ではなく恋人の方を)。
 なお鴉の報告については、本当に浮気していたという説と、誤報だったという説とがありますが、後者の場合真相を確かめもせずに生命を奪ってしまった短慮が酷いですし、前者の場合(『変身物語』ではこちらを採用)でも、アポロンは殺めた直後に自分の軽率さを後悔していますから、やはりこの神様、残念さも相当なものです。
 こんなことをすると知れていたら、いくら神々きってのイケメンだからといって恋人になりたい女性もそういないわけですね。

コロニスと白鴉

 ということで、縁のある鴉とともに。「白いカラス」を生成させるのは苦労しました。アルビノとして自然界にも稀に存在しますが、なかなか見かけないのでAIの収集するデータにもなかなか見つからないのでしょうか。

 アポロンの矢に射貫かれたとき、コロニスは「せめてお腹の子を生んでからでもよろしかったのに……」と言い残して事切れたといいますから、その時点で妊娠していて、しかも臨月も間近だったと考えられます。
 ということで、妊婦姿で描いた1枚です。未だ悲劇が起こる前ですが。

アスクレピオスを身ごもっているコロニス

 お腹の子は彼女が息絶えた後に胎内から救い出され、ケンタウロス族の賢者ケイロンのもとで育てられることになります。これが名医にして、死後は医術の神として祀られるアスクレピオスです。へびつかい座として夜空を飾っています。

 なお報告した白鴉は罰として羽根を真っ黒に変えられてしまいます。誤報ならまだしも、真実を告げたのであれば、アポロンも自分の迂闊さを棚に上げて八つ当たりしたも同然であり、これも酷いです。忠義立てのつもりの行動が気に入らなかったということでしょうか。


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