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【詩】影を追う、しぐさ

片方の眼を
つむっている

世界は半分には
ならないけれど
裏切りの先にある
失望の影は
つむっている方の眼で
見えるはず
覚悟もなく
誘っていても
拒否していても
見えているものが
すべて

   その距離を測れず
   震えるままに立ち尽くす
   こころは言葉のはるか遠くに消え
   無表情に固まった顔でさえ
   自分のものではない

くちびるの前で
人差し指をたてる

拒絶なのか誘いなのか
言わないこと
言えないこと
当たり前のことに
気づいて
しめたと思うまもなく
置き去りにされてしまう
指し示されたあやまちに
振り返る時間の長さが
締め付ける

   どうしようもない日が
   どうしようもなく
   過ぎて行き
   欲望が人の目をくらくする


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