見出し画像

クアラルンプールで英語を学ぶ 2

British CouncilでIELTSを勉強しながら英語と日本語について考えていたら、随分前の天本英世さんとの会話を思い出したので、その事を書きたいと思います。
 
代々木公園駅にあるミスタードーナツで隣り合わせに座っていたからか、二人で話し始めました。何気ないことから天皇についての話になり、20代の私は特に主義主張もなく、大した考えもなく日本に天皇がいてくれて良かったと言ったのです。そしたらそれまで和気あいあいと話していた天本さんが声を荒げて激怒したのです。
「君は戦争でどれほど多くの僕らの仲間が死んだのかを知っているのか?昭和天皇はその責任を取っていない。僕がどんな気持ちで乞食として生きているのか分かるのか?」と怒鳴ったのです。あまりの驚きと怖さで私は泣き出してしまいました。話の殆どは忘れましたが、戦争、天皇、乞食の言葉は強烈な印象として残っています。
後から調べて、天本さんは徴兵時の経験から国家に対して反骨志向があった方だと知りました。独学で勉強してスペイン語を話されたことも知りました。
 
なぜ突然この時のことを思い出したのだろう?
 
クアラルンプールは教育留学先として人気の都市だそうです。私が通う空手道場にも教育留学で来られた娘さんがいました。6年間滞在して、昨年末に日本の大学進学のため帰国されました。
インターナショナルスクールへの教育留学では3歳から入学出来る学校もあり、そのような年齢で教育留学されるご家族もいます。
 
英語が国際語であることは間違いなく、私は英語を話す日本人が増えて欲しいと思っています。英語を話すことで将来の選択肢が増えるとも思います。
留学で民族的、宗教的背景の違う人達と一緒に過ごすことも良い経験だと思います。
 
一方で、日本語が廃れていくのではないかと心配もしています。
例えば日本を海外へアピールする、国益に関わることを交渉する場合には、母語である日本語の豊富な語彙で考え組み立てて、それから英語で話す必要があるのではないかと思うのです。そうした言葉は説得力を持つのではないかと。
海外に向けて、天皇制について説明をする、戦争回避を交渉する場合には、日本の歴史を背景に日本語で考えることが必要な気がするのです。
 
例えば移民で成り立つアメリカは祖先の母語が違う人たちで成り立っているではないかとの反論を考えもするけれど、日本の場合はちょっと事情が違うような気がします。
 
天本さんの言葉遣いはとても強い言霊の力を持っていました。
その力が、思い出させてくれた気がします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?