危機管理と勇気と開き直り

危機管理においては「勇気」と「開き直り」がキーワードではないだろうか。
 
企業不祥事における危機管理対応では透明性(言い換えれば、「嘘や隠し事をしないこと」)が最重要だ。他方、これが最も難しく、多くの企業が危機管理対応を誤るのは、これ故である。
 
難しい理由は、企業としてはreputation(評判・風評・企業イメージ)が気になるからだ。reputationが経済性(売上等)に直結するからでもある。
 
ただし、嘘や隠し事をすると、顧客への説明の歯切れが必然的に悪くなる。また、一つ嘘をつくと、連鎖的に嘘の必要が生じて、説明や状況が複雑化する。(文書や証拠の捏造が発生したりする。)顧客側にとっては、発端の問題が発生した段階で、企業への不信感が生じているが、その後の対応が悪いと、不信感が増大することになる。
 
このため、「悪かった点は即座に、かつ洗いざらい認める」ことが重要だ。次いで、原因究明と再発防止の流れとなる。原因調査が徹底したものであり、再発防止策が効果的なものであれば、初期段階で失墜した信頼の回復は可能である。むしろ、当初より信頼が増大することは、しばしば見られることである。
 
透明性の確保に伴い、問題発生の初期段階における短期的な信頼の低下、経済的損失は、一定程度はやむを得ない。ただし、中長期的には十分以上に回復可能である。(ありていに言えば、「失敗は成功の基」となり得る。)危機管理対応においては勇気と開き直りが鍵と思う所以である。

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