M.Hosoi

メーカーの品質保証技術者としての経験が長くあります。中でも顧客クレーム対応を中心業務と…

M.Hosoi

メーカーの品質保証技術者としての経験が長くあります。中でも顧客クレーム対応を中心業務としてきました。この経験から、品質保証、クレーム対応、危機管理を中心に、色々と書いてみたいと思います。

最近の記事

企業と嘘(2)

企業が嘘をつくのは、個人が嘘をつくのと基本的に同じと思う。個人が嘘をつく理由は何かというと→以下の状況が起こったとする。 ① 何かしらの問題が起こる、(例:花瓶を割った。) ② それを人に言うと、何かしらの波風が立つ可能性がある。(例:怒られる。) ③ しかし、言わなければ、「絶対ばれない」と思われる。 このような時、人は、嘘をつきたくなる。 しかし、ここで嘘をつくのは、戦略的に間違っている。なぜかというと、短期的には、とりあえずの難は逃れられるけど、中長期的

    • ジャニー喜田川問題の本質

      ジャニー喜田川問題の本質は、詰まるところ以下ではないか? -才能・能力があるが、同時に人格・倫理性に大きな問題を持つ人が、世の中で成功し、かつ権力を得る。 -いったん権力をもつと、それを悪用(=アメとムチで周りをコントロール)し、さらに権力を拡大する。(悪循環が発生。) これにより、被害者(しかも大勢の)が生まれる。また、何か、社会の構造のようなものを、歪めてしまう。(例えば、芸能界であれば、健全な競争が失われ、機会均等が崩れる。) ジャニー喜田川の問題はペドフィリアであ

      • 企業と嘘(1)

        企業が「嘘」をつくのはよく見る風景だ。例えば、メーカーであれば、検査データーの数値を改ざんして、本来出荷してはいけない製品を市場に出荷したり。世間からすれば、「なんでそんなことするの??」という気持ちだと思う。 他方、企業の内側から見ると、「嘘をつけば物事が平穏無事に収まりそうだけど、つかない場合は、色々めんどくさいことが発生しそう」という状況になった場合、前者を取るということが、結構普通にあるように思う。これは、今まで複数のメーカーで品質保証業務(特に顧客クレーム対応)

        • 文春砲について思ったこと

          昨年来の文春砲により、芸能界の、構造的とも思わせる「闇」の部分の一端が垣間見えた。 セクハラはパワハラの一部だし、また、セクハラの背後には女性蔑視がある。つまり、セクハラがある場所には、背景としてパワハラや女性蔑視があると思う。これらは、突き詰めれば人権意識の低さである。 「芸能界は一般社会とは違うから、人権意識的の低さも、ある程度はしょうがない」みたいな意見もきいた。しかし、人権意識の低さは、ある種の暴力であり、どこであっても許されない。 また、芸能人にとって重要な資質のひ

        企業と嘘(2)

          危機管理と勇気と開き直り

          危機管理においては「勇気」と「開き直り」がキーワードではないだろうか。 企業不祥事における危機管理対応では透明性(言い換えれば、「嘘や隠し事をしないこと」)が最重要だ。他方、これが最も難しく、多くの企業が危機管理対応を誤るのは、これ故である。 難しい理由は、企業としてはreputation(評判・風評・企業イメージ)が気になるからだ。reputationが経済性(売上等)に直結するからでもある。 ただし、嘘や隠し事をすると、顧客への説明の歯切れが必然的に悪くなる。

          危機管理と勇気と開き直り

          羽田事故(本質は人為的ミスではない)

          私は前から、羽田空港で、ラッシュ時の電車並みとも思える間隔で、飛行機が離発着することに感嘆していた。 ただ、今回の事故から、このコントロールは、かなりの部分を「人」に依存しているらしいことを知った。色々な安全機構はあると思うが、コントロールのメインとしては管制官とパイロットの音声によるコミュニケーションを軸としているようだ。 製造業の品質管理業務に携わった知見を以下に書く。安全設計の前提は「人間の『不注意』を完全に防ぐことは不可能」だ。よって、「不注意があっても事故に至らない

          羽田事故(本質は人為的ミスではない)