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絵本探求講座第4回を終えて

 まだ暑いが続きますが、虫の声とともに秋の気配を感じる今日この頃です。
 7月26日(日)の絵本探求講座 第1期(ミッキー絵本ゼミ)第4回講座の振り返りをします。
①    グループワーク「読者年齢と絵本」の発表
 私は、3歳年の差の二人娘の育児経験を通して選書しました。

『はじめてのおつかい』
筒井 頼子 作  林 明子 絵
福音館書店/1977年04月01日


『あさえとちいさいいもうと』
筒井 頼子 作  林 明子 絵
福音館書店/1982年04月


『いもうとのにゅういん』
筒井 頼子 作 / 林 明子 絵福音館書店 1987年02月

☆選書の理由(読者年齢:4歳~5歳)
・長女は、ドキドキとハプニングの中、勇気を出して、牛乳を買いに行った『はじめてのおつかい』のみいちゃんと自分をいつも重ね合わせていました。林明子さんの絵は、みいちゃんの心の動揺がリアルに伝わってきます。長女は「牛乳くださあい」のページになると、いつも「牛乳くださあい」と大きな声で何度も言ってました。みいちゃんと一緒になって牛乳を買いに行っている気持ちになっていました。
4歳前後だったと思います。自分から「ひとりで牛乳を買いに行く」と言ってくれました。これをきっかけに、「牛乳以外で必要なものはないか」と聞いて、買い物に行ってくれるようになりました。
裏表紙の絵は、子どもの心に寄り添っていて、読後ホッとします。お母さんにケガした膝の手当てをしてもらって、片足はお母さんの膝の上に乗せて、買ってきた牛乳を飲んでいます。妹は、お母さんに哺乳瓶から飲ませてもらっています。お話の中で、みいちゃんがこけたこと、すぐに起き上がって、おつかいに行ったみいちゃんに憧れをもっていたと思います。長女は裏表紙の絵もよく眺めていました。みいちゃんの心の安定や安心感が溢れています。
・林明子さんの原画展で長女がほしいと言って選んだ絵ハガキが「牛乳くださあい」のシーンの絵でした。このシーンが大好きなんだなと感じました。
・長女は、寝る前に、この3冊を読んでほしいとセットにしてよく持ってきました。林明子さんの絵本は、遊び絵が忍ばせてあって、見つけるのが得意でした。林明子さんのユーモアも楽しく子ども心に響いていました。『あさえとちいさいいもうと』の中で、妹がいた公園で、立ちこぎでブランコに乗っている女の子はみいちゃんです。『いもうとのにゅういん』の中では、病院の自動販売機で牛乳を買っている女の子はみいちゃんです。みいちゃんをいつも確認していました。
☆【ミッキー先生の解説】
 この絵本の中には“お役に立ちたいという気持ち“と”お母さんを赤ちゃんにとられた寂しい気持ち“がある。昭和時代には、長男・長女がんばる絵本が多かった。最近では、ぎゅっとしてもらう、愛される側の絵本が人気。
 ミッキー先生のお子様は7歳違い。ご長男は一人っ子の時期が長かった。兄弟がいるから兄弟の本を持ってくるのではなく、お兄ちゃんになる絵本を持ってきた。お兄ちゃんになりたいということを絵本の中で高めていく、一人っ子であってもそのような絵本を与えてあげてほしい。
☆読書年齢について
 長女は、絵本の中のみいちゃんに、勇気をもらって、はじめてのおつかいにチャレンジできたと思います。絵本の力を感じます。小さな挑戦から自信を積み重ねていきました。自立が進むいいタイミングでこの絵本に出会えたことはよかったなと思います。お姉ちゃんとしての役目も果たしました。子どもを大きく成長させていくためには、経験をさせることは大事と感じます。
 私は、ミッキー先生の解説にあった”お母さんをあかちゃんにとられた寂しい気持ち”には、あまり気づいてやれず、おつかいにばかり焦点がいっていたように思います。そこのフォローをみいちゃんのお母さんがしてくれていたのかなと、裏表紙を見ながら感じました。

ブライアン・ワイルドスミスの絵本

 次女は、林明子さんの絵本は、よく一緒に聞いていましたが、長女ほどの興味を示しませんでした。同じように育てたつもりでしたが、マイペースで長女とは全然性格が違います。4歳~5歳のころ、一人でおつかいに行くこともありませんでした。次女が好きだったのは、ブライアン・ワイルドスミスの絵本でした。鮮やかな色彩の絵が大好きでした。文字を覚えるのも遅く、お話の世界というより、絵を眺めているのが好きでした。ブライアン・ワイルドスミスの原画展へ行った時は、好きな絵の前から離れませんでした。次女の描く絵は、鮮やかな色をたくさん使うので、小・中・高校で絵を展示してもらった時、遠くから見てすぐにわかりました。パレットに黒以外の絵の具を全色出し、下書きなしで絵筆を使って直接描きます。小さいころからこの描き方のスタイルは変わらないようです。現在、デザイン関係の仕事をしていますが、絵本の影響は大きいとよく言っています。自らページをめくって、何度も何度も見たお気に入りの絵本の色彩感覚が、脳裏に焼き付いているのでしょうか。色の感性が、独特です。今も絵本は好きです。読書年齢というテーマで絵本を語るのは、難しいなと思います。
 ミッキー先生は、「読者年齢と絵本」について、WHY・HOWを考える。どういう関係があるのか考えることが大切でどれも正解はないとおっしゃいました。
 
姉妹で興味を持つ絵本は全然違います。同じ環境で育てていると思っていましたが、長女には、”お姉ちゃん”であることを意識させすぎたかもしれません。次女の職業に繋がってくるとは、考えてもいませんでした。その子その子の目線で、興味を示したことに気が付いてやることが大切だと思います。我が家の場合、興味を持った絵本は違いますが、二人とも絵本が好きで、絵本から影響を受けていたことは確かといえます。絵本を通して、ちょうど30年前の子育て期の反省も含めて振り返ることが出来ました。

②グループ発表後のミッキー先生の解説メモから

『ちびゴリラのちびちび』
作 ルース・ボーンスタイン 訳 岩田みみ 
ほるぷ出版/2017年

 子どもも大人も幸せになる、変わらない愛情を描いている。子どもの心にささる迫力ある絵本。思春期に読んでもらいたい一冊。自我の確立・社会に問題提起・自分がどう生きていくか悩んでいる時、文学が支えになる。

『リーサの庭の花まつり』
作・絵 エルサ・ベスコフ 訳 石井登志子 
童話館/2018年


 文字量は多いが、ごっこ遊びの原型のような絵本で、2,3歳の子どもたちは、ベスコフの描く世界に入り込める。文字量では、対象年齢を判断してはいけない。絵本の描いている世界が、子どもの精神年齢とどうリンクしているか考える。

『おばけのバーバパパ』
作 アネット・チゾン、タラス・テイラー 訳 山下明生
偕成社/1972年

 家族なのに肌の色が違う。多様化が絵本に表れている。

『14匹のシリーズ』
作 いわむらかずお
童心社

 番号をつけないと判別がつかない。同種が当然という私たちの既定概念が絵本に表れている。日本的である。
オノマトペ絵本について 『もこ もこもこ』『だるまさんシリーズ』
 擬音語…犬の鳴き声のワンワンなど、実際に耳に聞こえる音を、それに似た文字で表現したもの
 擬態語…よちよち・きらきらなど、物事の状態や様子などを感覚的に音声化して表現する語。音ではない。多言語にはない。日本語に非常に多い。英訳すると動詞が変わる。
哲学絵本について 『りんごかもしれない』『わたし』『えんぴつびな』『10才のとき』『希望の牧場』『わたしが外人だったころ』
 当然と思っていること、疑問に思ったことを自分の頭の中で考える絵本。自分が迷った時、外側からの視点を与えてくれる絵本。
 抽象的な議論をする時、1冊の絵本を真ん中に置くと議論がかみ合う。共通基盤をつくるための絵本。絵本は、⑴すぐに読める⑵キーワード的に短くできる⑶絵の助けがある⑷フレーズを応用しやすい。
・戦争文学と反戦文学について
 戦争文学は、戦争という特殊な中でも人間はどう生きるべきか、哲学的問いを扱っている。
 反戦文学は、戦争は悪い。文学ではない。政治のプロパガンダになる。

 ゼミ4回目を終えて、また絵本を見る視点が増え、深い学びができました。ミッキー先生のコメントの中で、絵本の世界は奥深い!と感動したこと、この驚き・初心を覚えておくこと。今の自分と同じような人に絵本の世界を知ってもらうことを大事していきたいと思います。


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