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Biz研究『ドンキホーテ』急成長のヒミツにせまる!どうして売上げ1兆円を超えることができたか?

#ドンキホーテ #安田隆夫
#大原孝治 #圧縮陳列
#一兆円企業 #プロジェクトX

父の仕事のつながりで、このドンキホーテ創業者「安田隆夫」氏とは、何度かお会いしたことがある。記憶にあるのは、埼玉和光市にあるリーダーという会社。そこに父が頻繁に仕入れにいき、それに連れていってもらったためだ。

小売業は、1990年代のバブル経済から転落、そして米国からの規制廃止の流れにより青色吐息となる。それまで右肩上がりで、売り上げを伸ばしてきた小売業にも、暗雲が広がりはじめた。この時ほとんどの事業者は、どう生き残るかを探していたといえる。

ドンキホーテ創業者の安田隆夫氏。その経歴について見ていくこととする。1949年岐阜県大垣市に生まれる。地元の高校卒業後、上京し、慶応大学法学部にはいり、4年後卒業。小さな不動産会社に入ったが、不況ですぐに倒産してしまう。しばらくは麻雀に明け暮れていたようだ。しかし、29歳のとき一念発起。1978年東京杉並区で雑貨店を創業する。店名は「泥棒市場ジャスト」だった。

はじめた理由は、近くにあった質屋を参考にしたという。いつも店頭に座っている店主をみて、こんなに楽なら自分でもできると考えたようだ。だが、やってみると、販売の難しさをすぐ知ることに…。創業3ヶ月後には行き詰まってしまう。バイトを雇うわけにもいかず、一人店内で夜遅くまで作業する日々がつづく。

夜間店内で作業していると、客が入ってきたという。深夜0時まえを通った人物が、販売していると思い入ってきたようだった。そんなことが何回もつづき、安田氏は気づいた。「そうか!深夜販売をすればいいのか!」と…。

もともと朝が苦手の安田氏。営業時間を夜にシフトすると売上げが上がったという。さらに気をよくして、メーカーや問屋にいき、売れ残り品や見本品を安く仕入れることを思いつく。これが当たったという。

これで味をしめた安田氏。自分ではさばききれない商品を卸すことを考え、和光市に現金問屋をオープンする。当時ほとんどの問屋は掛け売りだった。販売して数ヶ月後に代金が支払われる仕組み。しかし、これだと回収リスクが多くなるうえ、手持ち資金の回転が落ちてしまう。利益率を下げても、現金払いにしてもらった方が、利益額が大きくなるのだ。

1989年、安田氏40歳のとき、「ドンキホーテ」1号店を府中にオープンした。この店の特徴は①深夜営業②圧縮陳列③手書きポップの洪水④権限の移譲⑤迷路なような店内。今までの小売の常識のすべて逆だった。「どこにあるかわからない!」「いつ来ても違うものが置いてある」「手の届かない天井近くまで商品で溢れている」といった具合である。それまでの小売業になかった「アミューズメント性」で客の心をとらえたと言っていい。

1993年に、大原孝治氏が入社する。このとき社員は、5名ほどだったようだ。大原氏、すぐに頭角をあらわす。独自の発想で、次々と売上げを伸ばしたという。安田氏の片腕となり、新規出店のたびに、立上げ店長として切り盛りすることに…。

2年後には、取締役営業本部長となった。大原氏の存在なくして、ドンキホーテの急成長あり得なかったようだ。業務の全てをPDCAサイクルで回していく。販売は、トライして結果をみる。これを毎日おこなう。仮説をたて、実際にやってみて、うまくいくかを試してみる。それを毎日続けていくということのようだ。

一例をあげれば、駐車場に一定の間隔で見にいき、車の流れをみていく。「右から入って右へ出ていく」 「右から入って左へ出ていく」それを見るという。社内も覗き、何か買ってきていないか?載せている袋から店名を見て、この客はどのようなルートで当店に来ているか?そこまで考えるという。

かりにマツキヨの袋があったら、その商品を自店でも取り扱って、マツキヨにいっていた客も、自店で買い物ができるようにしたそうだ。置く場所や、POPでのアピールポイントも毎日変えてみて、試してみる。このPDCAの繰りかえし。これが大原氏の凄さだった。

ヨーカドーの売上げが半分になったとき、ドンキホーテの売上げは1000倍になった!と胸をはる大原氏。たしかにこの大原という参謀なくしとドンキーの躍進はなかっただろうと思う。

その後、2013年に副社長、2014年ドンキHD社長となった。退職して独立を考えていたようだが、安田氏の説得でもう1期5年働くことになった。そして6千億円から売上げ1兆円企業への引き上げたという。

まとめ
日本経済「失われた30年」の中で、総合ディスカウント業の小売店はほぼ壊滅だった。その中でしたたかに生き残り、ビック企業となったドンキホーテ。さすがと言うしかない。

どこでもやっている売り方、その間逆をする!その発想には驚くべきものがあると言っていい。我々消費者は、どこかで何かを買っているはず。どのようにアピールするか!ここに注目したドンキホーテは素晴らしいと言っていいだろう。

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