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壱百満天原サロメは本当に月ノ美兎や桐生ココに続くのか

今更説明するまでもないが、vtuber界隈では今サロメお嬢様こと壱百満天原サロメの話題で持ちきりである。

彼女のキャラや配信スタイルに対する考察は死ぬほどなされているので敢えて今更詳細に書こうとも思わないが、僕個人の感想を一言で言えばものすごくにじさんじである。
特に、デビュー当時の委員長のスタイルにそっくりだ、と思った。清楚なRP(当時は委員長も今に比べればまだRPをがんばっていた)から下品なワードやおもしろワードがぽんぽん飛び出すトーク、ちょいちょい会話に交じる一昔前のネットミームやサブカルネタ、ほぼほぼ1〜2時間で終わる配信、などなど。

委員長以外にも複数のライバーを想起することもできて、要するに、サロメ嬢は今までにじさんじで面白いと言われていたライバーのエッセンスを着実に受け継いでいて、過去のにじさんじのバラエティ路線をしっかり踏襲しているように思える。(※1)

さて(ここからが本題)。
サロメ嬢の初配信の直後にちょろっとつぶやいた僕のツイートが、その後毎日どこからともかくFF外でいいね&RTされていて、ちょっとしたぷちバズ状態である。

恐らく最後の周期のあたりで反応している人が多いんだろうが、それはさておき。

僕は、ツイートに書いたとおり以前から「月ノ美兎、桐生ココに続く怪物がいつ現れるかずっと待ち望んでいた」。
そしてこのnoteを書いている時点では、サロメ嬢が月ノ美兎、桐生ココに続く怪物であることに疑問を持つ人は、もしかするといないかもしれない。実際、数字だけ見ればその2人を凌駕している面もあるようにも見える。

ただ、僕としてはまだ、僕が思っていた意味ではサロメ嬢が委員長や会長に並ぶ存在となるかはまだわからないと思っている。むしろ不安視をしているかもしれない。

サロメ嬢が月ノ美兎や桐生ココに続くには

そもそも僕が「月ノ美兎、桐生ココに続く怪物」という言葉で何を表現したかったかと言うと、僕はいわゆるゲームチェンジャーを望んでいたのだ。
ゲームチェンジャー、つまり、業界の勢力図や、あるいは業界の常識をまるごと変えてしまうような、そういうプレイヤーのことだ。
そういう人たちが頻繁に現れるのがV界隈の面白さだと思っていたし、逆にそういう人たちがいないと業界全体が活性化しないとも思うからだ。

月ノ美兎も桐生ココも、間違いなくゲームチェンジャーだった。
月ノ美兎は、敢えて語るまでもなく、それまでの3Dモデルを使い、短い動画を投稿するvtuberのスタイルを、Live2Dベースのモデルで生配信をするスタイルに変えた。vtuberの定義をひっくり返したとも言える。
2D生配信スタイルは低コストで手間もかからず、これによってvtuberの数は爆発的に増えたし、多くの企業勢もこれに倣い、2D生配信が業界のスタンダードになった。

桐生ココは、デビューとともに始めた「あさココ」が革命的だった。
当時はスキマ時間とも言えた早朝に配信することで、通勤通学前のリスナーが出掛けに視聴できる「朝の情報番組」を提供しつつ、日本と時差の大きい欧米圏でも見やすい時間帯の配信で、多くの欧米在住のリスナーが見に来ることになった。
彼女は英語が堪能だったこともあって(と言う表現もアレだが)ホロライブが英語圏で大量のリスナーを獲得することに成功した。

そして、壱百満点原サロメは。
配信は間違いなく面白いし、今までにじさんじ、あるいはvtuberそのものを見ていなかった層も惹きつけているように見える。流石に現在の状況は過熱気味で、そのうち熱は収まると思うが、それでも彼女は今までにじさんじを見ていなかった多くのリスナーをファンに持つことになるだろう。

ただ、そういった新規リスナーは、にじさんじの他のライバーを見に来るだろうか。
あるいは、ホロライブや774 incやぶいすぽや個人勢や、そういった他のvtuberを見に来るだろうか。Vに沼ってくれるだろうか。
そうして、業界の勢力図を変えてくれるだろうか。それでV界隈は大きく変わるだろうか。

どうして業界の勢力図が変わったか

月ノ美兎の場合

月ノ美兎委員長は、vtuberの活動スタイルを変えたという意味では間違いなくゲームチェンジャーだったが、彼女によってにじさんじが人気を得たか、それで業界の勢力図が変わったかと言うと、必ずしも彼女の力だけではなかったように思える。

委員長は、デビュー当時はぶっちゃけコラボが下手だった。コラボ相手と息が合わなかったり、あるいは相手に合わせすぎて委員長の色が消えてしまったり、といったことが度々あり、ソロ配信ほど彼女本来の面白さを発揮することが少なかった。
……といったこともあって、元々vtuberに興味があった人たちはともかく、委員長からVを見始めたうちそれなりの人が「月ノ美兎しか見ない」状態だった。それは配信の同時接続数が委員長だけ突出していたことからも明らかだ。

だが、その状況を打開したのが同期のJK組、特にでろーんこと樋口楓の存在だった。
ソロで気を吐いていた委員長と違い、当時のでろーんはコラボモンスターと呼ばれたほど、色んな人ととにかくコラボ配信をしていた。V界隈で今では当たり前になった「オフコラボ」を発明したのも彼女である。
そして、でろーんが委員長と定期的に行ったオフコラボ「楓と美兎」はその後大人気となったのだ。委員長は、同期で何度も裏で通話している仲だったでろーんとは配信中も気軽に打ち解け、むしろソロ配信ではなかなか見せないような、本当の意味でRPを剥がして気さくにでろーんと会話する姿も「楓と美兎」が人気となる要因となった。

結果として、月ノ美兎のリスナーは自然と「楓と美兎」も見るようになり、それによってでろーんも見ることになり、そしてでろーんはにじさんじ内外の様々なvtuberと頻繁にコラボしていたので、リスナーはにじさんじや他の箱のVも見ることになり……と、月ノ美兎からvtuber、特ににじさんじという箱への動線が確立したのである。
(これを示す客観的なデータを当時は一応持っていたのだけど、残念ながら紛失してしまった)

桐生ココの場合

では、桐生ココはどうだったか。
こちらはもっと簡単に説明ができる。バズった「あさココ」は、朝の情報番組の体裁をとって、ホロライブ内で起こった事件やエピソードを面白おかしく紹介する配信だった。
だから、あさココを見ていれば自然と他のホロメンの存在を知ることができるし、彼女たちの面白い側面を聞かされれば気になって彼女たちの配信を見に行くことになる。彼女たちの人間関係も自然と知れる。
だから、あさココのバズりと同時にホロライブという箱がこれまでにない大きな人気を獲得したのである。

サロメ嬢は業界の勢力図を変えられるか

さて、サロメ嬢はどうか。
今のところ、彼女のソロ配信がとにかく人気を博している状態だが、あの配信を見て他のにじさんじライバー、あるいは他のvtuberを見に行こうと思う人はほとんどいないだろう。完全なソロ配信で、彼女だけで完結しているからだ。

そういう意味でも、今の彼女は初期の委員長に似ている。そして、コラボ適性は今のところ未知数である。あの濃いお嬢様キャラを維持しつつ、現在の彼女のリスナーが見たくなるようなコラボをできる相手は果たしているのだろうか。

その点で、委員長とサロメ嬢との決定的な違いはサロメ嬢に同期が1人もいないという点である。だから、委員長にとってのでろーんやJK組のような、サロメ嬢とにじさんじを気安くつないでくれる存在が現在いない。
(ここが不思議なところで、にじさんじは過去、常に複数人を同時にデビューさせ、デビューから人気が安定するまでは同期ユニットを中心に活動する、というのが常套手段だったし、実際今までかなり上手く機能していたはずだが、彼女に限ってはその方法を採っていない。)
御伽原江良や鈴原るるのように、同期に頼らずに個で人気を確立しつつ、同期以外のライバーにパートナーを見出したライバーもいなくはないが、例としてはあまり多くない。

ここまで読めば明らかだと思うが、サロメ嬢がゲームチェンジャーとなれるかどうかは、サロメ嬢以外の周囲、特に他のライバーやにじさんじ運営が彼女をどう活かすかにかかっている。
周囲が彼女の成功を指をくわえて見ているだけでは、壱百満点原サロメという1人のライバーが人気配信者になった、というだけで終わってしまう。僕が期待しているのは、そういうことではないのだ。


脚注 ※1:ここにもう一文書いていたが削除した。理由は、僕の意図に反する読解をしている人を何人か観測したからである。元々本論とは全く関係ない一文だったので、気になった人はどうか忘れて欲しい。


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