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「○○の人」に、なるために(日報)

 もう7,8年ほど前のことになるが、ニコニコ動画で一大ムーブメントになったゲーム実況動画がある。Minecraft実況だ。僕は「行商路を作ろう」というシリーズで実況動画を投稿していて、実況者として物語を綴り世界を作ったりしていた。

 あの頃のマイクラ実況界隈で面白いなーと思っていたのが、「〇〇の人」という文化だ。

 例えば、廃墟を作る建築動画シリーズの投稿主なら「廃墟の人」だとか、いつも迷子になる方向音痴キャラなら「方向音痴の人」だとか、その人のキャラクター性や動画タイトルに応じてあだ名が付けられる。ちなみに僕は「行商路の人」と呼ばれていた。

 勿論、投稿者本人は自分自身のハンドルネームを持っていて、動画の中でもちゃんと名乗っているわけなのだけど、それはそれとして「〇〇の人」はニックネーム的につけられる、というのが通例だった(ニコニコは視聴者が作品にタグをつけられるので、そこに「○○の人」タグが追加され可視化される)

○○の人というレッテル

 当時はあまり深く考えていなかったけれど、今になって思うのは、この「〇〇の人」というものはなにもニコニコ動画だけの現象ではないということだ。

 可視化されていないだけで、なにかを作って発信する僕らは、その「レッテル貼り」から逃れることはできない。

 知人のパルプ書きで考えてみると、遊行剣禅さんは「パルプスリンガーズの人」だし、ジョン久作さんは「ババアの人」だし、ディッグアーマーさんは「建築家の人」だし、しゅげんじゃさんは「ジュクゴの人」だと思っている。

 1作品だけで勝負している人はやっぱりその作品の人!という感じになるし、複数作品の場合はその人の作品傾向になる。その人の作品やシリーズによってそのイメージが作り出され、醸造され、広がっていく。

 さて、僕自身についてはどうだろう?

 元々は「アマガサの人」だったと思う(いや、今もそうかも?)。まぁ僕自身もそれで良いと思っていたんだけども、1年間やってく内にもうちょっと間口を広げたいなぁなんて欲が出てきた。具体的に言うと「ヒーローものの人」と思われたい、と。

 なので、事あるごとにヒーローものの話をしたり、ヒーローものの新作を書いたりするように路線を変更した。もともと「アマガサ一本でやっていきます!」と言っていたのにグラライザーやらクロノソルジャーやらの連載計画を立てているのはその影響もある。

 こんな風に、「読者による○○の人定義をコントロールしようとすること」って、ブランディングというやつなのかなーというのをぼんやり考えてみたりしている。

 これはあくまで直観的な考えだけど、文章でやるブランディングというのは、実況動画でやるそれと比べると結構ハードルが高いような気がする。

 実況動画は、選ぶゲームジャンルやプレイスタイルを、編集のクセ、選ぶBGMのクセ……と色々な情報を組み合わせてブランディングができる。これは動画というコンテンツの持つ情報量のおかげだ。

 ブランディングやらイメージ作りってのはある意味、「読者間の共通認識を作る」ということでもあり、動画コンテンツの情報量をもってすれば共通認識を作り上げることは比較的容易だ(だからこそ真似されやすかったりもするのだけど)

 一方で小説はというと、動画コンテンツに比べれば一度に伝えられる情報量は少なく、さらに共通認識を作るには再現精度が低いと思っている。

 文章というコンテンツは無限の想像を掻き立てる。それがこの競技の面白いところである一方、それ故に「共通の認識」を作るのがとても難しい。それぞれの人の中にそれぞれの像が生まれてしまう。

 これらの課題を超えるためには文章の精度を上げることは勿論だが、メディアミックス的にイラストや動画や音楽なども含めた展開ということも考えていく必要がある。まぁ先日書いた絵心問題もあるのですぐにどうこうできるかは不明だけども。

 とにもかくにも、ていたらくヒーロータイムと銘打って動くからには「ヒーローパルプの人」になりたいし、そのためのブランディングってのはちゃんと考えていこうと思っている。

いじょうだ

 あなた自身や、あなたの推し作家さんに「○○の人」とつけるなら、なんの人になりますか?

 自分のなりたい「○○の人」になれるよう、使える武器はなんでも使う精神で進んでいきたいもんです。

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