Ymir-ユミル- 第1話『怪盗シロウサギ』
高さ300mの大樹の上。朝焼けに向かって、彼女は飛び出した。
風が頬を撫ぜ、日の光が彼女を照らす。
「ああ、なんて心地良いのだろう!」
彼女は落下しながら、おそらく生まれて初めて、腹の底から笑った。
彼女はユミル。100年ほど前に魔法によって作られた、魔法生物だ。
──お前はヴァンパイア。日の光を浴びたら死んでしまうよ。
創造主の言葉がユミルの脳裏をよぎる。しかし、日の光を全身に浴びても、彼女は生きていた。
「ハッハハ、お笑いだ。本当に、お笑いだ」
「な? だから言ったろ」
笑いながら落下する彼女に、ひとりの男が追いついた。
「怪盗シロウサギに、不可能はないんだぜ」
【第一話 怪盗シロウサギ】
時は、3日ほど遡る。
「…なんだこれは」
『予告状…かな?』
"それ"を持ってきた家来…魔法生物のロキは、首を傾げながら答えた。
花柄の便箋に入った手紙には、丁寧な字でこう書かれていた。
──あなたの御命、頂戴します。 怪盗シロウサギ
(つづく)
ユミルとロキの設定は高校生の頃に考えたものでした。
みんな図書館で北欧神話の本とか読んだよね?
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