毎日マクラ「き」☆金田一耕助☆

※以下は落語の冒頭でお話するマクラです。本来はその場で消える発言集ということですので、そうだと思って読んでください。

私の子供の頃の夢は、名探偵になることでした。探偵じゃなくて名探偵です。当然、推理力を持っている前提の存在になりたかったんです。

江戸川乱歩の少年探偵団が入口で、もう憧れましたね。当時、テレビに探偵ってたまに出てくるじゃないですか。登場人物の半分にモザイクがかかってるドキュメンタリーの番組、ありますよね(笑)
それで見る探偵がやってることって、浮気調査とか盗聴器を見つけたりとか、なんか違うんですよ。
密室殺人を解決したいんですよね、こっちは。ハガネのようなアリバイを崩したいんですよ。でも現実の探偵は、ホテルの入り口の写真しか撮らないんですよね。
たぶん明智小五郎も、ものすごい小型カメラとか持って道玄坂に張り込んだりしてたと思うんですけど、D坂の事件って、この坂とは違うんですけどね(笑)

映像の世界では、やっぱり横溝正史の生み出した金田一耕助ですね。

よれよれの袴に、カリメロみたいな帽子(笑)あれが名探偵ルックなんですよ。
角川映画の石坂浩二から有名な金田一のあの衣装が導入されて、それ以前でも映画の世界では片岡千恵蔵とかがやってたんですが、スーツとか来てるんですよね。
中尾彬の金田一もあるんですけど、ジーンズなんですよ。ネジネジはまだしてないです(笑)

金田一を演じた俳優さんてたくさんいますけど、近頃は毎度新機軸を生み出してきますね。
長谷川博己のを観たんですけど、やたら怒ってるんですよ。石坂さんとかのイメージの逆をやるわけですね。

渥美清バージョンもあるんですよね。松竹の『八つ墓村』なんですけど、これはもう、夏休みのおじさんにしか見えない(笑)寅さんが八つ墓村に遊びに来ちゃったような。
金田一耕助って、なかなか犯人を明かさないことで有名ですけど、これも「金田一さん、犯人はいったい!?」「それを言っちゃあおしめえよ~」
大変です。

あと、金田一さんの仕草で大事なのは、あの、雀の巣のようだと形容される頭の毛をかきむしるところですね。そこなんか名探偵が考えてるかんじが出て格好いいじゃないですか。
だから髪はちょっと長めだったり、ボサボサだったりですよね。

だからそういうイメージの人がやるといいですよね。古谷一行さんの飄々とした感じとか、顔も金田一の挿絵に近いんですよ。

あと吉岡秀隆バージョンがあって、渥美清の甥っ子ですけど(笑)あの豊かな毛量がはまります。
ドラマ版で、スマップからは稲垣吾郎ちゃん。最も豊かな毛量の人が(笑)

こういう感じなんですけど、演じた中で許せない役者さんがいるんですよね。片岡鶴太郎です。
金田一といったら、あの頭の毛をかきむしる姿が見たいんですよ!
その新機軸は、いらなかったなあ。。

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