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【無料】あと320日(たぶん):師匠からの通信簿

 今年の夏に二ツ目最後の勝負企画をやることになった。それは真打トライアル2024。名前は別に記号でしかないけど、とにかく師匠や豪華ゲストの力を借りて駆け抜けた去年の5ヶ月とは違って、今度は「自分一人の力」で、同じ「博品館劇場」で、「古典を中心」にやるという、そんな企画。どう考えても無謀な挑戦だし、去年のように順調に進められる気はしていない。それでも自分が目指す真打像には必要な挑戦だと思ったから、悩んだ結果GOサインを出すことにした。

 現時点では開催ペースは未定だけど、まず5ヶ月連続やることはないのは8月は開催しないことが決まっている。強気にイケイケドンドンで企画を進めるよりは意外に最後の最後の安全装置はしっかり設定するタイプで、どう考えても今回の企画はかなりシビアな挑戦になるのが明白な中、どうなるか全く未知数な状態で複数回の設定をすることはできなかった。7月の手応えを受けて、9月以降どれくらいの感覚でゴーできるか見極めるつもりだ。

 僕は自分のことを新作派だとは思っていなくて、単純に面白い落語をやれるようになりたいだけ。二ツ目昇進が早く、入門して2年という地力が乏しい状態で、後に成金として若手シーンを引っ張っていかれることになる4~5年先輩の方々と同じ会でマッチアップしてしっかり存在感を示そうと思ったら、どうしても自分らしさを前面に押し出した新作(というか擬古典)で勝負するしかなかった。その後も、自分らしさを押し出したネタの方がたまたま才能豊かな方がズラッと揃っていた世代において戦いやすかったからそういう高座を中心に繰り広げていたけど、別に自分で限定した覚えはない。

 8年ほど前、当時の日経での連載で師匠が通信簿に書いてくださったこと。

これがなんと入門して5年。まだ5年かあ。落語の内容の深さもフィールドの広さも、素晴らしい。発想ばかりでなく、実は落語の技術も卓越しているのを師匠は知っているぞ。将来、古典の世界でも暴れることを期待している。

 師匠の期待に応えたいのは、弟子として当然のことだ。

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