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『名探偵コナン 100万ドルの五稜郭』観てきた

タイトルの通りである。

まず自己紹介から入らせてもらおう。
わたしは『刀剣乱舞』をサービス開始の翌日ぐらいからやっている審神者。
長らくログインもままならなかったが、スマホ買い替えを期にまたログインするようになった出戻りである。
『Fate/GrandOrder』のマスターも2016年末ギリギリからやっている。沖田さんの召喚を願い続けながらも未だに叶っていない。
『ゴールデンカムイ』は無料公開のタイミングで最初から最後まで一通り読みはした。
肝心の『名探偵コナン』に関しては、アニメ放送開始から大好きで、家に原作コミック全巻が揃っている。
もっとも、高校生の頃から時間が合わなくなり、アニメはほぼ観れなくなったが。
コミックを買ってるのは母だし、父はアニメを毎週録画してるようだし(ちゃんと観ているのか、内容を理解しているのかはかなり疑問が残るが)、亡き祖母もコナンを気に入っていた。


わたしは『時計じかけの摩天楼』から毎年コナンを両親+弟妹と共に観に行くのが年中行事になっている。我が家の年中行事だ。
(わたしが初めて映画館で観た映画は『時計じかけの摩天楼』である)
(祖母はコナンを気に入っているといえど、テレビでやってるから見るのであって、映画に興味があるようでもなかったし、祖父母も連れて映画という感じではなかったので、一緒に観に行くことはなかった。祖父母も含めた家族総出で出かけるのは初詣ぐらいだったか)
年によっては家族揃って観れないこともあったが、今年も都合の合う日に観に行くこととなった。

気づいたら父が買ってた哀ちゃんのファイル。謎解き付きなのに、そちらには興味がなかったらしく全部こちらに渡された。


前置きがずいぶんと長くなってしまったが、以下ネタバレあり、とりとめない感想。



去年の予告通り、キッドvs平次回である。
映画では『世紀末の魔術師』からたまに接触もあったが、致命的な因縁は『妖精の唇』を巡る回(原作コミック96巻)での一件だ。
和葉ちゃんへの想いを自覚した思春期真っ只中な平次は、和葉ちゃんにキスしようとしたが、それはキッドの変装だと気づいていた蘭ちゃんとコナンが間一髪止めに入ったことで未遂で済んだ。
平次の恋心を利用するため和葉ちゃんに変装していたキッドはそりゃ悪いが、見抜けなかった平次が腹を立て続けるのも逆恨み入ってると思う。

閑話休題。

キッドへの恨みはそれとして、和葉ちゃんへの告白を狙う平次。
告白の予感を察知して邪魔するため迷走する紅葉ちゃん。
和葉ちゃんの恋路を応援するため全力で平次の背中を押す蘭ちゃん。
完全にラブコメである。『名探偵コナン』は実はミステリーでなくラブコメ漫画なのだ。異論は認める。
紅葉ちゃんはずっと迷走しっぱなしで終わるのかと危惧したけど、しっかり謎解きに関わり、ピンチに援護(あれはあれで新たな脅威だった気もするが)し、意図せず本来の目的を果たして去っていく、ある意味美味しい立ち位置だったなと思う。自由過ぎる。
エンディングに入る前の時点でオチは見えていたが、あの状況でこうなることに気付けない程度には恋愛に関して平次はポンコツが過ぎる。
個人的には、どれほどカッコつけようとしても、平次はものすごく間の抜けた形で和葉ちゃんに想いを伝えることになるんじゃないかなぁ……と思い続けている。
それにしても、平次の告白……というか和葉ちゃんの恋路を応援する蘭ちゃんがとてつもなく可愛い。
告白の舞台にとにかくこだわる平次の背中を押す際に、心の中で新一に謝る蘭ちゃん、可愛い。
好きな人に告白される、それだけでシチュエーションは世界一だろう、ビッグベンとか関係なく。新一だってわかってくれるよ。でもこの場にコナンがいなくてよかった、理解はできても面白くはないだろう。
そしてめちゃくちゃ頼もしいよ、蘭ちゃんのサポート。聖さんを連れて行く手際の鮮やかさは見事だった。今回の映画でもトップクラスに好きな場面かもしれない。

園子嬢も今回同行こそなかったものの、お嬢様としてのスペックの高さをいかんなく見せてくれたと思う。
さすが、将来鈴木財閥を継ぐ女だ。
(園子嬢には姉がいるが、姉は嫁に行く身である。園子嬢の母君こと朋子さんが園子嬢の夫となるものは鈴木財閥を背負う男だと、京極さんをビシバシ鍛えていく所存である……ってエピソードが原作82巻の『怪盗キッドVS京極真』で語られていた)
さり気なく鈴木夫妻も顔を出していったが、あとあと工藤夫妻が顔を出す布石だったのだろうか。サービス演出だった……朋子さん、園子嬢に姉がいること、有希子さんは二十歳で結婚して新一を産んでることを踏まえて、有希子さんより歳上のはずだが……あの美貌、恐るべし。
いや話が逸れたな。

園子嬢とのリモート通話も含めて、今回はスマホの存在が強調されていたように思う。
オチを踏まえると余計にそう思うのかもしれない。
また、電話として使う際のそれぞれの登録名に強く個性が出ていたなと思う。
平次を「旦那様♡」と登録している紅葉ちゃん、快斗を「バ快斗」で登録している青子ちゃん、あとなんだっけ、なんかすごい名前で登録しているなって笑ったのがあった気がするが。(「旦那様♡」ではなかったかもしれない、そんな感じの表記だったと思うが)

わたしはコナンの映画において『犯人の目的』と『被害総額』のバランスを重視している。
『時計じかけの摩天楼』は放火に爆弾騒ぎと大きな事件であったが、犯人の目的を踏まえると妥当な規模の事件だったと思っている。
歴代トップの被害総額だった『紺青の拳』についても、犯人の目論見を思うと「被害がこれだけで済んでよかったな」になる。
反面『沈黙の15分』や『業火の向日葵』に対しては「お前、その目的ならもっと他にやり方あっただろ!!たったそれだけのために何やらかしとんねん!!!!」と思い出すたび、定期的にブチギレる。
では『100万ドルの五稜郭』ではどうだったか?
目的に対して不必要な損害であったとは思うが、そこは結果論であり、騒ぎの割には人的被害もあんまり出てないし、どちらかというと「あれだけ頑張ったのに、残念だったね」と憐れみすらある。
コナン映画世界は、あんな銃撃戦とかあっても、モブが巻き込まれて死んだりはしないのだ。
いや絶対交通事故起きまくってますよね!?と思うけど、死傷者は出ないのだ。コナン映画なので。多少傷ついたモブの車はあるかもしれないが……
というか、そもそも、日本でバンバン銃を撃つんじゃない。なりふり構わないにもほどがあるだろう。

キッド、というか、黒羽快斗の変装技術は高い。が、黒羽快斗の観察力は雑なところがある。
絆創膏の位置とか、十円ハゲの位置とか、喋り方とか。
わざと見抜くポイント作ってるの?と言いたくなるレベルの穴がある。これぐらいでいいだろうという慢心なのか、なんなのか。
和葉ちゃんに変装した際も、即バレといって過言でないほどで、コナンばかりか蘭ちゃんにも白い目で見られていた。……そんな変装に気付けなかった平次は、キスの恨みなど言える立場であるまい。

怪盗キッドは『まじっく快斗』では本来のお調子者の面が強いが、『名探偵コナン』にゲスト出演する際はカッコイイ面が強い。
……いやそうだろうか。映画では本来の言動がにじみ出てるパターンが多い気がする、今回も。
逆に黒羽快斗本来の姿が強いからこそ、中森警部の負傷にスマートさの欠片もない行動を見せたのだろう。
大好きな青子ちゃんの唯一の肉親にして、黒羽快斗にとっても非常に良くしてくれている家族と似て非なる大事な存在なのだから。

ゲストキャラの聖さんを見ていると何故か『すずめの戸締まり』がチラついて離れなかった。
わたしの中で「草太さんに似てる」判定が出ていたんだろう、なんとなく。
最初に家に行った際にチラッと見えた家族写真に「聖さんのお母さん、和葉ちゃんに似てるな……」と思ったのだった。
終盤に改めてお母さんの写真が出てきたのを見ていると、「いや似てるわけでもない、か……?うーん、雰囲気似てるかも……」と考え込んでしまった。
しかし、「いま函館山には和葉がおる!!」とでも言えばあそこまで危険を冒さず聖さんを止められたのでは……?と言うのは野暮だろう。
『純黒の悪夢』の観覧車上の殴り合いに比べたら、真っ当な戦いだった…………せやろか。
原作にも顔を出してほしい気持ち半分、ちょっと無罪放免は厳しいよなぁの気持ち。

川添さんの印象が本堂瑛祐くんだった。
天然でドジな部分も確実にあるのだろうけど、ドジを装って必要な情報を引き出したり、相手の油断をつくタイプ。
警察組織をはみ出て己の何らかの目的を果たそうとする可能性を危惧しつつ見ていたが、巫女……神子さんの話をコナンと平次に任せた辺りで「どうやら敵ではなさそうだな」の判断が降りたものの、エンディング前の展開で「お???」となってスタッフロール(というか声優さん)を凝視した。
役名のない『池田秀一』さんに一瞬赤井さんがよぎったが、赤井さんが陰ながら協力してくれるにしたって実在の現役警察官にわざわざ変装して潜り込んでくる必要はない。
(弟はスタッフロールを見て「工藤夫妻と一括り……?」というとこにまで気がついていた)
その真相が、あれである。うっかり失念していた、そういえばあの人もCV池田秀一さんでしたね!!
弟は「今回やけにコナン(工藤新一)とキッド(黒羽快斗)の顔が似ていると強調されるなと思ったら……」と唸ってしたし、母は「原作にも出てない情報」とつぶやいていた。
いやはや、まさか『本来別作品の主人公同士なので、顔が似てしまっている』というメタ的な理由に、そんな落とし所を持ってくるとは思わなかった。
さすがにこれは後付け設定ですよね、青山先生!?
これを「最初から計画してました」と言われたらひっくり返ってしまう。
いやしかし、【怪盗1412号】を【怪盗KID.】と捩った推理作家のエピソードを思うと、キッドをコナンに登場させたあたりから「この設定を考えてました」と言われる可能性はある。大いにある。
怪盗キッドがコナンに初登場したの、原作16巻で、18巻で登場した哀ちゃんより前なんですよ!?
わからん。最近生えてきた設定なのか、序盤から考えられていたのか……
原作55巻の『工藤新一少年の冒険』の「?」「!」エピソードとか、有希子さんとシャロン(ベルモット)の変装の師匠のこととか、なんとなく縁があるだったのが明確な縁になってきたではないか……
CMの「キッドの真実」がちゃんとご用意されてるとは思わなかったのでびっくりした。

カドクラ、その部下ナチョ。
あの扱いでよく忠実な部下やってるな、と、よくこの部下を近くにおいてるな、と双方に対して思ったりしたが。
終盤カドクラ自らナチョの拘束を切ってるのを見るに、なんだかんだ可愛い部下と大事なボスだったのかな……
あのまま叩き切られても文句は言えないマヌケぶりだったぜ、ナチョ……
弟妹からは「ウォッカだ」「ジンニキとウォッカだ」との評が出たが、そう思うとウォッカは伊達にコードネーム持ちじゃないな……と改めて思ったりするのだった。

ずーしーほっきー、あんな気持ち悪く動かないでほしい。なかなかにホラー映像だった。
今回の少年探偵団は添えるだけのような出番でありつつ、すごく重要な役回りでもあり、バランスが上手い。
それはそれとして、コナンくんはちゃんと連絡入れてあげなさい、特に光彦くんが可哀想でしたよ!
「いつまでこうしていればいいんでしょう……」「さあ?まだ連絡はないけど」という会話が聞こえるようだったよ。

元々「これ許されるの??」という阿笠博士の発明の数々であるが、映画では無法ぶりに磨きがかかっている。
原作の眼鏡にあそこまでハイスペックなシステムは搭載されてないし、サッカーボール射出ベルトも花火仕様なのは映画だけである。
というか、映画では改良(良か?)されてからずっと花火仕様のままなので、今回も無駄に花火でしたね。
いや花火仕様『黒鉄の魚影』とか大活躍でしたけど、そもそも初登場の時点でだいぶ問題仕様だったよ、博士……
具体的には、申請もなく花火を上げるな、ばかたれ。ご近所さんからの苦情だけで話は終わらんぞ。
今回の気球とか、ライトアップとか、あのへんも許可とかどうなってるのかなぁ……と思ったりしたが、コナン映画で気にしてはいけないポイントでもある。
そこは考えるな、考えたら負けだぞ(?)

しかし今回鬼丸まで出てくるとは思わなかったが、CV津田健次郎さんの有効活用ということか。
いやむしろ、鬼丸がCV津田健次郎さんだったから、土方さんもCV津田健次郎さんになったのかもしれない。
土方さんと同じ声の『鬼』と、五稜郭で戦った『沖田』に、正直泣きそうになった。
生まれ変わりというわけではないだろうが、ものすごく「よかったね……!」と思ったのだった。
よかったといえば、兼さんもよかったね……審神者大歓喜だよ。
いやずっと土方さんの隣に兼さんいるなと思ってたけど、ほんとよかったね……

映画が終わったあと、エレベーターで乗り合わせた中高生らしき女の子二人が「キッドの正体……」「キッドの映画が前に……」などとぼそぼそ話してるのが聞こえたのだが、もしかするとあの子たちは【『名探偵コナン』に出てくる怪盗キッド】しか知らないのかもしれない。
むしろ、過去のキッド登場映画も観てないのかもしれない。
黒羽快斗は死んだ父の跡を継いだ二代目怪盗キッドであることとか、黒いキッドとも言える怪盗コルボーの存在とか、黒羽盗一のこととか、知らないのかもなぁ。アニメ『まじっく快斗1412』でも2014年の作品だから、10年前か……見てないかもなぁ。
コナンも長いからなぁ。30巻前後の頃に「多いから無理」とコミック追うの断念した友達のことを思い出した。

余談であるが、わたしが原作のエピソードの巻数を添えられてるのは、わたしがコナン愛で記憶している……からではなく、公式がデータベースを作ってくれているからである。

登場人物からの絞り込みもできるので、とても便利なんだよこれ。
わたしは『落第忍者乱太郎』でもこういうデータベースがあったらいいなぁと思っている……まあ、落乱では背景でチラッと登場とかもあるから、登場人物での絞り込みは至難の業だろうが……

最後に一言。
もしかするとわたしは西村警部が好きなのかもしれない……
また縁があったら出てきてほしい。



追記。
今年はキッドと平次、去年は黒の組織、一昨年は安室さん(というか降谷さん)でその前は赤井さん。
じゃあ来年は?と考え込んでいたが答えはそう来たか。
楽しみである。



追記、その2(2024/05/07 20:03)

伊織に対するツッコミを忘れていたね。
「アレ絶対違法だよ」を何回言ったかわからない。
弟が「今回の伊織ポンコツ気味では?」とツッコミ、妹は「弓弦くん(※『あんさんぶるスターズ!!』伏見弓弦)みたいだった」とコメントした。
自分の命に代えても主人の身は絶対に守る、の一方、主人の要望に応えつつも我が強い従者である。
そういえばわたしはまだ105巻を読んでいないので(映画見る前には読みたいと思いつつ、読むタイミングを逃した)読んだらまた少し印象が変わるのかもしれない。
それはそれとして、「うっかり事故」であれをやってしまうのは、仮に事故が起きてなくてもダメだった思うよ。現場猫案件!
コナンくんへの援護が果たして援護になっていたのか、議論の余地はある。

聖さんに対する最初の和葉ちゃん、心の中に留めた言葉を口にしていたら、聖さんはその場で失恋となってたかもな……と思っていたのだけど、あの場でそれを言っちゃう和葉ちゃんは嫌なので言わなくて正解だと思い直した。
ああいうことを言って許されるのは、園子嬢や紅葉ちゃんだろう(園子嬢は単体でなく、横に蘭ちゃんを添えて「もう園子ったら〜」と言ってもらうと尚良し)

あとなんだっけな……そうだ、『ゴールデンカムイ』
北海道で宝探しで五稜郭と土方歳三で、「『ゴールデンカムイ』だ」の印象は強かった。熊も変態も出てはこなかったが(出てきてたまるか)いくつもの勢力が混戦する宝探しではあった。
『ゴールデンカムイ』は金を見つけられるが、こちらで探しているのは金ではない。金だったら歴史が動く発見になっていただろうし、そもそも初代キッドがどうにかしていただろう。
あのお宝、ほんと当時は誇張でなく『戦況を一変させる兵器』であり、GHQに押収されないよう隠すのも当然なものであった。
ただまあ、まさかたった数十年であれがあんなわざわざ壊す必要すらないような無価値な存在になるとは、誰も思わなかっただろうが(歴史的価値はありそうな気もするが、金になるものではなかろう)
車はまだまだ空を飛びそうにないが、コンピューターや通信機器に関しては70年代80年代のSFですら想像してなかったレベルに進化してしまった。

あと、そう、タヌキ。
森のシーンで一瞬写ったタヌキ。
平穏な日常を突如壊されたかわいそうなタヌキ。
弟は「あのタヌキいらなかっだろう」などと言っていたが、いてもいいじゃないか、タヌキ。
あのあと平穏な日常をちゃんと取り戻していてほしいよ、タヌキ……

奇特なお方向け