ホロスターズ設立騒動は騒動ではない。見えない敵と戦う人への対処法

 先日、カバー株式会社より男性VTuber事務所『ホロスターズ』を設立するとともに、オーディション応募の受付を開始したとのアナウンスがなされた。カバー株式会社はかねてより女性VTuber『ホロライブ』を設立および運営しており、その設立当初は統一性の見えない運営方針などで不安ある声もあったが、ビリビリ動画(bilibili)への進出や、3Dモデルおよびトラッキング技術において高品質を実現するなどし、今やにじさんじ、アイドル部に並ぶ三大VTuber勢力の一つであることは疑いようがない。今回のホロスターズにおいても一定以上の成功は収めることだろう

 ……と、ホロスターズ設立発表当初の情報ではそのような感想しか抱かなかったため、わざわざ記事にするほどのことでもないと考えていた。しかしながら、その後のユーザー同士の対立とも言える論争をみるに、論争を収めるための対処方法については書いておかなければならないと思った。

 ユニコーンは本当に存在するのか?

 まずユーザー同士の混乱および論争を招いたのは上記のツイートをめぐる解釈である。一見すると、ホロスターズとホロライブは一切関わりを持たずに運営されるかのようにも読めなくもない。しかし、冷静に読めば誰にでも分かる話だが、このツイートでは「ホロスターズに関する情報をホロライブメンバーには聞かないで欲しい」としか言っていない。

 そもそもホロライブのAZKiと星街すいせいのマネージャーを務めるツラニミズ氏ですら、上記のようにホロスターズに関する情報は持ち合わせていないことを表明しており、ホロライブメンバーにホロスターズのことを訊いても困惑させるだけなのは火を見るよりも明らかである。しかしながら、何故か「ガチ恋勢VSアンチガチ恋勢」の争いが勃発したかのように解釈され、論争が巻き起こることとなった。

 尤もプレスリリースには、「「ホロライブ」を応援して頂いているファンの方々の心象を考慮して、「ホロライブ」で男性配信者をサポートするのではなく、新たに男性VTuber事務所「ホロスターズ」を設立して、男性配信者のサポートを開始することにいたしました」とも記載されている。そこまで含めれば、ガチ恋勢、とりわけ女性VTuberと男性VTuber間での交流を嫌う、いわゆるユニコーンと言われるファンに配慮したのだろうと解釈することは分からなくもない

 しかし、その解釈もちょっと待って欲しい。カバー株式会社公式Twitterやホロスターズ公式Twitterのリプライ欄や「ホロスターズ」でのツイート検索を漁ってみたが、概ねホロスターズ設立に関しては好意的な意見しかみられない

 そのうえで、あえて批判的とみられる意見をとりあげてみても、「女性メンバーに対してオフパコ狙いで近づく男性には注意して欲しい」という趣旨のことくらいしか言われていない。批判とは言っても、これはそもそも人として当然の心配事だろう。特定のVTuberに限定して言わなくても、すでに過去の事例でも不穏な空気が流れたことはままあることも影響しているだろう。これをユニコーンだなどと揶揄して批判の批判をするのは、妄想の中にしか存在しない人物に対して批判を展開しているだけである。

 ならば、どう対処すればいいのか?

 こうした論争が厄介なのは、実在しない人物に対して批判が行われているため、全く着地点が見えないところである。中には明確な悪意を持ってユーザーを混乱させてやろうという愉快犯もいるかもしれないが、「通り魔事件を起こすような奴は無敵の人だ」などと根拠不明なレッテル張りを繰り返し、現実的な解決策の一つもないまま時間を浪費してしまうのは、簡単に同調者を見付けられてしまうネット社会ならではの現代病だろう。彼らには別に悪意があるわけでもないが、意見を簡単に翻すような存在でもなく、相手にするだけ無駄である。

 このような連中を見かけた場合の適切な対処は原則無視することである。思い込みから明らかに事実と異なる風評を流し始めたのなら、その点に関してのみ否定すればいい。どうせ放っておけばそのうち飽きるだろう。特に芯の通った意見があるわけでもないのだから。

 なお、下記のnote記事については比較的冷静で客観的な分析をされていると思う。今までとは違った取り組みをするというのだから、多少の反発があること自体は真っ当であろう。それを出汁に論争を繰り広げることが悪なのである。これ以上多くを語ることでもないので、この記事紹介にて幕を閉じさせていただきたい。


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