それでもばあちゃるの代わりはいない

 .LIVE(どっとライブ)所属VTuberのばあちゃるが8/30に配信を行い、リスナーの一部を「モンスターペアレント」とする発言にて炎上した。この炎上に関しては彼に対してのみならず、どっとライブ全体のチャンネル登録者数、動画再生数、配信同時接続数、低評価数などにも影響がみられている。

 炎上の経緯や批判されている点については下記のふたつの記事が詳しい。(特にひとつ目の記事に関して)一部補足や訂正をしたい点、同意しかねる点などもあるが、本記事ではその点については特に触れないこととする。

 その後、9/2にはばあちゃるにより、後日生放送にて詳細な説明と謝罪をするという旨のツイートがなされたが、9/6には話し合いの結果、生放送ではなく文章での謝罪をするという旨の声明がどっとライブを運営する株式会社アップランドのホームページに掲載された。本記事では、この声明に関する所見を述べることとする。

 ばあちゃるがリスナーを見る目はあまりにも厳しい

生放送開始前からチャット欄にて共演者様が嫌な気持ちになりうるチャットが数多く流れてきました。

注意喚起をする予定はありませんでしたが、共演者様が嫌な気持ちになりうる行動をとる人達を、どのような理由があったとしても看過できませんでした。

 まず第一に気になるのは上記の引用部分だ。すでに上記で紹介したばあちゃるのツイートでは「共演者が嫌な気持ちになりうるツイートをしにいく人達を、どのような理由があったとしても看過できませんでした。」としている主張が「生放送開始前からチャット欄にて共演者様が嫌な気持ちになりうるチャットが数多く流れてきました。」と、「ツイート」ではなく「チャット欄」と言い換えられている

 前者の「ツイート」であればギリギリ理解できなくもないが、後者の、"対象の人物の配信枠でもない"、"配信開始前のチャット欄"に、"対象の人物が所属するわけでもない事務所"が"「共演者様が嫌な気持ちになりうる行動」は看過できない"と注意喚起するのは、はっきり言って余計なお世話としか言いようがないだろう。

 加えて「注意喚起をする予定はありませんでした」としていることから、対象の人物からの依頼を受けての発言であるという可能性も否定されている。一体何目線の発言なのか極めて理解に苦しむ説明であるとともに、対象の人物も困惑しているものと思われる

  ただ、対象の人物とみられる神楽めあのリプライ欄については、一部には捨て垢とみられるアカウントからの暴言もみられるものの、どっとライブファンとみられるアカウントからは概ね好意的に歓迎されている様子である。そういう意味では、「チャット欄」によって当初の予定にはない発言をすることとしたという気持ちの変化については、理解できなくもない。……と言うより、そうでなければあのタイミングで注意喚起をしようと思った理由の説明がつけづらいのである。

 とは言え、「チャット欄」も確認できる範囲内では、配信前から荒れていたという事実はみられない。無論、嘘をついても仕方がないことであるので、共演者に関する賛否があったのは事実であろう。

 しかしながら、個人的な考えとしては「配信開始前のチャット欄」にて批判的な意見が寄せられることに関しては、多少は寛容になるべきだと思う。そもそもリスナー同士で意見交換をする場は必要だし、配信が開始されるとピタリと切り替えて盛り上げようとする姿勢はもっと褒められて然るべきではないだろうか。もしもそれが嫌なのであるならば、「配信開始前のチャット欄」は封鎖すべきであるが、そうなると「配信中のチャット欄」に批判的な意見が漏れることとなるだろう。有効的な対策が打てないのであれば、それはもう見て見ぬ振りをするしかない。

生放送中に自分が注意喚起をしなければ、この後のアイドル部配信のチャット欄やオリジナルソング発売ツイートが荒れたりするのではないかとも考えてしまいました。

以前注意喚起をした伝え方は効果が無かったため、自分にヘイトが向く伝え方をすることで、他が荒れてしまうことを防げると考えました。

 さらに理解に苦しむのは上記の引用部分である。どっとライブはこれまでも騒動と呼べるような事態に何度か瀕したことはあるが、どっとライブメンバーのチャット欄やツイート欄が荒れるようなことなどあっただろうか。むしろゲップランド騒動ほどの大きな騒動であっても、アイドル部の配信のチャット欄にはほぼ影響は見られず、非常に統率が取れていたものと認識している。

 そもそもどっとライブリスナーのお行儀の良さは外部からも高く評価されているという事実がある。特にアイドル部の夜桜たまによるプロ雀士とのコラボ配信や、アイドル部のリアルイベントである『はんぱないパッション』では、コラボ相手やそのリスナー、あるいはイベントスタッフから「リスナーがとても優しかった」だとか「今までに見たことがないほどきれいな列整理だった」だとか言われていた。

 個人的にはこの点は非常に誇るべきことだと認識しており、運営側の人間であるばあちゃるが「以前注意喚起をした伝え方は効果が無かった」とまで言うほど悲観的な認識をしているとは驚きである。ただ「以前にも注意喚起したのに、また"共演者"に関して悪く言われている」との認識ということならば、理解できなくもない。
 とは言え、(この点について深くは触れないが、)これまでの共演者とはわけが違うというのが多くのリスナーの主張であろう。ともかくばあちゃるがリスナーを見る目はあまりにも厳しいし、あまりにも一部のリスナーにこだわり過ぎているように感じられた

 概ねばあちゃるにヘイトは向かない

 また、「自分にヘイトが向く伝え方をすることで、他が荒れてしまうことを防げると考えました。」との主張にも問題がある。ばあちゃるはどうやら自己評価も低いようだが、どっとライブリスナーは概ねばあちゃるに対して好意的であるし、ヘイトを向けようなどとは思っていないのである。少なくとも8/30の配信まではそうだったはずだ。

 この点については、以前より「ばあちゃるの好感度・信頼度が上がり過ぎていて、もはや盾役(あるいはヘイト管理用のタンク)として機能していない」との指摘が多くなされていた。アップランドによる声明が公開された現時点においても、批判の矛先はアップランドやどっとライブに向いており、ばあちゃる自身への批判はそれほどでもないように見受けられる。

 ばあちゃるがどの程度の責任者なのかリスナーにとっては不明であるということも関係しているであろうが、それ以前に先日電脳少女シロの生誕祭でのばあちゃるとシロのやり取りにエモさを感じるなどして、ばあちゃるを批判する気にはならないリスナーも相当数いるのであろう。故に、概ねばあちゃるにヘイトは向かないのである。

 余談だが、仮にばあちゃるの思惑通り自身にヘイトが向いていたとしても、他が荒れることを防げていたか否かには疑問が残る。それは共演者の問題が、シロちゃんのおやつ係でありアイドル部のプロデューサーでもあるばあちゃるの問題にすり替わるだけであり、むしろどっとライブメンバーにとっては余計に言及しづらい事態となる。
 そもそも実際には多くのリスナーが、「共演者の問題はキャスティングをしたどっとライブ運営(および外部スタッフ)側の問題」と認識しているため、どっとライブメンバーの動画や配信、Twitterなどが荒れることはないと思われるが。ともかくばあちゃるは多くの認識違いをしていると言えるだろう。

 ばあちゃるはこのままでいい

 さて、ここまでばあちゃるに対する批判のようなものを書き連ねてきたが、「ばあちゃるになんらかの処罰を加える必要があるか否か」と問われれば、答えは否である。そもそも今回はたまたまリスナーの不満が爆発するような言い回し、およびタイミングであっただけであり、ばあちゃるはこれで平常運転だと認識している。

 一体どこからどこに向いてるのか分からない曖昧な発言をしたり、責任という言葉を軽々しく使ったり、ばあちゃるがいいかげんなことを言う男であるのは今に始まったことではない。しかし、今まではそれで何とか上手く回っていたのだ。今回理屈上では支離滅裂と思われる発言があったことで、理屈では説明できない何かがばあちゃるにあったということを改めて認識させられた

 おそらくその何かは「他人や事象に関して、何が面白いのかを直感的に見抜く力」なのである。これは誰にも真似できない能力であり、その能力があったからこそ現在の電脳少女シロやアイドル部、メリーミルクの成功があるのである。ばあちゃるを謹慎させたりプロデューサーを解任させたりしても、結局代わりとなる存在がいないため、どっとライブが上手く回らなくなるだけだと思う。

 今回の声明も企業から出されたものだと考えると首を捻らざるを得ないものであるが、ばあちゃるがばあちゃるらしく発言をしているという点においては評価すべきだろう。むしろばあちゃるはこのままでいいのである。

 今後の対応・改善策について

 とは言え、企業としてはなんの対策や改善策をとらないというわけにはいかないだろう。この点に関してアップランドは下記のようにお知らせしている。

マシュマロに送った弊社へのご要望が実現されているかどうかわからないとの不安の声を頂きました。どのようなご要望が実現されていて、どのようなご要望が実現されていないか、10月中に配信にてご紹介させて頂く予定です。

弊社の問い合わせフォームとは別に、ファンの方から弊社への要望を送る専用フォームが欲しいとの声も頂きましたので、別途下記フォームを作成致しました。
https://forms.gle/h6hKwiv62m5xAcBRA

 ばあちゃるに対する擁護は一切せずに、ファンが不安に思ったマシュマロへの回答を行ったり、お問い合わせフォームを新設したりといった対応は、正しい対応と言っていいだろう。運営側の態度としては、所属VTuberによる不適切発言はあくまで所属VTuberの責任であるが、それとは別に企業としての対応はするというもので正解だ。

 ただ、この対応はある意味ばあちゃるに対して冷酷である。ばあちゃる自身は生放送での謝罪と説明を希望していたにもかかわらず、その名誉挽回の機会も認めていないのである。ばあちゃるによる声明は、あくまで企業として所属VTuberに頭を下げさせただけのことである。もう少し何か温情的対応は考えられないだろうか。

 となると、やはりまずは馬組と呼ばれるリスナーからも期待されているばあちゃるの添い寝ボイスをBOOTHで販売するか、あるいはASMRでの囁き生放送などを行うべきだろう。加えて、ばあちゃるの抱き枕も販売すべきだ。リスナーの要望を無視しているわけではないというのであれば、これらは是非実現すべきことだろう。

 また、かつて『ニコニコ馬鹿四天王』などと称され、先日VTuberデビューした馬犬氏とのハイポーション早飲み対決コラボなども期待される。

 何はともあれ、我々どっとライブリスナーが見たいのは、メンバーが楽しそうにしているところであり、そのメンバーにはばあちゃるも含まれるのである。本当にリスナーに望まれているものとは何か、運営は認識しなくてはならない。我々にはばあちゃるが必要なのだ。

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