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音楽をシーンに合わせる

ゲームの音楽は、通常の音楽に比べて視聴時間が長いので、ひとつ深く音を作る必要があるのでは?という話。

音楽の長さ

音楽の長さって、いろいろあって、アニメとかの主題歌とかは90秒くらいとか、PVで使うものでもショートバージョンとか、音楽一つの時間って短くなっている。ちょっと前は3分とか長いと6分とか、ジャズみたいなテーマやアドリブを繰り返すものとかは割と長くなったり、クラシックなら、大きな楽章構成とかで40分超えたりとか。

ゲームの音楽

ゲームの音楽の場合、ゲームをやっている間ずっと流れている。もしゲームが5分で終わるなら5分の曲でよいのだけれど、もっと長い時間遊ぶゲームもあります。

劇伴に近い?

尺が固定な場合
イベントやカットシーンでは、まさにそのまま映像に割り当てるのでほぼ同じと思われます。(劇伴は未経験なので想像ですが) 
VRの場合、カメラが動くので、音に位置を持たせている場合は、リアルタイムでの変化が必要になります。(音楽ではあまりないですが、例えば歌声だけ定位させたいなど)

尺が動的な場合
ユーザーが自由なタイミングで文字を送ったり、選択を待ったりといったインタラクティブなシーンの場合、音楽を止めてしまわないように、良い感じのところで、ループをさせたりする場合があります。


音を止めてしまう場合

場合によっては音を止める場合もありますが、その場合は、音が自然に止まるように、また、自然に再開するようにつながる素材も必要になる場合があります。
音楽的に不自然にならないように注意が必要です。
ビートに合わせて停止、再開させるなど、リズムが崩れないように気を遣うこともあります。

あまりに長時間遊ぶゲームの課題

アルトデウスBCもかなり長い時間遊ぶゲームです。 
その時間分の曲を用意するのが理想的ですが、とても大変で現実的ではありません。 
制作時間、コスト、印象が薄れないか、など。
なるべく、密度のある音楽で、且つ、飽きさせないようにするためには、
ある程度の規則性と繰り返しを利用します。

単純な繰り返しは飽きてしまう

もちろん、飽きない、長時間繰り返しても苦痛にならないような音楽も存在しますが、そればかりでは、味気ないさっぱりとしたものになってしまうかもしれない。(これは全体のデザインの話かもですが)

変化が多すぎても印象に残らない

とにかく楽曲を増やす というのも なかなか、全体を通してのテーマを持たせるなど工夫が必要になるかもしれません。

適度にそして比較的手間をかけずに曲を再利用する

音楽は、縦と横に変化を持つものです。
インタラクティブミュージックではよくでてくるのですが、概念なので、とらえかたによって縦横が変わってしまう場合があるので注意。

縦の遷移 レイヤーの変化(1st,2nd,3rd,4thといったパートが縦につまれているイメージ、または複数のトラックのStemの縦につまれたもの)
時間は同期した状態で複数の音が鳴っていて、それぞれの音量を変化させることで、違った印象を引き出すことができます。

横の遷横
 ブロックやセクション(イントロ、A、B、サビ、間奏、アウトロ)

曲のなかで、繰り返しに耐えられる部分というのは実は限られていて、ずっとサビとかだと息苦しくなります。 静かな部分、盛り上げていく部分、最大に盛り上がる部分、クールダウンする部分、気分を変える部分、など 
時によって変化が起こります。 
(曲が良いのはこのメリハリが良いものだったりするのかもしれません)

これらをうまく時間軸に並べて構成した時間表現になっているのですが、
たとえば、ジャズのアドリブやテーマをいろんな楽器が何回も繰り返したり、DJがキューポイントでループを作ったりといった、繰り返しに耐えられる部分、条件に合わせて、もりあげ、サビに到達する、終わらせる、といった演出をゲームに同期させることで、よりゲームの内容にあった音楽を流すことができます。

どういう素材を用意するべきか?

音楽を自由に、あとからインタラクティブに扱いたい場合、それを意識してStemとして素材を分割しておく必要があります。

リアルタイムの処理でもある程度の変化、クロスフェードや切り替えなどで対処も可能ですが、
適切に分かれている方が、リアルタイムでの制御のときに助かります。

あまり細かすぎても、ミックスバランスがおかしくなる可能性があるので、適度に分ける必要があります。(調整も可能ですがあとからの扱いが大変になる)

各レイヤー単体が、特定のイメージ(意味が近いもの)でまとまっている。
音が途切れないレイヤーにしておく。

楽器でわけたり、メロ、合いの手、だったり、サブのリズムとか、刻み系とか、 何かしら抽象的だけど、曲のパーツとして、分離、再統合しやすい形で分けておく。 

なるべく継続しているものの方が扱いやすくわかりやすいのですが、曲のジャンルによっても変わってくるので適宜対応が必要になってくるところ。

まとめ方次第で、いろいろ変化が変わるので、設計やイメージをまとめるのに注意するところ。

かぶるところはテールを残しておく

横に切り替わる部分は、テール(余韻)を含めてミックスをしたデータにし、 次のセクションの頭とかぶる部分と分離できるようにしておく必要があります。

もし、同じ楽器で、続けて次のセクションに入る場合などは、前のセクションで、ループができないなどおこりえます。 
サビ頭が少し飛び出しているとか、ブレスだけ前に飛び出しているとか、アーフタクトの場合など、時間的にかぶっているものは、 間を追加して素材化する必要がでてきます。

これらの素材側の調整や設計と、それをコントロールするミドルウェアなどの機能を活かすことで、ゲームのサウンドがより自然になじんでいきます。


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