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What is Progmat(プログマって、なに)?

はじめまして、三菱UFJ信託銀行あらため、Progmat(プログマ)の齊藤です。

2023年10月2日、「Progmat, Inc.」という新しい会社が誕生しました。
私は新卒から13年間働いた三菱UFJ信託銀行を希望退職し、"社内新規事業"として始めたProgmatを独立化させたうえで、代表としてリスクをとってコミットしていくことを決めました。

ということで、
なかなか銀行の中の人としては控えていた情報発信について、本日からは直接自分の言葉で始めていきたいと思います。

第1回目の本記事のテーマは、
「そもそも、Progmatって何なん?」です。


Progmatって、なに?(抽象)

私たちは何を目指しているチームかというと…

いわゆる、ビジョン/パーパス

さらっと、"Progmat"の由来にも触れていますが、"Programmable Trust"からきています。
たまに"プログマット"と発音していただきますが、"t"は無声音です。
(まぎらわしくてごめんなさい)

さて、"プログラマブル""トラスト"とは何でしょうか。
私たちなりのイメージは、以下をご覧ください。

"プログラマブルな信頼"とは?

わかりにくい概念は、比較しましょう。
「旧来の金融機関システム」よりも、システム間での連携がしやすく、自動化等が簡単になることを意味します。
「さまざまな詐欺まがいのブロックチェーン系プロジェクト」よりも、裏付資産の実在性や法令遵守の観点で、"突然価値がなくなる"不安がないことを意味します。

こうした世界観が実現したら、今よりも世の中前進していそうじゃないでしょうか。
実現するために、私たちが実行していくことは、以下をご覧ください。

いわゆる、ミッション

キーワードは、「価値のデジタル化」「プログラマブルなネットワーク」です。
これらの概念を、もう少し掘り下げたいと思います。

Progmatって、なに?(具体)

ミッションを体現するプロダクトの概要は、以下をご覧ください。

プロダクト(概要)

このイメージ図の左側は、
「価値をデジタル化」している側です。
3つ種類がありますね。

  1. セキュリティートークン(ST)

  2. ユーティリティトークン(UT)

  3. ステーブルコイン(SC)

STは、不動産や動産(飛行機等)、社債や株といった「キャッシュフロー(※)を生む資産」と結びついていますね。
※ここではザックリ、保有しているともらえる配当や利子、賃料収入等
UTは、ポイントやギフト、投票権やチケットといった「権利」と結びついています。
お酒とも結びついていますが、これらは「キャッシュフローを生まない資産」といえます。
SCは、円(¥)やドル($)といった法定通貨と結びついています。

これらの詳細な解説は別記事に譲りますが、
"虚無"ではなく、"実在する資産(アセット)・権利(ライツ)・通貨(マネー)"をデジタル化したデータである「トークン」にしていることが共通しています。
これらは、"リアルワールドアセット(Real World Asset=RWA)のトークン化"ともいいます。

RWAのトークン化とは、何でしょうか?
先ほどのイメージ図の右側は、「プログラマブルなネットワーク」で、左側で生み出したトークンを移転/流通させている側です。

Progmatの提供するRWAトークン化とはつまり、
複数の参加者間で更新/同期がしやすいネットワーク上で、
②実在する資産・権利・法定通貨に関する"権利保有者情報"を法律上の権利と一体でデータ化し
二重消費(二重譲渡)ができない形で、
移転/流通をしやすくすること
です。

裏を返せば、
①④がないとわざわざやる意味がなく、
②がないと不安定で、
③がないとコピーし放題で価値を表象できない。
という理解です。

Progmatのビジネスモデルは?

何を目指し(抽象)、何を提供するか(具体)はザックリご説明しましたが、
それで私たちはどんなビジネスモデルを考えているのでしょうか。

ミッション→ビジネスモデル→市場規模

提供するのは、ProgmatというRWAトークン化のための仕組みでした。
仕組みの詳細は別記事に譲りますが、
マネタイズポイントは次の2点です。

  1. License fee

  2. Transaction (Tx) fee

License feeは、いわゆるSaaSにおける「月額固定料金」と同じ考え方で、Progmatシステムを利用していただける会社(およびその取扱業量)が増えると、売上も増えるものです。

Tx feeは、トークンを移転する量に比例して、売上も増えるものです。
例えば、100億円の不動産をST化するとして、1トークンあたりの金額を10万円まで小口化するとすれば、100億円÷10万円=最大10万Txです。

つまりProgmatとしては、
①ネットワークに参加する利用会社が増え、
②トークン化するRWAの規模が拡大、
③RWAトークンの小口化が進展、

することにインセンティブをもっているため、これら3つを積極的に仕掛けていくことになります。
(ST、UT、SCで、それぞれ力点や水準が異なりますので、それらは別記事で解説します)

なかでも、
②が2,400兆円市場、というのは夢のある話です。
それも夢物語ではなく、国内外で既に始まっている大きなトレンドであり、"不可逆な確定的な未来"であるということがポイントです。

Progmat、実績あるの?

以下のファクトデータをご覧ください。

ファクトデータ

Progmatが事務局を務めるコンソーシアム組織、
「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」は、2019年の設立以降、既に214以上の組織に参画いただいています。

また、RWAの中でもいち早く法律が制定され、既に市場黎明期を脱しつつある国内ST市場は1,270億円規模に達しており、世界の中でも日本は"社会実装"が大きく進んでいるといえます。
なかでも、2021年夏にローンチした「本邦初の公募型不動産STプロジェクト」をはじめ、Progmatとしては不動産ST市場の成長を最優先に取り組み、約7割の市場シェア(834億円規模)を占めています。

…2019年?…2021年?…834億円?
本日設立された会社が、どういうことなのでしょうか。

Progmatって、何で独立したの?

まず、ファクトとしての設立に至る経緯は端的に以下のとおりです。
2010年04月|齊藤、三菱UFJ信託銀行入社
2016年12月|FinTech推進室新設
2017年05月|"仮想通貨"信託の商品企画開始
2018年01月|某取引所で仮想通貨流出事故
2018年09月|(金融機関への仮想通貨取扱禁止の風を読んで)ピボットし、"資産のトークン化"プロジェクト開始
2019年11月|"資産のトークン化"プロジェクト名を「Progmat」とし、コンソーシアム(現DCC)の設置と実証実験の開始について初公表
2020年05月|金融商品取引法改正(ST反映)
2021年03月|「Progmat ST」本番リリース
2021年08月|本邦初の公募型不動産ST発行
2022年02月|「Progmat UT」公表
2022年02月|「Progmat Coin」公表
2022年04月|独立会社化に向けた出資パートナー各社への提案開始
2022年12月|Progmatの独立会社化に向けた基本合意公表
2023年09月|Progmatの独立会社化に向けた株主間契約締結公表
2023年10月|設立☜New!

MUFG的には虎の子の、順風満帆のデジタル事業をなぜ独立させるのでしょうか?

Progmatは、MUFGから独立します

伊藤穰一さん(Joi-san)との対談動画や、
CoinDeskさんのインタビュー記事等、
無料で見れますので、よろしければ2.0倍速くらいで見てもらえると嬉しいです。

端的にいうと、
前述のRWAトークン化という"不可逆で確実に来る未来"を前提に、
いつどんな波が来ても全力で乗れるよう、
"最適なポジショニング""組織スタンス"を得るために独立の会社としました。

Why 独立会社化?

まずはポジショニングについて。

あらゆる可能性に備えるうえで、幅広いプレーヤーとの連携は必須です。
そして、特に金融という独特のマーケットでは、資本系列の違いが絶対的な競合意識を生んでしまいます。
端的にいえば、
"三菱のプラットフォームに、三井、住友、芙蓉は乗らない(逆も然り)"という世界です。

よって、
Progmatは既存金融市場における競合も株主として参画いただき、三菱UFJは49%以下のシェアに留めることで、支配権を持たない形としています。
更に、RWAトークンの2大流通市場として、東京証券取引所等を傘下にもつ日本取引所グループ(JPX総研)様と、大阪デジタルエクスチェンジ等を傘下にもつSBI PTSホールディングス様にも参画いただき、
「ナショナルインフラ」としての位置付けを明確にしました。

2023.9.11.設立発表会

また、
金融機関がSIerに委託発注する従来のスタイルでは、状況の変化に対してリスクをとった機動的な開発・運用が困難です。

よって、
日本の金融市場インフラを支えてきたNTTデータ様と、グローバルでも注目を集めるブロックチェーン間連携技術を有するDatachain様にも参画いただき、"最先端かつ高い信頼性をもつソフトウェア開発が可能なスタートアップ"化もしています。

唯一無二の株主構成

そして、
欠かせないのが組織のOSであるValueが、組織としてとるべきスタンスと整合的であるかどうか、
です。

Progmatは、どんなチーム?

Progmatの組織スタンスとして重要なのが、
①全体最適を図ること
②スピーディな探索

の2点でした。

これらを促す行動規範/価値観であるValueが、
①徳
②野性
③実動

の3つです。

ProgmatのValue

①徳は、齊藤の尊敬するチームであるLayerXさんの Valueでもあります。
当然に、代表の福島さんにも予め仁義を切ったうえで掲げているものです。
※LayerXや福島さんとのエピソードについては、別記事でまとめたいと思います。

②野性は、齊藤の尊敬するアカデミックの先生の1人で、ナレッジマネジメントで有名な野中郁次郎先生の理論に由来しています。

③実動は、齊藤がこれまで仕事をする中で心掛けてきた基本動作に由来しています。

このようなValueを共有できるメンバーが、Progmatのチームです。

Progmatって、どんな環境?

本記事の最後に、
組織としてのProgmatがどんな環境かをザックリご紹介します。

まず前提として、
メンバーと組織の関係はどんな状態が最良といえるのかについて、私たちの考え方は以下のとおりです。

Progmatの考える、メンバーと組織の最良の関係

これは業界業態、企業規模、プロダクトライフサイクル、経営者によって絶対的統一解はない、
ということははじめに申し上げたいと思います。

そのうえで、少なくともProgmatとしては、
メンバーに封建的な帰属意識は求めたくない、というスタンスです。
むしろ、各メンバーは会社のためではなく自分のために市場価値を高めることにエネルギーを注ぎ、どこでも勝負できるプロフェッショナルを目指す方が健全だと思っています。
(いわずもがな、MUFG内での齊藤自身がその典型例でもありました)

そのうえで、
組織として重要視しているValueが、個人としての市場価値向上に必要な要素とアラインしていると、理想的といえそうです。

更に、
組織やマネジメント(つまり私)の責務としては、
そんなプロフェッショナルなメンバーが、それでもProgmatを所属組織として選んでくれるようなワークエクスペリエンスを提供することが重要であり、
"お互いに選び、選ばれる"、上下ではなく横の関係を構築する必要があります。

こうした考えから、Progmatでは以下の3つの要素を担保し続けたいと考えています。

Progmatの環境3要素

なかなか、いわゆる"JTC(伝統的日本企業)"では、実現/継続するにはハレーションが大きそうです…。
新しい会社であるProgmatは、ゼロベースでレガシーがない分、 Day1からこのような環境でスタートすることができます。

最後に…

Progmatが何を目指し、
何を実行し、
具体的には何を提供し、
どんなビジネスモデルで、
なぜ独立化し、
どんなチームで、
どんな環境か?
まずはバックリとイメージを掴んでいただけましたでしょうか…?

客観的なお声として、
金融安定理事会(FSB)から

グローバルでも最も先進的なトークン化プロジェクトの1つ

というありがたい評価コメントを頂戴し、グローバルイベントでご説明する機会をいただいていたりします。

或いはもっと身近なところだと、

トヨタ、ソニーに続き、日本から海外に展開できる可能性のある数少ない領域で、夢があって楽しそうだよね

というお客様のお声の数々も頂戴しています。

こうした期待感からか、Progmatに入社をしてくれるメンバーが続々と集まってきてくれています。

冒頭に申し上げたとおり、
"三菱UFJ信託銀行を希望退職する"と決断した理由がこれです。
つまり、「リスクをとって入社してくれるProgmatメンバーに対し、代表が'銀行出向者"ではダサさぎる」という想いです。

このような齊藤の我儘に対して、「思い切りやってこい」と全力で背中を押してくれたMUFGのマネジメントメンバーには、感謝してもしきれません。

また、独立すると決めて動き出してから、これまで以上に仕事に邁進していく中で、明るく楽しく家庭を支えてくれた妻や子供たちにも、この場を借りて感謝したいと思います。

Progmatとして、これまでいただいてきた期待やご恩をしっかり返していきます。

本日公開した取締役メンバーに関する解説を含めて、これから積極的に情報発信していきますので、引き続きご注目いただけると嬉しいです。

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