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【ボクシング】 「パンチ力アップ」 拳を守る"バンデージ"が持つもう一つの効果

先月、ボクシングで世界中が注目する一戦「WBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」が行われました。

結果 〇井上尚弥選手 8R 1分14秒 TKO ×スティーブン フルトン選手

モンスター・井上尚弥選手の圧勝で、試合から1ヶ月経った今でも、ボクシング界では井上尚弥選手の今後についての話題が途絶えません。


一方で、この世紀の一戦の前に話題になったことがあります。

それは対戦相手であるスティーブンフルトン陣営からバンテージに対して物言いがあった会見です。

物言いとは、「バンテージを巻く前に、拳にガーゼを巻いているが、その分量が多い」ということ。

つまり、海外ではテープを直に巻くのは禁止ではないが、あまりにも分量が多いので拳を硬くしているのではということでした。

バンテージの巻き方は、試合が開催される国のルールに従って巻くことになっており、日本のルール上、問題ありませんし、両者同じ巻き方ができます。

結論、両者話し合いの結果、試合はバンテージを巻く前にガーゼを1枚噛ませるというルールで落ち着きました。


バンテージは拳を守る物

バンテージは大前提、拳を守るものです。

素手でコンクリートを全力で殴ることを想像してみてください。

簡単に折れてしまいますよね。
パンチ力が高ければ高いほど危険ということが容易に想像できると思います。

だから、バンテージを拳に巻いてからグローブをはめるのです。

ボクシングは相手が人であろうと、拳が腫れ上がるほどの衝撃が拳に加わり続けます。(ボクサーの宿命…)

2016年5月8日の試合後の井上選手の拳
(スポニチ様から引用)
https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2016/05/10/gazo/G20160510012559240.html


バンテージは手首を固定する役割もあるため、結果的にパンチ力が上がる

スティーブンフルトン陣営もバンテージは拳を守るためのものであり、巻き方は各国のルールに従うということも百も承知だったと思います。

では、なぜ会見でバンテージについて言及したのか。

それは手首を強く固定する=パンチ力が上がるからだと思います。


「パンチ力=体から生み出した力」になるので、体から力が逃げなければ逃げないほどパンチ力は上がります。

体の構造を想像してみてください。

体から生み出した力が拳を伝わって相手に伝わる力がパンチ力です。
つまり、力の流れは以下のようになります。

肩 → 肘 → 手首 → 拳


パンチを打ったときに一番曲がりやすい場所が、一番力が逃げる場所です。

つまり、一番曲がりやすい手首を固定すれば、パンチ力は逃げにくくなります。

井上尚弥選手の元々パンチ力が桁違いだからこそ、ガーゼで拳と手首を固定してからバンテージを巻くことが許されている日本ルールで戦うことをフルトン陣営は拒んだのだと思います。

勝率を少しでも上げるための作戦ですね。

ここで一つ言っておきたいのが、パンチ力を上げるために手首を固定するのではないということです。

手首が曲がりやすいということは怪我もしやすいということなので、あくまでも、手首を守るために行う処置が、結果的にパンチ力向上につながるということです。

井上尚弥選手のパンチ力は本当にすごいので、拳にかかる負担も想像を絶します。
本当に怪我を予防するという観点で、バンテージを巻く前にガーゼを巻いて欲しいと心から思います。

まとめ

ボクサーにとってバンテージは、拳と手首を守るための最重要アイテムの一つです。

体の構造上、手首を固定することによって、力が逃げにくくなる=力が相手に伝わりやすいということになりますが、ボクサーの強力なパンチの衝撃を受け続けている拳と手首は最も守るべき箇所です。

井上尚弥選手の桁違いなパンチ力。
今後の試合でも、都度、バンテージについて指摘がある可能性がありますが、そのときはこの記事を思い出していただければと思います。

以上です。

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