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建築家「ユハ・レイヴィスカ」

フィンランドの建築家で教会などの設計で有名な建築家、ユハ・レイヴィスカ。彼の作品を本や写真で見た時は、そこまで感動はありませんでした。フォトジェニックでいわゆる映える建築なのだろうと思っていました。

2018年、ミュールマキ教会にて撮影

ただ、その考えは、実際の建物に訪れてみたら変わりました。初めてミュールマキ教会を訪れた時、訪問者は私だけしかいませんでした。そして、礼拝堂に入ったらすぐにベンチに座らなければならない感覚になりました。その理由は、すでにそこでは光の演奏が始まっていたためです。私は静かに耳を澄まし、そこに流れる光の波から空間を感じ取りました。この感覚は、私が30歳になる前に芽生えた感覚である「建物から音楽が聴こえる」ことの前兆だったのかもしれません。これについては、以前の記事で紹介していますが、ユハ・レイヴィスカ自身も建築は音楽に近いと言及しています。

建築は視覚芸術より音楽に近い。建築や建物をその内部の空間やディテールとともに特質化するとは、環境の有機的一部となさしめること、その大きなドラマ、運動や空間的な連続の一部となさしめることである。私にとっては建物がそこにそれとして建つこと、「建築の一つとして」建つことは無意味である。建築や建物が建つことの意味は、ひとえにその周囲や生活や光との対位旋律的な在り方を通してのみ発生する。 ユハ・レイヴィスカ『A+U』1995年4月号13頁

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