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『拾われた男』が素晴らしかった件。

『拾われた男』

松尾諭さんの半生を、ご本人が自伝として書いた書籍『拾われた男』。
今回観たのはドラマ版で小説はまだ読めていませんが、このドラマがまあ良かった。最終回はツーっと涙がこぼれていました。

最初、松尾諭さんのドラマがDisney+で配信されると友人から聞いた時に、「松尾さとる……名前は聞いたことがある気がするけど誰だっけ…」が最初に思った正直な感想でした。
ググってみて「あ、シンゴジラで見た人だ!」とやっと認識できたくらいでした。

松尾さん役を太賀さんが演じているということで、役者が役者を演じるという何とも言えない面白い設定に惹かれ見始めました。

嘘みたいな本当の話

最初は嘘みたいな本当の松尾さんの人生が描かれていて、それはそれで「本当にこんなことがあるのかぁ」と驚きながら、そして楽しみながら見ていました。
ドラマの冒頭に松尾さんご本人が出てくるのも面白いですし、編集者役を夏帆さんが演じているのも妙にしっくりきていて、毎回ニヤニヤしながら見ていました。

細かい内容に関しては、見てくださいと言いようがないのですが、
関西人(関西弁)ならではのテンポのよさと、他人を信用しているんだかしていなんだかよく分からない人間関係が描かれていて、気持ちよく見ることができました。

そして、私が泣いてしまったのは、物語後半のお兄さんとのエピソード。
ドラマを通して、お兄さんは困った人で、勝手な人で、言ってしまえば救いようのないダメなお兄さんとして描かれています。
きっと当時の松尾さんには、お兄さんがそのように映っていたのでしょう。

松尾さんが俳優を目指すのと同時期に、なぜかお兄さんはアメリカに飛び立ちます。そして15年以上、音信不通になります。家族としての縁も切ることになります。
もう本当にダメなお兄さんなのです。

絶縁状態になって15年ほどが経った時にアメリカから「お兄さんが倒れた」との連絡が届きます。
そこからの怒涛の展開に文字通り目が離せませんでした。

兄弟愛といいますか、はじめから人間愛に溢れているといいますか、「拾われた」とタイトルにありますし、物語を見進めてもたしかに「拾われた」運の強さは本当にすごいです。
ただ、人生を振り返って、自身の出来事を物語にまとめる時にこれまで出会った人やこれまでの出来事に感謝をしている内容を見ると、運を手繰り寄せているように見えてくるから不思議です。

「まずは君が冷静になれ」。他人に言っているようで、自分にも言い聞かせられる。そのセリフに鳥肌が立つ物語でした。

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