見出し画像

「あなたのことが好きでした」の謎

むかーしむかし。
まだ私が高校生だった頃。
下の学年の男の子が、私のことを好きらしいという噂が聞こえてきた。

しかしだ。
当時その男の子には、しっかり付き合っている彼女がいた。

だから私は噂についても、何をのたまっていらっしゃるやらと、まったく相手にしなかった。

そんなある日。
休日の部活の帰りだったか。
駅前をぶらぶらしていたら、くだんの年下の男の子が突然目の前に現れた。

え、何この状況。
と思っていたら、男の子が真剣な顔で私に言った。

「あの、俺、〇〇と付き合ってますけど。和珪わけいさんのこと、ずっと好きだったんで」

それだけ私に告げて、その子は立ち去った。
そのときの私の気持ちは――

は?

何言ってんの?


である。
突っ込みたいことは山ほどあった。

まず君は、現時点でナントカちゃんと付き合っているはずだ。にも関わらず、私に告白をしてきたと。なんじゃそりゃ。彼女に失礼だと思わんのか。もしくはちゃんと別れてから告白しに来いよと。

ていうか今のは告白なのか?
「好きだったんで」って過去形だよね。そんなこと言われても、「で?」としか言えない。
で、君はどうしたいの。なんなの。私と付き合いたいの? それともただ「以前は好きでした」って報告したかっただけ?

それってなんの意味があるの?
自己満足でしかないのでは?
あなたはスッキリしたでしょうけど。
私はどうしたらいいの。
どうもしないけど。

とりあえず君は、彼女を大事にしろ。

その日私は、なんかムカつきながら自転車をこいで帰宅した。ムカついたし、モヤッとした。

いまだにドラマとかで「ずっと好きでした」ってセリフを聞くと、あのときを思い出して「過去形だなぁ」とつぶやき、モヤッとする。

あと「昔好きだった人に似ていて好きになる」というパターンにも、イラっとする。それはただの「代わり」だろと。

私だったらそんなこと言われてもまったく嬉しいとは思わないし、「だから何」って言いたくなる。

おかしいだろうか。
真面目すぎるだろうか。

いまだにあのときの年下君の真意がわからなくてモヤッとする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?