_タクシードライバーは見た__深夜の公園_のコピーのコピーのコピーのコピー

#タクシードライバーは見た「口に出すのが照れちゃう目的地」

50代前半ほどの男性をお乗せした。
スマホを操作しながら、乗ってくると
目的地をいう時に「ぶふっ」と吹き出すように笑った。

スマホの画面のメールか何かが面白かったのだろう。
そう思いながら目的地を聞くと、再び笑いながら
「なんでしたっけ?あそこ、、」
「はい」
「えっとー、神谷町のちょっとさきの」
「芝公園ですか?」
「いや」
「赤羽橋ですかね?」
「いや」
「虎ノ門でしょうか?」
「違います」

この時点でなんとなく見当はついた。
きっと「御成門(おなりもん)」だろう。

東京には「御成門(おなりもん)」という地名がある、
東京タワーから目と鼻の先くらいの場所。

お客様はその「オナリ」という文字で何かを連想し、
乗ってくる際に笑ってしまったんだ。
そう予想した。

しかし、なかなか「御成門」とは言わない。
もう連想してしまった以上は恥ずかしくなってしまったのか。

既に見当がついていた僕も何故か「御成門ですか?」と聞けない。
いつもは普通に口に出すが、お客様が恥ずかしそうにしているのを見て
なぜか僕も恥ずかしくなってしまった。

何度も通っていると、特に気にはならないが
やっぱり反応してしまうのだろうか?

「御成門」

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