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41歳父の竹修行奮闘記 第四十二回「世界初(?)オンラインで竹細工WS」

世の中、終わりの見えない自粛自粛の嵐で、ご多分に漏れず、地域内での対面での仕事をメインとしてきたせいもあり、私の仕事も大幅に減っている。

そんな中、とあるTwitterのフォロワーさんからコメントが来た。

竹を割るのはハードルが高そうなので、編める状態からのレッスンはふざけんなですか🙇‍♀️🙇‍♀️

「ふざけんな」とまでは思わないけど、現在の私の竹部の活動は基本、材料作りから学んでもらうことにしている。材料が自分で作れない限り、継続的に竹と関わることは難しい、という考えあってのことだ。

だがはたと閃いた。

今後、竹部の部員たちの「しごと作り」を行う上で、「ひご作りはハードルが高いけど、材料を買えるなら編みたい」という人たちは、すごく大切な存在になってくるのではないか。

そして編むだけでも竹と触れる人が増えれば、その中でひご作りからやりたい人も出てくるだろうし、編みのスペシャリストも育ってくるかもしれない。

意思は固まった。

ワークショップ概要を決め、申し込みフォームを作り、Twitter、Facebook、noteで告知を出した。ありがたいことに竹関係の知人たちが興味を持ってシェアしてくれた。

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10人くらい申し込みがくれば御の字と考えていたが、フタを開けてみたら、合計28人から申し込みがあって驚いた。北は北海道から南は鹿児島まで。自宅待機が促されている世相ともマッチしたに違いない。

ワークショップの日時を決めずに募集を行ったため、メールで候補日を提示し、希望日を教えてもらい、参加者を4日程に振り分けて行った。

日程に合うように、材料のひごをせっせと作り、レターパックライト(全国一律370円)で発送。竹ひごを送ったのはさすがに初めてだ。

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そして前日には、今までまともに使ったことのないZoom(ビデオチャットアプリ)のテストを行い、とりあえず準備完了。

ちなみに参加日ついては基本希望に応じたため、5/3 3人、5/4 7人、5/5 11人、5/6 5人となった。残り2人は日程が合わず、別日で調整することに。

いざ出陣。

昨年だけで50回以上のワークショップを重ねたこともあり、レクチャーのスキルやホスピタリティーに関しては、私は絶対の自信を持っている。私にとってワークショップは、職人が伝授するというより、むしろサービス業、もっと言うと福祉業、つまりケアの仕事に近い。

オンラインの画面上のみで行うワークショップは、予想を超えてタフだった。

参加者がモニターとして見る画面と、参加者の側を映すカメラが一体化していることが多いため、参加者は画面を見たいが、画面を見ると手元を見せることができない。手元を見せると、画面を見ることができない、というジレンマに陥る。

そして何より大きいのは、手直し手助け

リアルでのワークショップの場合、時間の都合もあり、適宜私が手直しと手助けを行なっている。編み間違いがあった場合、ほどくだけでなく、編み直しまでやってしまうことが多い。

だがオンラインでは、私は「手出し」ができない。

さらに、参加者の画面に映った編みかけのかごの、部位を指差すことができないため、編み直しをアドバイスすることが極めて難しい。「そのひごを抜いてください」「はい」「あ、それじゃなくて…」「あ、これですか」「いやそれでもなくて」といった、身悶えするやりとりに申し訳なさが禁じ得ない。

そして極めつけが、参加者の方のデバイスのスペックによっては、どれだけ近くで映してもらっても映像の解像度が低くて、物理的に編みをチェックできない、ということが稀に起きた。

とこう書いてくると、トラブル続きで参加者の満足度も低かったのかと思われるかもしれないが、こちらも私や予想を遥かに超えて、参加者の満足度は高かった。

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そして、一人だけ通信障害のため途中離脱があったものの、その方を除いて、全員のカゴが仕上がった。これには心底驚いた。

先ほどボトルネックはあげたが、もちろんオンラインならではの利点もすごく多かった。

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まずは、家にいながら竹細工が学べる。これはもう本当に革命的なことで、小さな子どもがいたり、寝たきりの高齢者がいたり、人里離れた場所に住んでいたり、といった今までのハードルを軽やかに飛び越えるイノベーションでありブレイクスルーである。

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さらに、私の目線から、かなり鮮明かつ大写しの状態で、編みの手順を伝えることができる。これはリアルのワークショップをやり散らかしてきたからよくわかるが、対面でのレクチャーの場合、左右が逆になったり、どうしても距離があって細かい手の動きが伝えきれなかったり、と歯痒さがハンパないのだが、オンラインではその一番キモの部分を分かりやすく伝えられるのが、本当にありがたかった。

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そして何より大きいと感じたのは、継続性である。リアルのワークショップをやっていつも空疎さを禁じ得なかったのは、一回限りで終わってしまうことが多く、次につながることが極めて少ないことだ。もちろん私の持って行き方の問題もあるが、リアルのワークショップに来る方で、再度ひごを買っておうちでまた作りたい、という要望はあまり聞こえてこなかった。

しかし、今回はワークショップ参加者に限り、復習用の追加ひごの注文を可能にしてみたところ、現時点で既に21セット分の注文が来ている。いくつも作って熟練したら、また別のものが作りたくなるし、竹細工が日常の中に組み込まれていくかもしれない。これは実は予期していなかったけど、なによりも嬉しいことだ。

とまあそんなわけで、お一人の要望から始まった今回のオンライン竹細工ワークショップは結果としては大成功で、私自身としても「何とかなりそうだ」という手応えを得たので、この学びと気づきをお世話になっている竹関係者と共有しつつ、次の手を打って行きたいと思っている。

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そうだな、次は、鍋敷きにしようかな。

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