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自己紹介・現在の関心テーマ

私は東洋英和女学院大学を昨年2019年3月に定年退職し、現在は特任教授として、学部と大学院で生命倫理学、死生学関連の授業をしております。目下は、コロナ禍のためにオンライン授業を慣れないながら頑張って行っております。

また、本大学の生涯学習センターで「小さな死生学入門」、「市民ための患者学」、「映画で学ぶ死生学」、「終活で学ぶ死生学」を担当しています。しかしながら、本年度はコロナ禍のために、前期は開講されませんでした。後期の開講については、現在検討中で7月末には決定される予定です。

以上のように、流動的な状況で現在講義等は進行していますが、研究テーマに関しては、「小さな死」ということを中心に進めています。「小さな死」については、拙著『小さな死生学入門ー小さな死・性・ユマニチュードー』(東信堂、2018年)で論じていますが、カトリックのシスターであった渡辺和子さんが、ベストセラーとなった『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎、2012年)などで論じた「小さな死」によって触発されて考えはじめました。

生命倫理学に関しては、日本のおける生命倫理学の議論の歴史的経過を見直し、そこに欧米とは異なる特徴があるのではないかということを文化的文脈から考えることの必要性を考え、そのような問題意識を持って、ここ10年ほど取り組んでいます。そのささやかな成果としては、拙著『生命の問いー生命倫理学と死生学の間でー』(東信堂、2017年)があり、前述した「小さな死」をめぐる議論もその延長線上にあると考えています。

以上が、現在の状況と研究テーマですが、コロナ禍の中で、改めて日本における生命倫理学や死生学の議論の意義が問い直されていると思い直しています。コロナ禍で図らずも露呈した、日本の医療の脆弱性を知り、日本における生命倫理学の議論の無力感を知った思いです。新型コロナウィルスの感染の実態がなかなか明らかにされない中で我々はどのように日常生活を確保していくのかという基本的な問題の中にこそ生命倫理学や死生学の課題があることを改めて考えました。その意味でも、いろいろと発信していきたいと思っています。

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