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映画祭プロデューサー大久保竜がNCW(ニューシネマワークショップ)にて特別講義を開催!「膨大な取材映像を形に残すことに意義がある」

昨日、TBSテレビ報道局の局次長であり「TBSドキュメンタリー映画祭」の企画・エグゼクティブプロデューサーを務める大久保竜が、映画業界を目指す学生や社会人へ特別講義を実施しました!映画の制作や配給・宣伝などを学ぶ映画学校「ニューシネマワークショップ」に集まった約40名(うち8名リモート出席)に対して、本映画祭の成り立ちや作品選定の裏話、映画祭後の展望などを語り尽くしました!

「我々は普段膨大な人とお金をかけてさまざまな取材を行っていますが、取材映像はテレビだとニュースの中のたった数分の紹介で終わってしまうこともあるので、それをまとめる場所があればいいなと思っていました。こうした取材映像は当時の記録として大切に保管すべきですし、今ならまだ実際に事件や歴史を知る人が生きているので、ファクトチェックもできます。そうしたロードマップの作成にも意義があると思いますし、実際に賛同してくれる人々も多かったです」と、取材映像を形として残すことの重要性を説く大久保プロデューサー。そうしたTBSのアーカイブ映像を整えて映画として上映したら面白いのではないか、それを望んでいる人がどこかにいるのではないか、という思いから「TBSドキュメンタリー」は始動しました。
大きなきっかけとなったのは、2021年に開催された記念すべき第一回TBSドキュメンタリー映画祭でも上映された『三島由紀夫vs東大全共闘 〜50年目の真実〜』(豊島圭介)。TBSが所蔵する貴重な映像をもとに制作されたドキュメンタリー映画である本作は、報道部門と映画部門のコラボによって作られ、ドキュメンタリーでは異例の興行収入2億円以上を達成。知的財産である膨大な取材映像を使ったIP展開の可能性を高める一作となりました。以来大久保は、過去の取材映像をアップデートして作品化し、映画館で上映することをミッションとしています。

企画・エグゼクティブプロデューサー 大久保竜

当初はアーカイブ映像の発表の場として生まれた本映画祭でしたが、実際に社内で上映作品を募集すると、記者やディレクターたちから次々に手が上がり、アーカイブ映像に限らず、新作も含めて自分たちが伝えたいことを映画にして伝えたい人たちが多数いることがわかりました。そこでTBSのドキュメンタリー番組「解放区」で反響が大きかったものを中心に、作り手の熱量の高い作品を上映ラインナップとして選定していったのだと言います。大久保は、「初めこそ勢いでスタートしましたが、この映画祭をどのようにシステム化していくかも考えていました。『解放区』で放送して反響の良かった作品を映画祭で上映、その上で配給会社から声がかかり、映画館での単独興行につながる作品も出てきて、そうした連動が特徴的な映画祭になっていきました」と熱く語りました。
 
今年でついに4回目を迎える本映画祭では、上映作品に応募してくる監督は、記者やニュース編集やドラマのプロデューサーまで実にさまざまです。大久保プロデューサーは、「普段の仕事という意味での本業は別にある人たちですが、自分のライフテーマ、気になったことをどうしても世間に伝えたいという思いや熱意に溢れています。本当にいろんなテーマのドキュメンタリー作品が出てくるので、テーマが絞れないこともこの映画祭の特徴の一つ。だから毎年、どうしても撮りたいものがあって熱い気持ちが感じられる作品を選定しています。今年上映する15本も力作揃いです!」と自信をのぞかせました。
 
さらに、テレビとは違う映画ならではの強みとして、大久保プロデューサーは「表現の幅」について「テレビで放送する時は、放送コードも意識しながら適宜映像を編集しますが、発信者にはジレンマがあります。たとえばストレートニュースだと事件や事実を紹介するだけでも、映画ならもっと掘り下げられる。表現の幅が広がるし、自分の伝えたいテーマを深く掘り下げられるのも、映画祭の重要なポイントです」と言及しました。

あわせて大久保プロデューサーが重視しているのは、映画祭という興行を意識した作品選び。「ドキュメンタリーの場合、興行作品として重要なのは、ジャンルのコミュニティやソサエティの人々に興味を持ってもらえるかどうか。たとえば今年のラインナップでいうと、ボーイズグループ「カラフルダイヤモンド」に密着した『カラフルダイヤモンド〜君と僕のドリーム〜』は、彼らのファンクラブの方々が観に来てくれるというイメージがつきやすい。坂本龍一さんの活動を追った『坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち』も、坂本さんのファンや影響を受けた世代の方々がたくさんいらっしゃるので、そういったコミュニティやソサエティに属する人たちを呼べる可能性が高い。お金を払って作品を観ていただくというのは、それだけ大変なことなんです」と、上映ラインナップの選定における戦略についてもコメントしました。
その上で大久保プロデューサーは、「もちろんそれだけでなく、イスラム国の今を追いかけた『BORDER 戦場記者 × イスラム国』のような、見る人に問いかけをする“問題提起作品”も扱っていきたい。まだあまりファンがついていないと思われる作品を広めることも本映画祭の使命だと思っているので」と語り、「いずれは海外の映画祭にも出品するなど、世界にも広げていきたいんです。もっと気軽にドキュメンタリーが観られる空気を作って、ドキュメンタリー文化も発展させていきたい。」と今後の展望についても明かしました。
 
講義の後半には、参加者たちから続々と質問が。「予告編でドローンの映像など本格的なシーンも見られたが、社内ではどんな体制でドキュメンタリーを撮っているのか?」という質問には、「希望する監督にはプロの編集ディレクターを用意して、適宜アドバイスしたり、監督の撮りたいイメージを具現化するサポートをしています」と、日々いろんな番組を手掛けているTBSならではの充実したサポート体制について言及。作品や映画祭に関する費用についての質問をされると、大久保プロデューサーは「たとえ報道番組のアーカイブ映像から作ったドキュメンタリー作品であっても、映画祭はイベント事業として別の予算になります。テレビ放送と興行は別なので、映画祭はすべて興行の予算になるんです」と予算事情について回答する一幕も。
 
最後に大久保プロデューサーは、「本気で頑張っている熱量が高い人々がいて、それに負けない熱量の監督たちがいる。その集合体がTBSドキュメンタリー映画祭です。監督たちは、自分の思いや人生を投影してドキュメンタリーを作っているので、どうかその熱量の高さを受け取ってほしいなと思います。もっともっと映画祭の認知度を上げていかに盛り上げるかが、私のミッションでもあります」と力強いメッセージを送り、講義は終了しました。

 
<登壇者プロフィール: 大久保竜>
TBS DOCS、 TBSドキュメンタリー映画祭の企画、エグゼクティブ・プロデューサー。TBSテレビ報道局局次長、報道コンテンツ戦略室長。音楽バラエティ班、ドラマ班を経て情報バラエティ番組の立ち上げを多数。過去の主な企画・プロデュース番組は「サンデージャポン」「爆報!THEフライデー」「桜井・有吉THE夜会」「有吉ジャポン」など。
 

<ニューシネマワークショップについて>
2024年に28年目を迎える映画学校ニューシネマワークショップは、監督・脚本等を目指す「映画クリエイターコース」と、配給・宣伝等を目指す「映画ディストリビューターコース」を、毎年4月と10月に開講しています。
現在、2024年度4月コースの申込を受け付けています。
 
また、次回説明会を3/3(日)と3/24(日)に実施いたしますので、ご興味のある方は以下のURLよりご予約ください。
https://www.ncws.co.jp/flow/guidance.html
 
最新情報は公式Webサイト並びに公式SNSからご確認いただけます。
 
公式サイト:https://www.ncws.co.jp/
公式X:https://twitter.com/NCW_JP
公式instagram:https://www.instagram.com/ncw_jp/
公式Facebook:https://www.facebook.com/newcinemaworkshop
 
 
 
 
 
 
 

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