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シュクメルリの故郷ジョージアとっとこ弾丸旅行 トビリシでのんびり精神修行編(旅行者向け実用情報もあるよ)



 やってきましたジョージアはトビリシ!飛行機から出た瞬間、そこかしこにジョージア文字の案内があり、漢字の読めない外国人の気持ちを擬似体験することができた。まるで異世界に来たような気分である。ワクワクするぜ〜(勉強してから行きなさい!というのはごもっともなのだが…)

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読めないよぉ… でも文字かわいい

 コロナ禍の入国はいつも少しドキドキするが、ジョージアも無事、ワクチン接種証明書(もしくは72時間以内PCR陰性証明)で入国!質問ゼロのスムーズ通過だった。問題はパスポートチェックの直後…

 旧共産圏を旅行したことがある方ならわかるかもしれないが、空港の到着ゲートを抜けたらそこはだいたい魑魅魍魎の地なのだ。

 まだ私自身、そこまで色々な大陸や文化圏や国々に行ったことはないが、現地に降り立った瞬間「タクシー?」「タァクスィ?」「タクシ?タクシ?」「タァクスィ?」と大量の客引きに声をかけられ、少しでも立ち止まろうものなら、すかさずおっちゃんや姉ちゃんが集まってくるという、さながら誘蛾灯やマグネットの気分を無料で体験できる。

 ジョージアも例に漏れず、ものすごい数のしつこいタクシーの勧誘を受けた。というか、今まで訪れた旧共産/社会主義国(アルメニア、ウクライナ、カザフスタン、チェコ、バルト三国、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ロシア)の中でダントツで勧誘がしつこかった。こういう「タァクスィ?」攻撃は断ればたいていすぐ引き下がってくれるのだが、今回は断っても着いてくる、断っても理由を聞いてきて食い下がってくる、断ってもまた勧誘してくる、断ってもまた別の客引きが勧誘してくるなどまさにエンドレス勧誘タイムだった。

 しつこいのは空港だけかと思っていたらトビリシ旧市街や大きめの公園でもしつこいツアー勧誘がものすごくたくさんあり、かなり精神力を鍛えられた。本当に個人的な体感だが有名なイスタンブールより客引きがすさまじかったので、初めての海外や、初めてのジョージア訪問という方は気合いを入れて行くことをおすすめする。

 ちなみに地下鉄では物乞いの子供が腕を丸め、ガバッとジョージア人に抱きついてお金をせがんだり(これが本当のマルジョバ…ゲフンゲフン)、杖を持って大きな十字架を首からかけた髭の老人が乗り込んできて杖を床に突き刺し、すさまじい大声で演説をぶった後に片手に持った紙コップを人に差し出して回ったりとパワープレイが多かった。

 このような客引きや物乞いに遭遇した場合、私が取る方法は「徹底的な無視」なのだが、私が今回(2022年4月)トビリシ行きに使ったのは早朝4時着の便で、空港→市内中心部への始発バスを朝7時まで待たないといけなかった。

 空港内のお店で、バス待ちの間にトビリシで使える交通カード(日本のSuica的なもの)とSIMカードを購入したかったのだが、到着した人よりも客引きの数の方が多く、到着フロアはギッシリと客引きで埋まっていた。客引きとのアツい切磋琢磨を体験したい方にはぴったりかと思われる。

 前に進むのも一苦労といった有様だったので、カフェの中までは入ってこないはず…と踏んで、不本意ながら到着フロアにあるカフェへ退避することにした。空港価格でコーヒー飲むのは悔しいけど…オアシスのような店内から外を眺め、客引きが元気に仕事しているのを観察して謎に元を取ろうとしたりしていると、タクシーで市内へ去っていく客とともに徐々に人の群れもはけていき、1時間もすると到着フロアはガランとして誰もいなくなった。(そして更に言うと、謎の靄がかった空気が外から入ってきて30mほどしか離れていない向こうの壁すら見え辛くなっていた。さながらホラーゲームのSIRENである)

 今考えれば、出発フロアのある隣の建物まで移動してそこのベンチで待機していれば良かったのだが、初手でそこまでの発想に辿り着くのは無理ゲーかなと思うのでヨシ!ちなみに市内中心部までのバス(337番)は出発フロアのある建物の目の前から発着している。


SIMカードと交通カード

 SIMカードはBeelineで、交通カードはジョージア銀行で購入した。4GBで9GEL(約350円)のプランを選択。特にこれで困ることは無かったが、トビリシからエレバンへの夜行列車に乗った時、トビリシから少し離れただけでほぼ繋がらなくなったので、郊外や都市間でもデータ通信をサクサク使いたい方は、カバー率の高い他社のSIMカードを市内で買う方が良いかと思う。ちなみに私はトビリシ市内しか回らなかったため、特に困らなかった。

 そして交通カード(メトロカード)をオレンジ色が目印のジョージア銀行で買ったのだが、事前にネットで調べていた情報と違い、買ったカードを機械でチャージできなかった。後で調べてみたが、私が貰ったのは「New Travel Card」という回数制ではなく期間制の旅行者向けカードであり、プラン的に私には向いていなかったので、後ほど地下鉄駅のカウンターで本物のメトロカードを買い直した。

 「メトロカードください」ときちんと言ったつもりだったが、これでカード本体の料金2ラリを損してしまった計算になる。心の中でコウメ太夫が叫んでいた程度には悔しかった。

 皆さんには空港にある機械でその場でチャージしてみて、ダメだったらもう一度銀行で「メトロカードをください」と言うなどして頑張って欲しい。

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左がNew Travel Card、右がメトロカード。左は1日・3日など期間を選んでお金を払えば、定額で乗り放題になるタイプだった


トビリシ→エレバン行きの乗り合いタクシー

 当初の予定では、私は朝にトビリシに着いたらその足で乗り合いタクシーでエレバンまで向かうことにしていた。

 トビリシ中央駅目の前にあるバスターミナルの、正面から見て左側にエレバン行きのタクシーを見つけたので、「予定通り9時発に乗れる!」と喜んでいたのだが、乗客は私しかおらず、9時を過ぎても運転手のおじちゃんはタバコを吸い吸い、コーヒーを飲みのみ、仲間と談笑しつつたまに唾を地面に吐く等まったりくつろいでおり、一向に出発する様子がない。

 聞いてみると「人数が集まっていないので11時に出る」という。5時間の道のりを考えると、11時発の場合エレバン到着は夕方4時~4時半、それでは貴重なミュージアムの開館時間が潰れてしまう…50ラリという乗り合いタクシーの料金も考えると、私はその日中のエレバン到達を諦め、代わりにエレバン行きの夜行列車(73ラリ)を取る方が、時間も宿代も節約できて賢明だろうという結論に至った。

 「やっぱエレバン行きの乗り合いタクシーやめます」と言ったらおっちゃんが3人くらい集まってきて、ゴネる拗ねる揉めるといった感じだったので何とか説得してその場を後にした。

 「なに、乗るのをやめたいのか?どうしてだ?」「あと2時間したら3人分予約が入ってるから100%出発するぞ!100%だ、そしたらエレバンまで5時間でピューンだ、何が気に入らないんだ?」「2時間このあたりを散歩でもしたら良いんじゃないか?」と息のあったおっちゃん達の見事な合わせ技を受けたが、観光にあてる時間をとりたいことを丁寧に伝えたらそうか…といった感じで行かせてくれた。「ご理解ありがとうございます」と言ったら最後に「好きにしたらいいさ。(Как хочешь.)」と拗ねていて、商魂たくましいなと思いつつ自分の親ほどの年齢の人間がむくれているのが正直少し面白かった。

 そのまま中央駅の3階へ上がり、その日の20時20分発エレバン行きの夜行列車チケットを購入。1番安い3等席を取り、ベッドは上下二段のうちトイレ移動がしやすい下段を選んだ。

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トビリシ中央鉄道駅3階の電光掲示板。フロアはほの暗く、カウンターでは英露語どちらも通用した。発券機で自分の番号を貰い、小さいモニタに出た番号と同じカウンターで購入する。いきなりカウンターへ行くと怒られるので注意


 こうして発生した夜までの時間でトビリシをのんびりプラプラすることに決め、前述したように旧市街では客引きの数々を楽しんだり、温泉街へ出かけて、転がった方が早そうな体つきのジョージア地元のおば様たちと一緒に硫黄の香りムンムンのシャワーでさっぱりするなどした。ちなみに「タオルよ」と言って渡されたのがシーツだったので、シーツで身体を拭いている時に、ホステルに泊まったは良いもののお金がなくてタオルを借りられなかった時みたいだな、としみじみするなどした。

 最終日にも別の温泉へ出かけたが、システム的にスリッパ必須かつ、共用女風呂に浴槽があるかは規模しだいなので下調べをおすすめする。(もちろんスリッパやタオルは有料で借りられるので手ぶら派でも心配は無いかと思う。初日に訪ねた公共浴場「No.5」は、後日行った「Lisi Bath」と違い、共用女性風呂だとシャワーのみだった)(個室を借りればもちろん浴槽はあるが数十ラリと1人利用には少し高い)

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温泉街を流れる川を辿っていくと小さな渓谷へ繋がっていた。大通りから徒歩2,3分で滝が見られるのでおすすめ。


 ちなみに、トビリシでは各所に孔雀やインコなど珍しい動物を持った人が立っていたりするが、肩に載せられて写真を撮られ、お金を請求されるので無視しよう。パグ犬を肩に載せた人がいたので怯えながら避けていたらただの散歩に来たジョージア人だったのは少し恥ずかしかったが…

 その後はトビリシ史博物館、ソ連占領博物館、国立博物館を周り、トビリシに滞在している友人と合流して少し散歩した後に、中央駅前まで戻ってシャウルマ(グリル肉や野菜を薄いナンのような生地で巻いた激ウマなファストフード)を食べて夜行列車に乗り込んだ。個人的にはシャウルマは絶対に鶏肉よりも豚肉の方が美味しいので試して欲しい。

 友人と散歩中にいかにも地元感ある小さな商店で伝統菓子チュルチヘラのザクロ味を購入したのだが、現地の物価を考えると若干ぼったくられたようn...(2本で7ラリだった)いや、気のせいであろう。ジョージアのチュルチヘラ相場をご存知の方がいたら、教えてくださると嬉しいです。(がっつくあまり写真を撮り忘れてしまった)

 トビリシ史博物館の地下階にはワイン博物館があり、入場料15GELだがガイド(めちゃくちゃ熱心に解説してもらえるあまり途中から参加したメキシコ人が終盤疲れ果てていた)とクヴェヴリワインの試飲がついてくるのでおすすめ。ここには8000年前のワイン発酵用土器等が展示されている。(ちなみに、最近この8000年前の容器が見つかるまでジョージアはギリシアと「ワインの母国」として互いのプライドをかけた主張をしていたのだが、この古い器が見つかったことでそれも必要なくなり鼻高々らしい:ガイドのおばちゃん談)

 そしてソ連占領博物館では、1921-1991年の、つまりカッチリと「ソ連による占領」の展示が設置されており、しめくくりにはアブハジアや南オセチアが赤く強調された地図と共に「ロシアの占領は続く…」と書かれていて、この限られた情報のあまりの背景の濃さにおぉ…となった。国立博物館とソ連占領博物館は建物を共有する形になっており、一度入れば全館見放題なのでかなり充実した時間を過ごせた。

 興味深かったのが、ジョージアは2022年4月現在ではEU加盟国ではないが、街の至る所にEU旗を見つけることが出来ることである。国会議事堂にも巨大なEU旗が揺れていたのは正直、異常ジア…という気持ちにならなくもなかったが、加盟申請はしているし、国民としてもEUには是非入りたいそうで、アツい気持ちが街歩きをする外国人にさえ伝わってきた。ちなみに出入国の際にパスポートに押されるスタンプも、EUの星がジョージアの略「GE」を取り囲むデザインとなっており、圧が強い。


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 大量のEU旗がジョージア国旗と共にゆらめく、メテヒ教会ふもとのラウンドアバウト

 見かけると一瞬戸惑いと驚きとおかしみがやって来るが、政治的なうんぬんを考えたらEUに入りたいという方針は当然だろうなと思ったりした。しみじみ。


次はアルメニアを目指して夜行列車乗車〜岩山の中の修道院と神殿編です(密輸の片棒を担がされたよ)





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