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読み始めた本「人間はどこまで家畜か」

千と千尋の神隠しの、主人公のお父さんが豚になるシーンを見て、自分みたいだと思いました。

私の日常は、油まみれになって天ぷらを揚げ、水浸しになり掃除を終え、売上から得た収入で飲みに行く。

一晩で五千円使うとしたら、五千円の利益を出すために、どれくらい売り上げなければいけないか。など忘れて。

そして、二日酔いでまた仕事をする。

飲み代を稼ぐために。

なんだか家畜みたいなだな、と思っていた。

ずっと丸い梯子を延々と回し続けている、ハムスターみたいだなとも。

飼いならされている、といえば、現代社会に生きている私たちのほとんどは家畜じゃないか、なんてことも考えていました。

そんな時に、SNSでフォローしている文章の面白い精神科医の熊代亨さんが、「人間はどこまで家畜か」という本を出されて、本に呼ばれている気がして、買いました。


一番下にアマゾンのリンクを貼っておきます

まえがきを読み終えたばかりですが、これだけでもちょっと震えました。

自己家畜化、というキーワード。

野生の山猫や狼が、猫や犬へ家畜化していったことを自己家畜化と言うそうです。

人間同士が、むやみに殺し合わないように、ルールを決めたり、お互いの共通認識を持つために同じことを勉強したりして変化していくことも自己家畜化だそうです。

それによって、現代は世界大戦の死者を数に入れても、むやみな殺人の割合は圧倒的に減っているとか。

お互いに仲良くし暮らし合い、安心安全な環境を作っていくことを自己家畜化というなら、良いことばっかりか?

そうではないそうです。

技術の発展のスピードが加速して、社会はどんどんと変わっていきます。最近ではSNSなどの影響も大きい。

その中で、社会全体でより良く暮らす自己家畜化のために必要な学びや協調性のレベルがどんどん上がっていく。

それによって意識できる部分だけでなく、無意識の中にも、さまざまな身体へのストレスも起きている。

みんなで仲良く暮らすことが、ストレスも同時に生んでいる。

それに現状、適応できている人には良い社会かもしれないが、生き物としての人間の心身には限界がある。いつ限界が来るかわからない。

必要とされるレベルが上がるほど、適応したくでもできない人が増えてくる。

精神科医としての筆者は、ADHDや社交不安症がなぜ増え続けているのかを、この本を通じて書いていくらしい。

話が飛ぶが、超高速の新幹線を運転するのはすごくストレスがかかるらしく、山手線を運転できる人なら誰でも新幹線を運転できるのではないと。それなりの適応能力のある人だけができると、聞いたことがある。

世の中のスピードが上がるというのは、例えていうなら、運転している列車の速度がどんどん上がっていくことかもしれない。

その例えで、事故は起こさなくても高速運転のストレスから心身のどこかを病んで運転できなくなる人や、会社から運転不適応者として解任されてしまう人が増えることと、今の世の中の変化は似ているかもしれない。

そんなことを気づかせる、目から鱗が落ちるような前書きだった。

みんなが仲良く暮らすことを目指していると、そのレベルに達することができず、社会から不適応とみなされ、精神科にかかる人がいつの間にか増えていく矛盾。

映画のPERFECTDAYSを、自己家畜化を強いる世の中のプロパガンダだというSNSの感想を見て、何を言っいるのかと疑問だったが、納得した。(著者は、この映画のことは何も言っていません)

ざっと、前書きを読んだだけなので、読み違いがあるとは思いますが、この本を読み終えた時、どう思うのか、怖いけど楽しみでもあります。

SNSも自己家畜化の手段かも。

現場からは以上です。

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