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ゼロからわかる自己調整学習②自己調整できる子、できない子(2)遂行段階編

「自己調整学習ができる子とできない子のちがい」第2弾です。
今回は、実際に学習を進めている最中の段階(遂行段階)のちがいです。
これは結構、分かりやすいかもしれません。
あの「テスト前になぜか部屋の掃除をしてしまう」現象もこの中に入っています笑

①集中度がちがう(集中)

集中度の違い、というのはイメージしやすいと思います。
学習に集中することは、自己調整学習でかなり重要になります。

自己調整学習ができる子どもは、設定した目標や計画に沿って学習を進めます。
そして学習を進めながら、「目標に順調に近づいているかな」「計画では次にこれをやるんだな」「今このやり方でいい感じだな」などと自分の状態を常にモニタリングしています。
周りがどうあれ、まず自分の学習に集中しています。
そして必要に応じて「ちょっとこのままでは調子がよくないから、やり方を変えてみよう」などと修正することもできます。
同じ時間勉強しても、ただなんとなくやるよりも密度の濃い学習ができるのです。

一方、自己調整が難しい子どもは、勉強していてもスマホをチェックしたくなったり、外の音が気になったり…と様々なことに気を取られます。
教室では、友達がどんどん進んでいる様子を見て焦りを感じてしまい、動揺することもあります。
そもそも「目標設定」が明確でなく「計画」もないため、行き当たりばったりの勉強になりがちです。

②勉強のやり方がちがう(方略)

自己調整ができる子は、適切な「学び方」を使うことができます

たとえば、解き方や学び方について、頭の中でぶつぶつ言葉にして進めるやり方があります。
「まずこうするんだよね。」「次にどうするんだっけ?そうそう、これだったね」などと、自分で自分に教えるように学習を進めていきます。
まるで頭の中の先生が指導してくれるようなイメージです。
これを心理学では「自己指導」と言います。

あるいは、図にまとめてみる、絵やイラスト・ストーリーなどイメージ化して覚える、など様々なやり方を使いこなします。

自分で自分をガイドして学べるのが、自己調整のできる子なのです。

一方、自己調整の苦手な子どもは、行き当たりばったりの方法をとります。

とりあえず数をこなしてみたり、とりあえずやみくもに繰り返してみたり…効果の低い勉強方法を選んでしまいます。(選んでしまうというより、そもそもそれ以外の方法を知らないことも大きいです)

また、家ではゲームに逃げたり、部屋の掃除を始めたりすることもあります。学校ではトイレに行ったり体調が悪いと保健室に行ったり…なんてこともあります(もちろん本当に用を足したり体調不良の場合は別ですよ)。
こういった自分を守るための方法を「セルフハンディキャッピング」と呼びます。心理学では、失敗しても自己防衛のためにあらかじめ言い訳を用意しておく行動とされています。
要するに、無意識のうちに「まあ、体調悪かったし…」「部屋の掃除しちゃったしな…」と後から勉強しなかった言い訳ができるような行動をとってしまうというわけです。
自己調整の苦手な子どもはこの「セルフハンディキャッピング」をしがちだということが研究でも明らかになっています。ネガティブな言葉や行動をついついしてしまうのです。


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