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志をはたしにいつの日か帰らん【海士町副町長への就任】

冒頭の写真は、地方創生人材派遣制度で文部科学省から島根県海士町への出向し、2年間の任期を終えて旅立つときのものになります。
7年前のことですが、フェリーで離島する瞬間は今でも鮮明に覚えています。
当時の自分は行政経験が乏しく、あまりお役に立てませんでしたが、海士町の住民はあたたかく迎え入れてくれ、たくさんのことを学ばせてもらいました。
それまで、中学校教員や文科省職員と一貫して教育に携わっていながら、人が(特に成人した大人が)学びによって変わることに何処か懐疑的な自分がいました。
けれど、海士町での挑戦や交流を通して、自分自身の成長を実感することができ、たった2年間ですが、それまでの30年間の人生と比べても遜色のない濃密な体験は、自身の成長だけでなく「人はいつでも変わることができる」という教育の可能性を教えてくれました。

そんな海士町を去るときに、皆で歌った歌が「ふるさと」になります。約110年前に山陰地方で生まれたこの唱歌は戦前から教科書に掲載される有名な曲で「うさぎ追いしかの山、小鮒釣りしかの川・・・」と始まります。
その3番の本来の歌詞は「志を果たしていつの日にか帰らん」です。田舎を出て都会で成功して余生を田舎で過ごすという意味が込められていますが、海士町ではこの歌詞を一文字変え、志を果たし【て】ではなく、果たし【に】としています。
人口減少・少子高齢化は、地方だけの問題ではなく都市部も含む日本全体の問題です。また、この問題は日本が最前線ではあるものの、先進国・途上国を問わず、世界的な課題となっています。
その人口減少・少子高齢化によって生じる様々な課題を解決し、持続可能な社会を創るという志を果たしに、ふるさとへ戻ってくる人材を育てたいという願いを込めて、教育の魅力化に取り組んでいます。

私自身、離島するフェリーの上から涙ながらにこの歌詞を歌い、叶うのならもう一度、志を果たしに海士町に帰りたいと願っていました。
あれから7年前が経ち、今回、副町長という立場で再び海士町との御縁を頂きました。
着任してまだ2週間ですが、霞が関では感じることのできない人口減少への切迫した危機感に直面しています。人口減少という課題に直面する離島の最前線で、志を果たしたいと思います。

最後に、、、私としては、岩手県への出向や文部科学省財務課・教科書課で培った行政経験を活かして、少しでも海士町に恩返しをしたいと願っています。
とは言いながら、またこの島を去るときには、返した恩以上の恩を受けるのだろうと、そんな予感がしています。

うさぎ追いしかの山 小鮒つりしかの川
夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷
いかにいます父母 恙なしや友がき
雨に風につけても 思いいずる故郷
こころざしを果たし いつの日にか帰らん
山は青き故郷 水は清き故郷

ふるさと(島前高校魅力化バージョン)


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