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英文法解説 テーマ10 比較 第2回 いろいろな「一番」の表し方 ~最上級と原級・比較級の関係~

 こんにちは。前回は、原級と比較級について解説をしましたが、今回は「最上級」について解説していきたいと思います。最上級は、原級・比較級に比べると易しいと思われがちですが、ややこしい部分もあるので油断せずに基本からしっかりステップアップしていきましょう。

最上級の基本

 最上級は「最も~だ」を表す形式で以下のように一般化されます。

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 よく「富士山は日本で一番高い山だ」のような例文で表される構文ですね。inの後ろには「範囲」を表す語句が置かれるので、例えばin Japanなどのようになります。一方でofの後ろには「the+数字」やall「すべての人・すべての物」が置かれるので、of the tenやof allなどのようになります。例文でそれぞれのパターンを確認しましょう。

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 まず例文1ですが、副詞の最上級はtheを省略することができるので、the earliestをearliestにしてもOKです。例文2は、「one of the -est 名詞の複数形」という構造で、最上級ではよく用いられます。「最も~な」と言っているのに「…のうちの一人」というのは不自然な感じがしますが、ここでの「最も~な」というのは「オンリーワン」としての「一番」ではなく「トップクラスの」というニュアンスです。例文3は、副詞wellの最上級なのでtheが省略可能です。また、of all the 名詞が続くことで「すべての~の中で」意味が出ます。

 他にも、最上級と言えば、「一番」を表すだけでなく「2番目」や「3番目」を表すこともできます。その場合は、序数(-th)を-estの直前に置いて表します。

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 例文で確認しましょう。

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 すごくシンプルで簡単ですね。少し堅苦しい婉曲的な表し方になりますが、例文4をJudy is the tallest girl but two in the class.と書き換えることができます。but twoが気になると思います(but threeではなくて)。このbut twoは「2人を除いて」という意味です。「1番目と2番目がいなければ最も背が高い」ということです。

 ここまでが、最上級の基本の話になります。ここからは少しだけレベルアップします。

副詞要素が「最も~な」の場合の最上級

 通例、最上級というのは、S(主語)にあたる語句やO(目的語)にあたる語句が「最も~な」になります(前者は例文1,2で後者は例文3です)。しかし、最上級の中には、-estより後ろに置かれる副詞要素が「最も~な」にあたる場合があります。その場合、一般的な例文1~4のようなパターンと区別するために、普通は最上級の直前に置かれるtheが必ず省略されます(「省略可」ではなく「省略必須」です)。

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 例文で確認しましょう。

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 例文5では、「最も嬉しそう」なのは、S(主語)のHeではなく、when he is driving a carです。また、例文6では「最も深い」のはS(主語)のThis lakeではなく、後ろの副詞要素at this pointです。

 実は、この構造に関しては、多くの参考書や文法解説書では「同一人・物の中の複数の性質同士での最上級はtheを必要としない」という文言で書かれていることが多いのですがイマイチ伝わりづらいので、「theなしの-estはその後ろの副詞要素が「最も~だ」」と捉えた方が分かりやすいと思います。

 もちろん、例文1や3のように副詞要素の最上級の場合はtheが省略されることがあるのですが、少なくとも形容詞の最上級(例文5や6でのhappiestやdeepest)がtheなしで用いられていたら、このケースを疑う必要があると思います。

原級・比較級との書き換え

 最後は、最上級と原級・比較級の書き換えです。原級や比較級を用いても最上級のように「最も~な」という意味合いを出せる、と考えると良いと思います。この際ポイントとなるのは、等号や不等号を用いた考え方です。各例文に、等号・不等号を付けるので参考にしてください。今回は分かりやすいように、ベタ中のベタである「富士山」例文を使いましょう。

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 例文8と9では、比較対象を「any other 単数形名詞」とすることで「他の全ての名詞」を表しています。比較級を用いれば「Aは他のどの名詞よりも~だ」となり直感的に「Aが最も~だ」と解釈することができますが、原級の場合だと「A=他のどの名詞」となり、「Aが最も~だ」という意味が取りにくいと思います。その場合は、「他の全てが束になってようやくAと同じくらい」と考えると良いと思います。そうすれば、実質「Aが最も~だ」となります。

 例文10と11では、主語を「No other 単数形名詞」とすることで、「Aと同じくらい~な名詞は他にない」「Aよりも~な名詞は他にない」となり、実質「Aが最も~な」となります。こっちの方がすんなり理解できると思います。ただし、in Japanの位置に気を付けてください。文末ではなく、No other 単数形名詞の直後に置かれています。

 また、any other 単数形名詞やno other 単数形名詞の個所は、「人」「モノ・コト」を表す際に、anythingnobody[no one]のように単純化して表すこともあります。

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 他にも細かいことを言うと、otherを書かないでany 単数形名詞やno 単数形名詞になる場合や、例文5や6のような「-est後の副詞要素の最上級」からの原級・比較級への書き換えなどもありますが、これらはまた別の範囲の話(「倒置」など)が絡んでくるので、ここでは割愛します。

 というわけで、最上級の解説はここまでになります。中学英語で習う範囲がほとんどですが、副詞要素の最上級など意外と知らないこともあったかもしれません。様々な形式で「最も~な」を表せると良いでしょう。実際に手を使って書いてみることが大切です。次回は、比較の程度や強調の表し方について解説していきたいと思います。ご期待ください。


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