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リレー小説に参加してみます #電車にゆられて

秋さんが募集を募っていた「自由型リレー小説コンテスト」に参加してみました。

初めてのことなので、よくわからないけど書いてみる。
どうか繋がっていきますように。
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赤い電車が走ってくる。高架の上を走るそれも、もうずいぶん見慣れた。三浦半島を抜けて私が住む町に流れ着く京浜急行はそのまま都会へ続いているらしい。職場へは自転車で通っているので、私はこの赤い電車を外側から見るばかりだった。この町に越してきて半年。私が生まれ育った町は電車なんて見ることが無かった。自宅から駅までバスで30分。駅まで出て買い物をして、またバスに乗って帰る。駅から電車に乗ってさらに遠くまでなんて、何の用もなかったし、必要もなかった。たまに乗ったとしても、電車を見るのはホームからだった。
だから走る電車を遠目で見るのは、新鮮な気持ちになる。どこの誰かも知らない人に、どこに行くんだろう、なんて思ったりして。
夕闇を走る車内は、室内の電灯で乗客の顔がハッキリ見えた。スピードはあるはずなのに、距離のお陰で、目で追えた。
私の心臓は、グッと閉まった。逆に目は、グッと開いた。
彼だ。
いやそんなはずない。間違いだ。こんなところに居るはずがない。
頭を振りたくても、目が彼を離さない。
他人の空似かもしれない。それでも構わない。
私は走り出していた。
自転車で駅前に向かう。ハンドルを握る手が震えている。
電車がホームに入って来た音がする。アナウンスが聞こえる。次に停まる駅は3つ先の駅だ。各駅の電車じゃない。
彼は立ち上がっていたじゃないか。ここで降りるのかもしれない。
いや、席が空いて座ろうとしたのかも。
会ってどうするの? 話しかけるの? 
そんなことできない。でも。
改札から人が流れてきた。小さな駅だ。見失うはずない。
自転車を脇に添えたまま、私は立ち尽くしていた。
見つけたいのに見つかりたくない。
端によければよかった。でももう動けない。
帰宅ラッシュよりは早い時間だからか、下りる人はまばらで、雑踏と言うほどでもない。
誰かを待っている感、丸出しだった。それでも私は彼を待った。永遠に感じる時間だった。
最後の人が改札をくぐる、ピっという音を聞いた。
彼はいなかった。
ホッとしたのかガッカリしたのか、よくわからない感情が全身をめぐる。
ノロノロと自転車を押した。
彼は私を知らない。それでいい。
勝手に私が知っただけなのに、知り合うなんて、知り合いになりたいだなんて、そんな都合のいい話ない。

私は自転車を止めた。

彼に見つけてもらいたい。
でも、どうすればいい?

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これでどんな続きになるんだろう。

どうぞよろしくお願いします。

#電車にゆられて
 

すごく喜びます(≧▽≦)きゃっ