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「ベトナムのハワイ」ダナンvsニャチャン

 ともに「ベトナムのハワイ」とも呼ばれる中部のダナン、南部のニャチャンの2都市に足を運びました。冬の北海道を離れて暮らす「越冬移住」の地としての可能性を探るためです。ロングステイ先に求められる条件を考慮しながら、両都市を比較してみました。

①治安
②物価
 ロングステイ先の必要条件として真っ先に挙げられるのが、治安(自然災害の少なさを含む)と物価だと思います。
 治安に関して、国際的なシンクタンク・世界平和研究所が発表した2023年の世界平和度指数によると、ベトナムの治安は世界41位。日本(9位)、マレーシア(19位)よりは低く、韓国(43位)、インドネシア(53位)、タイ(92位)よりは高いランクにあります。1位は16年連続でアイスランドでした。
 物価に関して。経済成長を続けるベトナムは以前よりも上がっていますが、それでも日本に比べれば宿泊費や食費、交通費などは3分の1程度という肌感覚です。朝食の定番フォーや、フランスパンに具を挟んだバインミーは200円程度で食べられますし、きちんとしたレストランで洋食を食べても日本の半額程度の印象を受けます。タイ・チェンマイに長期滞在する日本人の親睦団体によると、「レストランでの食事価格は日本の7割ぐらい」とのことでしたので、ベトナムの方がさらに安い印象です。
 また、ダナン、ニャチャンにしぼって考えると、犯罪率はハノイやホーチミンに比べて低く、治安は10段階評価で7程度が妥当。ハノイやホーチミンよりも一段と安い物価は、10段階で9と評価しました。同じ国内ということもあり、点数は互角でした。

③自然環境・気候
 どちらも北海道と比べればバイクの音はうるさいです。でも、ハノイやホーチミンに比べて圧倒的に人口が少なく、海に近いこともあって、空気が汚れていると感じることは少なかったです。それだけハノイやホーチミンの環境が劣悪と言えるのかもしれませんが笑
 また、タイのチェンマイのようにPM2.5のような発がん性も指摘される大気汚染もベトナムでは見られないようです。
 気候に関して。北海道を離れて暮らすのに適しているのは11月下旬から4月中旬ぐらいと私は考えています。東南アジアでは、その時期が乾季に当たる地域が暮らしやすいと言えます。ダナンとニャチャンの乾季は3~9月。私が訪れた2月下旬のダナンは時折、小雨も降り、海に入ると少し水温が低いなと感じました。ただ、北海道の人にしてみれば暑すぎない気候は過ごしやすいと言えます。

2月のダナンのビーチは海水温は低め


 南部のニャチャンは午前中から気温が30度を超え、うだるような暑さを感じました。水温もやや高めで海水浴が好きな人にはちょうどいい気候と言えるかもしれません。

ニャチャンは2月でも水温が高く、海水浴に向いていた

 好みにもよるため、これらを勘案して私は両都市とも10段階で8と評価しました。
 アジアのビーチって、どこか蒸し暑い印象がありますが、私が訪れた2024年2月のダナン、ニャチャンはハワイとは言わないまでも、カラッとした湿度でした。
 海の透明度はハワイより少し劣りますが、白い砂浜とのコントラストはどちらもハワイに匹敵すると思います。波がけっこう高いので、一人で泳ぐのは注意が必要です。

④インフラ
 ダナンはここ20年ほどで観光都市として急速に発展を遂げた街。ハノイやホーチミンに比べると街全体が、ごみも少なくて美しく、歩道などもきれいに舗装されていました。
 一方、古くからリゾートとして知られるニャチャンは若干、街が老朽化している印象を受けます。歩道も傷んでいる箇所が目立ちます。水道や電気、Wi-Fiなどの整備はどちらも互角ですが、新しい街のダナンは8、ニャチャンは7と評価します。

⑤食
 同じ国なので「食」のレベルは変わりません。ベトナム料理ってタイに比べると刺激が少なく、辛い物が少ない自分にとっては少し物足りないのですが、フランスの占領下にあったため、フランスパンを使ったバインミーは、ほぼ外れがありません。ただ、日本に比べると食のバリエーションが少ないのも事実。ともに7点を与えることにします。

⑥医療
 体調を崩した際、安心して医療を受けられるかは大事なポイントです。この点に関してはベトナム第3の都市・ダナンに軍配が上がるかなと思っていたのですが、調べてみたところ、ニャチャンにも入院時にも通訳を介して医療を受けられる「ビンメック国際病院」があることを確認しました。

ニャチャンビーチ沿いに建つビンメック国際病院。通訳を介して日本語で医療を受けられる


 昨年、蚊の媒介で起きる「デング熱」にかかり、5日間入院した日本人女性は、「医者の方は丁寧に話をしてくださり、日本に比べても決して劣らない医療サービスを受けられた」と話していました。クレジットカード附帯の保険で約15万円の医療費もカバーされたとのことなので、万一の際も安心と言えます。ただ、日本に比べて病院の選択肢が少ない点や、どうしても言葉の不安がぬぐえない点などからダナン、ニャチャンとも7点としました。

⑦観光

 ベトナム中部には、世界遺産のグエン朝王宮があるフエをはじめ、かつて日本人も暮らしていた旧市街が世界遺産となっているホイアンなど見どころのある街が点在します。

世界遺産のグエン朝王宮があるフエ
旧市街地が世界遺産に登録されているホイアンの夜


 また、ダナンのビーチから車で40分ほどの所には、山全体を使ったテーマパーク「バナヒルズ」があります。中腹には2018年に完成すると「インスタ映えする」と世界的に有名になった「神の手」があり、さらにケーブルカーで上ると、フランスの街並みが再現された「フレンチビレッジ」があります。一つ一つの建物の規模が大きく、本当に驚かされます。

映えスポット「神の手」があるバナヒルズは、雨にたたられ映えずじまい笑


 一方、南部のニャチャン周辺には、高地のリゾートでコーヒー産地としても知られる「ダラット」などはありますが、ダナンに比べると見どころは少ない印象です。
 ただ、対岸の島を使ったテーマパーク「ヴィンパールランド」は、バナヒルズに負けない楽しさです。ケーブルカーで約15分の海上散歩を楽しむと、ディズニーランドにも似た城と街が姿を現します。

ニャチャンの「ヴィンパールランド」は島全体が丸ごとテーマパーク


 私はケーブルカーと城周辺で行われる「TATAショー」を見学しましたが、プロジェクションマッピングで城全体の景色が目まぐるしく変わる中、王子と王女、悪魔との壮大なスペクタクル劇が展開されました。

プロジェクションマッピングを使った夜の「TATAショー」は圧巻


 ジェットコースターや観覧車などの遊園地、水族館、海上アスレチックなどをはじめ、豪華リゾートホテルもあり、子連れにはこちらの方がおすすめと言えそうです。
 そんなわけでテーマパークはほぼ互角の評価ですが、世界遺産の2都市を抱えるダナンが8.ニャチャンは6との評価を下しました。

⑧北海道からのアクセス
 たとえロングステイ先でも乗り継ぎ1回が求められる条件かなと考えています。ダナンには成田、関空、中部の各国際空港から直行便が出ており、北海道からも乗り継ぎ1回で行くことが可能です。
 一方、ニャチャンには日本からの直行便が出ていないのですが、大韓航空を使えば仁川経由で入ることができるのが分かりました。ただ、便数などを考えるとダナンの方が便利です。
 空港から滞在する街までの距離って意外と大事だと考えています。ダナンは街のすぐ近くに空港があり、配車アプリ「Grab(グラブ)」を使えば数百円で行くことができます。
 一方、ニャチャンのカムラン国際空港は車で40分ほど離れており、グラブを使っても2500円程度はかかるようです。
 それらを考慮するとダナンは9.ニャチャンは7との評価になりました。

<まとめ>
 8つの項目について比較すると、80点満点のところ、ダナンが63点、ニャチャンが58点という結果になりました。ただ、「日本人が少ない所へ行きたい」という方や、ホーチミン観光を組み合わせたい場合はニャチャンが選択肢になると思います。

 長期滞在先について、今後はこれら8項目について数値化を図れないかと考えています。チャットGPTに描いてもらったら、こんなイメージ図が出来上がりました。うーん。しっかりしているようで、ばふっとしてる笑

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