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【材料学】銅

人類が最初に精錬した金属は、銅だったと思われます。銅鉱石は、色が鮮やかな緑色や青色なので、見つけやすい鉱石です。燃やした木炭に鉱石を入れるだけで、鉱石から酸素や硫黄を奪いとる還元反応に必要な温度が得られ、容易に銅鉱石から銅を得ることができました。
古代の人は、赤銅(しゃくどう)色の銅が火の中から生まれる光景を見て、感動したことでしょう。銅を道具として使うときに問題になるのは、柔らかいことです。石で叩いて鋭い刃先を作っても、すぐに切れ味が悪くなります。
しかし、この問題は他の金属と混ぜることで解決しました。
銅と錫を一緒に加熱すると、銅単体より200度も低い温度で液体になります。しかも、冷やして固めると、銅単体よりもはるかに硬くなります。これを青銅(せいどう)と呼びます。この技術は、瞬く間に世界各地に普及していきました。青銅器、すなわちブロンズの利用の始まりです。
青銅は容易にとけるので、職人が鋳型(いがた)さえ作れば、必要な形の道具を作ることができます。これを鋳造(ちゅうぞう)と呼びます。道具がすり減ったり欠けたりしても、溶かして鋳込めば元通りになります。そのため、祭や農具、武器などに適したリサイクル素材になりました。

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