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SI業界の商流について思うこと

はじめに

SI業界における商流とは、契約の流れのことを指します。

商流のイメージ図

ユーザ企業が大規模プロジェクトを元請けに発注し、元請けがプロジェクトを領域単位(インフラ、アプリ等)に区分けし、一次請け企業に発注します。
一次請けは自社の社員のみでカバーできないので、二次請けに発注するようなイメージです。
※案件によりけりなので、一例として捉えていただければと…

意外に思われるかもしれませんが、以下の図のように「三次請けのエンジニアがチームリーダとなり、その配下に二次請けのチームメンバという配属になる」こともあります。
つまり「商流が上≠役割も上」ということです。

プロジェクトにおける体制のイメージ図

商流が深いことによる問題点

ぱっと思い浮かんだのは以下3点。

①中間マージン発生による、所属会社の受注単価の低下
②トラブル発生時の連絡網の複雑化
 伝言ゲーム状態となり正しい情報が現場ないし所属会社に伝わりにくい
③現場で貢献しても所属会社の評価が上がらない

しかし、世の中から必要とされていないのであれば、そもそもこのような構造にはならないはず。
つまりニーズがあるからこそ中間会社は存在しているわけで、その理由を考えてみた。

中間会社の存在意義

「営業代行機能」に尽きると思う。
例えば、弊社が突然大手事業会社A社や大手SIerB社に「うちと協業しませんか?」と連絡しても、即座に口座開設いただくことは難しい。
A社とB社は実務経験を有したエンジニアのリソースを欲していたとしても与信調査が必要であったり、そもそも実績がない会社に発注するのはリスクがあるため。
そこで、すでにA社ないしB社と契約実績のある中間会社C社が、A社ないしB社の代わりにエンジニアを探し、以下の商流で弊社エンジニアはプロジェクトに参画することができる。

エンドないしSIer → 中間会社 → 弊社

これは、中間会社C社の「信用」を借りたと同義であり、そこに対してコストを支払うのは当然と考える。
信用を一朝一夕で築くことは難しく、中間会社が長い時間を掛けて構築してきたそれを使わせてもらうことに対するフィーを「中抜き」のひと言では片付けることはできない。
例えば絵や音楽といった芸術作品は作り手が気の遠くなるような時間をかけて努力し、習得した技術でもって生み出されるものだから「原価は〇円でしょ」という理由で安くするようなものではないと思っている。
ITエンジニアの技術力も同様だし、営業努力も本質は一緒。

現状のままで良いのか?

エンド、元請けレイヤーと直接契約すれば「商流が深いことによる問題点」で挙げた①~③を解消できるので、そこを目指すべきとは思う。
信用を積み上げてよりスケールの大きい案件の受注を狙っていきたいし、それは結果として社員にとってのチャレンジや待遇UPすることにも繋がるため。
社員も増えてきたし、年内には派遣免許も下りる見込みなので、来年以降は積極的に大手との口座開設に向けた営業活動をしていく予定。

テクニケーションとしてどうしていくのか?

前提として弊社は「案件選択制」なので、エンジニアの希望をスルーして顧客との関係構築に全振りすることはできないし、するつもりもない。
また、いくら売上と利益が立つとしても独自FWを活用した開発業務のような汎用性の低い技術にしか触れられない案件や、ヘルプデスクや監視オペレーターのように年齢とともに市場価値が低下する性質の案件にアサインすることは社員のキャリア形成に繋がりにくいし、会社としても安定的に案件にアサインできなくなる可能性が出てくる為、そのリスクは避けたい。
つまり、目的は「商流を浅くすること」ではなく「次に繋げるため」であり、そのアプローチとして「商流を浅くする」必要があると考えており、行動に移していく算段を立てている。

最後に

商流を気にされる方は多いので、記事を書いてみようと思った次第です。
多くのエンジニアにとって大事なのは「どんな働き方でどんな業務をどんな待遇でできるのか」であり、それと商流はイコールでないことを説明したかったのです。
取引先を選ぶのも大事ですが、それがエンジニアや会社にとって本当にメリットなのかはよく考えた上で判断しないと機会損失が生じるというのが僕の考え方です。
色々な考え方があると思いますので、飽くまでイチ意見として捉えていただけますとw

↑は最近撮った動画です、良かったら見てね


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