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藻類って一体何?藻類が注目される理由とは?

先日、石油産業に代わる藻類の研究、開発で新産業構築を目指すちとせグループが、資生堂や日本ガイシなど8社を引受先として、総額31億円の資金を調達したと発表しました。

<環境ビジネス/2023年9月14日>

藻類は地球温暖化や食料問題など、現代社会が直面する課題に対する解決策として期待されています。

しかし、なぜ藻類なのか?
そして私たちの暮らしにどんな関係があるのか?
そんな疑問が浮かび上がりました。

🌎藻類そうるいとは

藻類は、主に水中で生活する光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称です。

藻類には大型の海藻類(昆布、わかめ、海苔など)も含まれますが、多くは顕微鏡でしか見えない小さな微細藻類です。
次に示すのが、近年の産業で注目されている藻類の代表です。
※()内は使用例

  • クロレラ(健康補助食品)

  • ドナリエラ(化粧品)

  • スピルリナ(健康補助食品)

  • ユーグレナ(バイオ燃料)

🌎なぜ藻類が注目されるのか?

藻類は、サステナブルな社会づくりに貢献できる生物です。
藻類には、以下のような特徴があります。

  • CO2の吸収
    藻類は光合成によって大量の酸素を作り出しながら、地球温暖化の原因となるCO2を削減できます。

  • 圧倒的なバイオマス生産性
    陸上植物と比較して、藻類はバイオマス生産効率が高い。
    たとえば、オイルの生産性ではパーム油と比べて2倍以上、たんぱく質収量では大豆と比べて16倍以上となっている。

  • 少量の水でも育つ
    藻類は農業や畜産よりずっと少ない量で培養できる
    水不足が社会問題となっている中で、少量の水で育つ藻類は、これからの時代を担う持続可能な事業に活用できます。

  • 太陽と水さえあればいい
    藻類は日光と水があれば基本的にどこでも培養できます。
    したがって、砂漠や荒地のような農業利用が難しい、土地や耕作放棄地でも有効活用して培養することが可能です。

このように、藻類は育てやすさや環境にやさしい点が優れています。
これからの藻類の動向から目が離せません。

🌎どんな研究が進んでいるのか

藻類は食品や製造業など、広い範囲での活躍が期待されています。
ここでは、藻類の研究、開発の活用例を3つ紹介します。

1. 藻類バイオ燃料

化石燃料である石油は枯渇する危険が多いため開発が進められている、藻類を原料とする藻類バイオ燃料
藻類の高いオイル生産性と生育環境を選ばない育てやすさが、バイオ燃料に適していると期待されています。
もちろん製造業も藻類バイオ燃料に注目しており、HONDAブランドで有名な本田技研工業株式会社も藻類バイオ燃料の研究をしています。

2. バイオプラスチック

トウモロコシなどの植物由来のバイオプラスチックのことは知っている方も多いと思いますが、藻類を原料としたバイオプラスチックの開発も進んでいます。
なかでもユニークなのがOohoと呼ばれる食べられるウォーターボトル
水やケチャップなどの容器として使えて、最後は食べることもできる究極のエコ容器です。

食べられるウォーターボトル「Ooho」OOHOWATER.COMより引用

3. ワクチン

藻類を使った食べるワクチン(経口ワクチン)の研究、開発が進められています。
たとえば、アメリカのLumen Bioscience社が開発しているスピルリナから作ったマラリアワクチンがひとつの例です。
今までのワクチンが藻類ワクチンに変われば、病院で注射を打たずに済むので小さな子どもも安心できます。

🌎デメリットはないの?

私たちの暮らしを良くすると期待される藻類ですが、もちろん問題もあります。
それは藻類の大増殖『藻類ブルーム(水の華)』です。

藻類ブルーム(水の華)
Wikipediaより引用

藻類ブルームとは、微小な藻類が高密度に発生し水面付近が変色する現象で、日本の海で発生する赤潮も藻類ブルームのひとつとなります。
藻類ブルームは、高水温や水中の窒素とリンが過剰に供給されることで発生しやすく、農業排水や工業排水、下水などが原因となることもあります。

藻類ブルームには2つの問題があり、ひとつは藻類ブルームが発生が原因で魚などの海洋生物が死んでしまうことです。
藻類ブルームが起こり藻類が大量発生すると、水中の酸素の大量消費や、エラに微細な藻類が詰まり窒息死してしまいます。

もうひとつは、有毒な藻類による有害藻類ブルームです。
大量発生した藻類を捕食した貝が有害な毒を取り込み、この貝を人が食べると食中毒を引き起こします。

たとえば麻痺性貝毒という食中毒。
この毒は強力で、人が食べると呼吸麻痺を起こして死に至ることもある恐ろしい食中毒です。

どんなことでも適切な量が大切ということですね。

🌎おわりに

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

藻類は、二酸化炭素を吸収して有用物質に変換するという、自然界の驚異的な能力を持っています。
その能力を活かして、環境にも人にも優しい製品やサービスを開発することで、サステナブルな社会づくりに貢献できるでしょう。

これからの藻類の活躍に期待ですね。
20年後の未来には、藻類製品がスタンダードになっているかも。
明るい未来が見えてきました。

身近なところから、地球にやさしく。

もっと日常にサステナブルを。

本日もありがとうございました。

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