単純売春(売春を目的としたパパ活を含む)の適切な納税方法

2024年4月17日に西川口税務署へ単純売春(売春を目的としたパパ活を含む)を行う人が納税をする場合、開業の可否及び、どのように納税することが正しいかを確認して回答を得ましたのでその要旨を公開します。

質問1:売春で得た対価は「事業所得」「雑所得」「贈与」のいずれに該当するか。
税務署回答:他の収入がないようにそれを生業としているならば「事業所得」に当然該当する。副業的な場合は「雑所得」に該当し得るが、帳簿を適切に備えるなど、客観的・社会通念上事業に該当するならば「事業所得」となる。

質問2:売春者が個人事業主の開業届を提出した場合は受理されるか。受理される場合、職業欄および事業の概要は何と書くべきか。
税務署回答:開業届の提出は差支えない。事業にはその事業が分かるように記載して問題ない。たとえば、法令によって違法とされているような「売春」と記載しても不受理にはならない。

質問3:所得税が課される場合、所得の計算において売春に要した必要経費はその売上から控除されるか。
税務署回答:収入を得るための支出は経費となる。

質問4:売春者が開業の後に青色申告を行う場合、基礎控除ならび青色申告特別控除の対象となるか。
税務署回答:事業所得による収入ならば問題ない。

質問5:売春者の年間売上金額が1,000万円を超える場合、消費税の納税義務はあるか。
税務署回答:ある。

質問6:売春者は適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録できるか。
税務署回答:できる。

質問7:売春の対価が「贈与」とみなされる場合、贈与に要した経費相当額は取得費となるか。もし取得費となる場合、どのように確定申告を行うべきか。
税務署回答:具体的な関係性を鑑みないと分からない。しかし、もともと営利を目的としているならば「事業所得」か「雑所得」で申告するのが妥当である。

したがって、単純売春を業として行う場合は「事業所得」または「雑所得」として確定申告を行うことが、おおむね基本的に正しいといえると思われます。脱税は言うまでもなく犯罪であるため、売春による所得がある場合は、適切に確定申告を行い、納税する必要があります。

経費の計上等については、服飾費や美容整形、エステ代などは家事按分が必要となる可能性があるため、個別的な状況については税理士または税務署に相談すると宜しいかと思います。なお、金銭ではなく現物(プレゼント)の場合、対価であるならば「所得」とすべきだと思われますが、それとは別に受領した場合は「贈与」となる可能性もあります。しかし、この場合に所得か贈与かの判断や、あるいは現物の価値の算定方法については、税理士や税務署に確認することが望ましいと思われます。

税務署としては単純売春について税務相談に応じないということはなく、問い合わせを行えば適切な回答をしてもらえます。税務に関する問合せは基本的に電話か、もしくは電話予約の後に税務署で行うこととなります。したがって、相談がある場合は納税地を管轄する税務署に問い合わせることが適切だと思われます。

また、税理士に関しては税理士法の規定として、違法行為に関する税務相談が禁止されるようなことはないため、税理業務を受託することは問題ないかと思います。

個別具体的な確認は、各人によって税務署または税理士にご相談下さい。


文:あしやまひろこ
東京にある会社で社会研究(シンクタンク部門)業務に従事する埼玉県民。また個人事業主として各種活動も実施。北関東の大学で哲学(宗教と社会学)を学んだあと、現在は社会人大学院生として文化人類学を専攻。ライフワークとしては、各種調査・研究・開発および文筆活動、装いと女装の研究や、香りの研究と開発、バーチャル文化へのボランティアなど。趣味は料理。

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