見出し画像

蜃気楼が観たいから、魚津に行って勉強してきた

結論

  • 富山湾で蜃気楼を見たいなら、3月下旬~6月上旬、双眼鏡を持って行くべし。

  • 魚津市にある埋没林博物館では、蜃気楼の貴重な写真が観られる。

  • 出現予報はあるけど、観られるかどうかは運次第。


今回の旅の目的

富山の春の風物詩、蜃気楼が見たい!

春の富山旅の目的の一つ

旅行雑誌で見た蜃気楼をぜひ見たい!そう思い、春、富山県に行きました。富山県魚津市では、江戸時代には、蜃気楼の名所として知られていました。魚津市名物の蜃気楼を見たい

富山湾の味覚も味わいたい。

富山湾の味覚について、2024年1月21日に公開した記事で話しました。春はブリが終わり、白エビ、ホタルイカがとれる季節です。シロエビを味わい、ホタルイカについて1日かけて学んだことについて、下の記事に書きました。

蜃気楼は、いつ行っても観られるものではありません。誰でも双眼鏡を使えば分かるレベルの蜃気楼は年に10日程度しか現れません。肉眼でも、なんとなくわかるレベルの蜃気楼は1年のうち、3、4日程度しか現れません。誰でも肉眼ではっきりとわかるほどはっきりした蜃気楼に至っては、数年に一度しか見ることができません。最後に誰でもはっきり観測できた蜃気楼は、2018年6月30日(12年ぶりの出来事)でした。それ以来、約6年観測できていません。下のサイトに、1992年から見られた蜃気楼の記録が記載されています。いかに、だれでもハッキリと肉眼で観察できるレベルの蜃気楼が貴重かが分かります。

まずは、勉強するために、魚津市にある魚津埋没林博物館に行きました。魚津埋没林博物館では、蜃気楼が、なぜ発生するのか?どのような条件で発生しやすいか?など、分かりやすく解説されていました。肉眼でもはっきり見えたときの蜃気楼の写真も展示されていました。

蜃気楼とは?

蜃気楼とは、暖かい空気と冷たい空気の間で光が曲げられることによって遠くの景色が変わる現象です。

漢字の由来は、蜃(ハマグリ)が気を吐いて楼閣(ビル)を誕生させることから来ています。

蜃気楼の見え方は2種類ある

上位蜃気楼

風景など上に引き伸ばされたり、背中合わせに反転した像がくっついて見えたります。上位蜃気楼は非常にレアで、形も毎回変化します。蜃気楼と言えば、上位蜃気楼のことを指す場合が多いです。冷たい空気の上に暖かい空気が乗ったときに見えます。

富山湾、琵琶湖、オホーツク海など限られた地域でしか観られません。今回、富山湾で見たい蜃気楼が、この上位蜃気楼です。

下位蜃気楼

風景など下に反転した像が見えたり、空の一部が下に映り込んで浮いたように見えます。冷たい空気が暖かい空気の上に重なったときに見られます。下位蜃気楼は、珍しい現象ではなく、全国でも見られます。秋~冬にかけて最もよく見られます。

なぜ、蜃気楼が出現するのか?

気温差により、空気は密度が異なります。密度とは、ある体積でどのくらい物質の量が入っているか表します。温度が低いほど、体積が小さくなるため、空気の密度が上がります。そのため、暖かい空気と冷たい空気は別の物質のようになります。光が異なる物質に通るとき、物質同士の境界線で曲がる性質を持ちます。

とはいえ、空気の密度の差は小さいため、光が温度の境界線を数kmにわたって移動しなければ見られません。

しかし、人間の目には、直進した先にあるように見えます。そのため、実際の像より上、下にずれて見えてしまいます。

上位蜃気楼が発生する条件

必須条件

  • 海水温が気温より低いこと。気温差が大きいほどチャンス大。

  • 気温の層をつくるため、晴れていること。翌日雨の予報であること。

  • 風は穏やかであること。

蜃気楼が見られる時期

富山湾では、上位蜃気楼は3月下旬〜6月上旬が上位蜃気楼の見られるチャンスです。空気は温まりやすく冷めやすいのに対して、水は温まりにくく冷めにくいです。気温は1月から上昇し始めるのに対して、海は熱を吸収してからようやく温まるため、3月になってから水温が上がり始めます。夏を除くと、水温は2ヶ月ほど遅れて気温に近い温度に変化します。

台風が秋になっても発達しやすい原因も、空気と水で温度変化が異なり、水温は10月まで台風が発達するほど高い状態を保っているからです。

3月頃から冬型の気圧配置も緩み始め、大陸からの季節風も弱まります。風が落ち着き、晴れる日が増え、見られるチャンスが上がります。

蜃気楼を見るチャンスを掴む方法

蜃気楼の予報というサイトがあります。条件が当てはまり、出現する確率が高いときに、双眼鏡を持って出掛けてみるのをオススメします。

魚津市では、蜃気楼研究会が存在します。富山湾に面した場所にある蜃気楼観測地点で上位蜃気楼を観測できたら、埋没林博物館に報告したり、メディア向けに映像を提供したり、蜃気楼について観光客に解説するなどの活動が行われています。年会費1000円を支払うだけで、だれでも入会できます。


5月上旬のゴールデンウィークの期間、双眼鏡を持って魚津市の埋没林博物館の近くにある富山湾に面した蜃気楼展望地点に行って観察してみませんか?双眼鏡を使えば、3年連続観測できています。しかし、実際に行かないと見えるかどうかは分かりません。予報サイトを活用して出現確率の高い日に観察してみてはいかがでしょうか?


この記事が参加している募集

物理がすき

よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!