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【ガーランド】:ふやけた光

 まぶしい。
 今日も光に取り残されている。

 この夏頃から、比較的、朝は早く起きられるようになった。ずっと出勤ぎりぎりまで眠っているような体調が、ずいぶんよくなっていたのだ。通っている病院で、カウンセリングの相談をできるくらいに。

 薬物療法が効いて、状態が落ち着いたらカウンセリングを併用できるというのが主治医の見解で、もう1週ほど調子がよければ、予約、という段階まで来ていた。

 そのあと、一気に調子を崩してしまった。
 なぜだったか、考えてみる。ああ、とてもしんどい接客がいくつもいくつも続いたのがきっかけだったと思い出す。

 今朝も、朝食を摂れるくらいに早く目覚めた。モーニングノートを書き、聖書を読み、ディボーションをする。
 その布団の中で、すでに体のこわばりを感じていた。
 それで、起きることを一旦やめて、少し眠る。

 目を覚まし、起き上がる。
 朝食のパンを食べる。
 体の違和感は感じている。

 ルーティーンのようにしているゲームがある。今日はそれを途中で投げ出してしまった。
 これは、ダメだな、と思う。

 出勤の時間が近づくにつれ、体の硬直は強くなる。
 声も出そうにないわたしは、諦めて、欠勤することをメールする。

 昼を越えた今も、まだ、左手はいくらかこわばったままだ。

 昨日、仕事を応募しようとしてた所から、断りの電話があった。わたしの応募が遅く、ちょうど採用者が決まる頃だったのだから仕方がない。面接前に施設の見学が必要な所だったので、見学の前に断りを入れてくれた。
 また、新しい応募先を探さなくては。

 今の職場は一緒に働く人に恵まれている。職務も複雑だけれど、比較的得意な方だ。それでも、体が出勤することを拒否する。

 この病状が発現したのは、高校生の頃だった。朝は起きられず、遅刻して学校に向かう。それでも、校門をくぐれば体は動かなくなるので、保健室に向かう。
 この段階で、適切な病院を受診できていたのなら、もしかしたら早い回復があったのではないかと思う。その一方で、今のこの病名が診断されていたのなら、ずっと病棟にいることになったかもしれないとも思う。

 ラッキーだったな、と思う。
 それでも、毎日、死にたいと思ってしまうけれど。

 冒頭の写真は、わたしのデスク。
 Mac miniに乗っかっているのは、黒ヒツジのサミー(サルミアッキより命名)。面白い物語が出来上がると飛び跳ねて喜ぶ。その隣のデスクライト兼スキャナーの上にいるのは言わずとしれたナインチェ。時々、お菓子食べて、と言って500円玉をくれる。彼らはどちらもジュリちゃんからプレゼントされた子たち。
 さらに隣のスピーカーからは、さて何を流そうか。

 左手のこわばりはだいぶなくなった。それでも、お腹に、ずん、とした重さを感じている。明日も出勤できるか分からない。努めて準備するのだけれど、何が正解なのか、未だに分からない。少なくともゲームができるようにならないと、出かけることは難しい。これ以上眠ると、夜に眠れなくなるだろう。
 何がいいかな? 考えるのは諦めて、音楽を聴こうね。

 スピーカーからイヤフォンに切り替える。ナインチェにもらった500円玉を握りしめてお菓子を買いにゆく。みぃなとルーチを聴きながら歩く。少しふやけた光に安心をする。

 今夜、どんな怪異に会えるだろう。わたしの友だちは、甘いお菓子に目がなく、よだれを垂らせば、それはスズランを生やす。

<セットリスト>

みぃなとルーチ 『tonight is the night』

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