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フィナンシェ国光さんへのアンサーブログ-貢献と報酬、リスクとリターンの設計について

gumi会長で、FiNANCiEの創業者の国光さんのnote「僕はインスタやFacebookがそろそろ終わると思っている」には、エンタメ業界でファンコミュニティ作りにどっぷり浸かっている自分としては大いに刺激を受けました。

僕が3月に始めたティーンスピリットsalon(開始一週間で50名完売)というオンラインサロンがあるのですが、一昨日・昨日サロンにファンコミュニティ作りの分析や、フィナンシェから得たヒントを投稿しました。

サロンでどんな投稿をしてるの? とよく聞かれるので、一部編集の上、転載します。

2019年3月30日(土)  「貢献と報酬の設計、初期ファンへの報い方について」

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おはようございます。今日夜、TWICEの東京ドーム公演に行ってきます。一番興味があるのは、客層です。TWICEはK-POPの中でもアイドル寄りのビジュアル・曲調だと思うのですが、それでも客層が女子中高生メインなら、すごいことだなと。

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さて、今週は立て続けに、2012年に日本で初めてオンラインサロンプラットフォームを作ったたむけんさん、Twitterフォロワー2万人目前でIRが読めるようになるファイナンスラボというサロンオーナーの大手町のランダムウォーカーさんとお会いする機会があり、サロンやファンコミュニティについて激論を交わしてきました。

あと、昨日バズっていたgumi国光さんの僕はインスタやFacebookがそろそろ終わると思っているというnoteもかなり考えさせられる内容でした。

総じて思ったのは、ファンコミュニティ運営は会社運営と通づるところがあるな、と。なので、ファンコミュニティについて話しても、自分の会社に置き換えて「あるある!」と思ってもらえるはずです。

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分かりやすく単純化すると、ファンコミュニティにおけるアーティストやサロンオーナー、会社における社長やマネージャーは、下記2つの手綱捌きが問われると思います。

1)コミュニティにおける貢献度に合わせて報酬をどう与えるか
2)初期にリスクをとって応援してくれた人への見返りの設計をどうするか

順に見ていきましょう。

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1)コミュニティにおける貢献度に合わせて報酬をどう与えるか
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会社で言えば、評価制度がちゃんとしていれば、どんなことを達成したらどう評価されて、役職や給与が上がるか明文化されていると思います。

識学的にみると、その評価制度が客観的なもので上司の主観なく運営されていれば、社長や上司に好かれる必要もないので、求められている成果を達成することに純粋に向かえて仕事で結果が出やすいです。

ファンコミュニティで言えば、このオンラインサロンもそうですし、岡崎体育さんが昨年大炎上したskiyaki社のbitfan、エイベックスが今年夏スタートさせるエンタメコイン、僕の投資先で惨敗してクローズしたonokuwa社のCLAP、それこそ国光さんのFinancieなど、様々な取り組みが行われています。

どのサービスも、コミュニティへの貢献をどうトラッキングして、報酬を付与するかに苦慮した跡が見られます。例えば、そのアーティストを応援するようなツイートをしたら、独自ポイントが付与されるなどですね。

会社と違い、ファンコミュニティでは応援する側はお金をもらってではなく、むしろ払って関わっているので、ここの貢献と報酬の設計を間違えたら大炎上します。

岡崎体育さんの件も、本来は自分のことが好きで応援していたら気づかないうちにポイントが溜まるみたいな世界観をやりたかったようですが、サービスの設計やマーケティングが稚拙で、「ファンに優劣をつけるな!」みたいになってしまいました。

はあちゅうサロンも、金払ってタダ働きさせる設計しているのをほのめかすような発言をオーナーがしてしまい、はあちゅうさんの元々のキャラもあいまって大炎上しています。

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これらの炎上を踏まえ、僕の中ではすでにファンコミュニティの設計のポイントが見えています。

それは、
・間接的な貢献をどうトラッキングするか
・貢献に対する報酬が明文化され、実運用されているか
・その報酬はいやらしくないか
の3点だと思っています。

まず、「間接的な貢献をどうトラッキングするか」ですが、これは会社組織でも同じだと思うのですが、貢献ってはっきり目に見えるものもありますが、見えづらい間接的な貢献もあります。

サッカーで例えると、ラストパスを出したとかシュートを決めたとかは分かりやすい貢献ですが、敵を引き付けるためにサイドを走ってペナルティエリアのスペースを作ったとかも間接的な貢献なんですよね。

この辺の見えづらい貢献を拾うのが下手だと、「あのアピールうまい奴、また上司に取り入ってるよ〜」みたいな陰口が蔓延してしまう組織になってしまいます。

キンコン西野さんが、『#ニシノクラウン』を付けて、Instagramにアップしてくださった方全員に『いいね』を押しにいきます、としたのは、ハッシュタグをつけてくれれば貢献をトラッキングできるからですし、

Webマーケティング手法のアフィリエイトがいまだにワークしているのは、コンバージョンタグを仕込んでどのメディアが何人送客したかの貢献をトラッキングできるからです。

直接・間接含め、トラッキングできる貢献が何かに自覚的にならなければいけません。

次に、「貢献に対する報酬が明文化され、実運用されているか」ですが、人間は弱い生き物なので、これをやったらこれが得られるというのが明文化されていて、かつ一回貢献したらちゃんと報酬が得られたという成功体験がないと、なかなか貢献と報酬を繰り返すスパイラルに入ってくれません。

明文化されていないと、上司やコミュニティーオーナーによる恣意性が入ってしまいますし、実例がないと信頼されません。

最後に、「その報酬はいやらしくないか」ですが、会社であれば役職や給与で報酬が与えられるので分かりやすいですが、ファンコミュニティだと仕事として応援しているわけではないので難易度が高いです。

たまにオンラインサロンでも、一番貢献してくれたサロンメンバーを月間MVPとして表彰して、役職みたいなものを与えたりしているようですが、若干気持ち悪い(外から見ると)。

貢献してくれたファンにお金をあげると仕事っぽくなって冷めてしまうので、いやらしくない感謝・認知・承認がメインの報酬でよいのではないでしょうか。

結論、

・見えづらい貢献も含めトラッキングできる仕組みを作る
・報酬は感謝・認知・承認で与える
・どんな貢献をしたらどんな感謝・認知・承認がもらえるかを明文化するなり、仕込みでもいいので事例を作って、何をしたら何がもらえるかを予測できるようにする

がファンコミュニティ運営の大原則かなと思います。

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2)初期にリスクをとって応援してくれた人への見返りの設計をどうするか
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これは先ほどの国光さんのnoteにこのようにあります。

ただ、既存のファンエコノミーには最大の欠点があります。それは「初期から応援したファンにメリットがない」ということです。ここはすごく大きな問題です。(中略)

単純な「友だち」というだけだと、ここまで自分の時間をかけて応援はできません。でもそこは、一方でビジネスがしっかり絡んでいるから応援できるのです。逆に、ビジネスだからといって、嫌いだったら応援できない。(中略)

つまり「夢」と「お金」の両方あるから、完全に運命共同体としてコミットできるのです。(中略)

これまでのオンラインサロンや、ライブ配信におけるギフティングプラットフォームなどは、 言い方は悪いでのすが、ある意味、有名な人がファンから搾取する感じに近かった。ファンが応援しても見返りがないのです。そこをぼくらは変えたいのです。(中略)

しかも、さらにそのヒーローの人気が出てくると、トークンの価値も上がってうれしい。

分かりやすく言うと、初期に誰かのトークンを買うと、その後その人の人気が出たらトークンの価値が上がり、それを売却して売却益を得られるということです。

たぶん、株式会社の資本政策における、「初期投資家はバリュエーション低く入れるので、リスクを取った分だけリターンがある」を個人でもうまく実現しようとしたのだと思いますが、僕はこれはワークしないと思っています。

valuやタイムバンクもそうですが、貢献に対する報酬で得られたトークンに「換金性」を入れた瞬間に、お金儲けを期待するユーザーが入ってきてしまい、良質なコミュニティを築くことは困難でしょう。

この辺り、valu事件の反省を生かして、Financieでは買い占めができないような仕組みを入れているようですが、そういう問題なのかな?と。そもそも後でお金に変える目的のユーザー(ファンではない)がいる限り、コミュニティは壊れてしまう気がします。

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僕が思う「初期にリスクをとって応援してくれた人への見返りの設計」ですが、「カートコバーンがパジャマで出たNirvanaのクラブチッタ川崎での初来日公演を見たという人は10万人いる」ということにヒントがある気がします。

※当時のクラブチッタ川崎はキャパ500くらいとのこと、念のため

つまり、誰もがその後売れるアーティストを初期から応援していたことをどやりたいという気持ちがあるので、それができるような設計を運営側がするべきかなと思っています。

つまり、金銭での報酬より、それ自体が自慢できるような報酬を与えた方が楽しいですし、本質的かなと思います。

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長くなりすぎました。今日、

1)コミュニティにおける貢献度に合わせてどう報酬を与えるか
2)初期にリスクをとって応援してくれた人への見返りの設計をどうするか

という2つの分析をしてきましたが、このサロンや音楽活動で具体的にどんなことを仕掛けるかは、明日また投稿します。

2019年3月31日(日)  「コミュニティが勝つことで熱狂が生まれる」

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おはようございます。昨日、TWICE東京ドーム公演行ってきました。客層は老若男女という感じで、若い中高生も男女両方いるし、国民的スターという言い方がふさわしいです。アイドルというより、ディズニーでした。女の子が憧れる要素が全てつまっており、宝石箱をひっくり返したみたいなキラキラ感がある。最高でした。

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昨日は、ファンコミュニティ運営の論点について分析しました。

1)コミュニティにおける貢献度に合わせて報酬をどう与えるか
・見えづらい貢献も含めトラッキングできる仕組みを作る
・報酬は感謝・認知・承認で与える
・どんな貢献をしたらどんな感謝・認知・承認がもらえるかを明文化するなり、仕込みでもいいので事例を作って、何をしたら何がもらえるかを予測できるようにする

2)初期にリスクをとって応援してくれた人への見返りの設計をどうするか
・国光さんのフィナンシェのような金銭メリットはワークしないのでは
・売れるアーティストを初期から応援していたことを自慢できるようにしてあげる

具体的に、このサロンや音楽活動で具体的にどんなことを仕掛けるかお話します。

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1)コミュニティにおける貢献度に合わせて報酬をどう与えるか
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まず、ファンがオンライン・オフライン、かつ全世界に広がった場合、見えづらい貢献を公平に拾うのはそもそも無理がある気がします。

なので、その時にアーティストやサロンオーナーが抱えている課題で、これをファンにやってもらえたら確実にコミュニティが伸びると思われるものを規定して、それをトラッキングできる状態でお願いする、と割り切るしかないと思います。

また、ファンの貢献があったら、目標を達成できたり(サロンやクラウドファンディングで言えば目標金額や目標人数を達成、ワンマンライブで言えば前売りチケットソールドアウトなど)、ランキングをハックできたり(Amazonビジネス書ランキング一位、オリコンデイリーランキング一位など)するように設計することで、勝っているコミュニティに所属していることに誇りを持ってもらえます。

キンコン西野さんや、箕輪さんの手法はやはりすごいと思います。

・SNSでシェアしてくれたら「いいね」を押しに行く(認知、承認を与える)
・拡散されてAmazonビジネス書ランキングで一位をとる(達成感、成功体験を与える)
・一位を取れたことをコミュニティで盛り上がる(感謝を与える)

他の手法もあるかもしれませんが、この「オンライン行動をトラッキング」「ファンが貢献することで何かが達成される」という点がポイントだと思います。

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2)初期にリスクをとって応援してくれた人への見返りの設計をどうするか
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音楽のアーティストの場合、初期から応援していたということを強く感じられるのは、なんといっても「初期のライブに足を運んだ」ではないでしょうか。

「米津玄師の曲、ボカロ時代からニコニコで聞いてたよ〜」と言っても「ふーん」で終わってしまいますが、「米津玄師の2014年代官山UNIT初ワンマン行ったわ」だと「まじか!どんな感じだったの?」と聞きたくなります。

これはワークするかわかりませんが、(このアイディアはサロンのみ公開)。

長期目線で取り組む必要はありますが、それがファンの間で習慣化すれば、かなり面白いことになるのではと思います。

また、金銭的メリットも、トークンの売却益のような形ではなく、オンラインサロンなら初期50人は月額1,000円だが、追加50人は月額1,200円にするなど早期購入特典をつけたり、アーティストのファンクラブなら初期に入ると年間5,000円だが、ある程度人気が出てきてからは年間6,000円にする、みたいなのは合理性があると思います。

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コメントください!
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2日間に渡ってファンコミュニティ運営のポイントについて考えてきました。

1)コミュニティにおける貢献度に合わせて報酬をどう与えるか
2)初期にリスクをとって応援してくれた人への見返りの設計をどうするか

で、これをやったらワークするんじゃないか、みたいなアイディアがあったらコメントお願いします。

良いなと思うものがあったら、すぐに取り入れさせていただきます。

貢献と報酬、リスクとリターンの設計まとめ

こんな感じの投稿を、facebookグループでほぼ毎朝投稿しています。サロンを始めてみて、こんなにクローズドのコミュニティがあることが精神的に豊かになるんだ、と驚いています。もっと早く始めてもよかった。

貢献と報酬の設計や、リスク(初期に入った、多額の投資をした)とリターンの設計は、人間が集まる組織・コミュニティの永遠の課題であり、古今東西いろんな工夫がなされていると思います。

仕事としてお金をもらって働く会社組織でも、仕事ではなくお金をむしろ払って貢献するファンコミュニティでも、これからいろんな形が生まれていくことでしょう。

そういう意味で、ちゃんとサービスにしてリリースされたフィナンシェはすごいですし、私もサロンや音楽活動で新しくて楽しいコミュニティの形を提示できればと思っています。

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