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【行間を読む】猪木・川合「量子力学I」p. 281 (合流型超幾何微分方程式の極限解析)

キーワード

  • 微分方程式

  • 解の零点での挙動

  • 合流型超幾何微分方程式

該当箇所

1変数$${z}$$の関数$${u(z)}$$に対する微分方程式で、

$$
\left( z \dfrac{d^2}{dz^2} + (\gamma-z) \dfrac{d}{dz} - \alpha \right)u=0\qquad(A.16)
$$

の形のものを合流型超幾何微分方程式という。$${z}$$が$${0}$$および無限大のまわりにあるときは、(A.16) は、

$$
\begin{array}{}\left(z\dfrac{d^2}{dz^2}+\gamma\dfrac{d}{dz}\right)u=0\qquad(A.17a)\\\left(\dfrac{d^2}{dz^2}-\dfrac{d}{dz}\right)u=0\qquad(A.17b)\end{array}
$$

となるから、1次独立な2つの解は$${z\sim0}$$のまわりでは、

$$
u\sim z^0,\quad z^{1-\gamma}\quad (z\sim0)\qquad(A.18a)
$$

疑問

(A.17a) はどんな極限操作によって導出されたのか。

解説

$${z}$$についての次数を考慮すれば良い。

関数$${u}$$をTaylor級数で表して、最低次の項が$${z^\beta}$$であるとする。$${z^\beta}$$を(A.16)に代入すると

$$
\beta(\beta-1)z^{\beta-1}+\gamma\beta z^{\beta-1}-\beta z^\beta-\alpha z^\beta=\beta(\beta+\gamma-1)z^{\beta-1}+o(z^{\beta-1})=0
$$

であり、これを$${\beta}$$について解けば(A.18a)を得る。

ここから遡って考えれば、(A.17a)の意味も自ずとわかる。(A.17a)は(A.16)の中で次数が最低となるものを選んで持ってきている。

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