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デジタルでのアナログ的レタッチ作業

20年ほど過去に作業したとてもアナログ的な作業です。
多色刷りでの山越阿弥陀図の製版作業。山越阿弥陀図屏風を撮影したカラーポジからの4色分解。色合いを再現するための補色としての色成分の抽出分色作業です。どこにどんな色を使いたいかの指示をもらっての作業でした。

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4色分解した画像がこんな感じです。天地1008ミリの画像データ。金色や地色の色味がうまく出ていません。金のラインや補色の色成分を抽出していきます。Photoshopでデジタル補正していくのですが、PhotoshopもCSになる前だったし、うまい方法も分からずひたすら金のラインをブラシツールを使ってなぞっていました。データをチャンネル表示してもほぼラインや調子が見えない。そのため半分想像しながら描いた。アナログレタッチ時代に筆を使ってオペークで描いている感じそのまま。当時ペンタブとかもなかったし。(今でも使っていませんが)マウスドラッグで描くと線の太さが一定になってしまう。ブラシサイズを頻繁に変えながらちまちま作業していた。遠目に見るとましだけどデータを拡大して見るとすごく線が安っぽい。まあいろんな色を重ねるのでごまかしはできるか仕方ないって感じだった。あまりに時間がかかるためMOディスクでデータを自宅に持ち帰って自宅でも作業していた。当時の自宅のマシンはディスプレイ一体型の小さなiMACだった。モニタ小さすぎてさらに時間がかかった。

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金のラインの手描き。

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補色版の抽出。

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色を重ねて見る。正面の阿弥陀如来像の他に両側に観音勢至像がある。

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刷り色はプロセス4色ベースに、赤茶、肌部分の薄い金色、円光部分の茶色い金、地色の濃紺、頭部分の群青、胡粉白、緑、赤、赤っぽいグレー、茶、茶緑、そしてシルク金、金の汚れを再現する金の上の補色だったようだ。(DCSファイルに残されていたチャンネル名より)

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実際に印刷再現出力をしたのは自社でなくデータ納品の仕事で、すごく喜ばれたのですが印刷されたものを確認できてません。とても残念です。

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