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写真製版会社でアナログレタッチ。DTP黎明期に画像処理・編集・出力オペレーター、ときど…

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写真製版会社でアナログレタッチ。DTP黎明期に画像処理・編集・出力オペレーター、ときどきアナログレタッチ。印刷会社勤務。現在は直接(ときどきアシスト)実務は離れてデータチェックや進行管理。

最近の記事

ラインイラストのトラップ処理

以前にも記事として書いたけれど面倒な製版処理のトラップ処理。割と処理を見逃されがちなものに、キャラクターなどの太めのイラスト罫やスミのラインで描かれたイラストがある。スミ線の太さやデータの作り方によっては、そのままブラックオーバープリントやRIPでの自動オーバープリント処理だけで大丈夫な事もある。 例えばこのカブトのイラスト。 イラストレーターの場合、一つのオブジェクトに塗りと線を設定すると、構造的に線が上、塗りが下にになり、線の位置はデフォルトで「中央に揃える」になる。

    • 訂正作業とデジタル検版

      訂正作業時のルールとして、画像処理者がその作業を行なったチェックとしてブルーのマーカーを、編集・出力作業者が処理したチェックとして赤のマーカーでチェックする。最後に検版作業者が確認したチェックとしてグリーンのマーカーでチェックを入れるといった取り決めをしている。チェックが入っていない印刷原稿が印刷現場に回ることが稀にあり、印刷機長から確認の連絡が入ることもあり、マーカーチェックは一定の成果をあげていると思っている。 以前は初校を出した後の訂正の際に、作業者が赤字を見落とさな

      • 下位バージョンで開くのはだめ

        ちょっと信じられない製版ミスが起きたので戒めをこめて覚え書き。 帰校した校正赤字に「写真が90度回転して変倍がかかっている」と指摘があった。入稿時のデータを確認すると問題はなく、正しい状態で出力紙とデジタル検版用のPDFが添付されていた。「なぜこんな事になるのか原因を教えて欲しい」「デジタル検版で見つけられないのか」と。 入稿時のデータと出力データの検証を行なった。 一目みておかしい状態で出校されていることがまずダメ。カンプとの照合やプルーフでの色チェックなど目視で見つ

        • 2023年の出来事

          もうすぐ2023年が終わろうとしている。今年は長いこと生きてきて例年にはなかった出来事が色々あったので少し書き留めておく。 1月 昨年の夏頃から妻が引越しをしたいと言い出して、ずっと動き回って決めた新居が完成して下見。毎週末に不動産屋と打ち合わせ、銀行に行ったり自宅の整理、ものの処分に週末を費やす。マンションのローンが終わって少しゆとりができて、さぁこれから色々できるだろう、老後のお金も残さないとと思っていたのにまた借金か‥ 引越しをするに至るまでにはいろいろな事があり、ち

        ラインイラストのトラップ処理

          分版プレビューとオーバープリントプレビュー

          最近オーバープリントにまつわる印刷事故が繰り返し起こった。事故のたびに改善策を考えて対応してきた筈だけど相変わらず同じような事故が起きているので備忘録的に書いてみる。もっと分版プレビューを有効的に活用してミスを減らしていきましょうという話です。オーバープリントとか分版って何?という方もおられるかもしれませんが理解されている前提で記事を書いていきます。 オーバープリント=色版の上に色版を乗せる設定です。透明機能の乗算とよく似ていますが別物です。オーバープリントや乗算との違いに

          分版プレビューとオーバープリントプレビュー

          +DESIGNING vol 56に掲載されました

          2023年9月15日発売の+DESIGNING volume56に掲載の@yamo74さんの記事に、僕の書いた記事のイラストを採用して掲載して頂きました。拙いイラストで畏れ多いのですが、実際に印刷物として形になったものを手に取るとやはり嬉しい。 DTP以前のアナログ写真製版時代の作業工程や製版技術などの記載は、現在WEB検索をかけてみてもほとんど見つけられなくなっています。そんな中で印刷物という形で残していただけて感謝しています。 デジタルネイティブ世代にアナログの知識や

          +DESIGNING vol 56に掲載されました

          線数ゲージ

          印刷における線数(スクリーン線数)というのは網点の細かさを示すもので、1インチあたりに幾つの網点が入るのかを示します。lines per inch でlpiとか単にLとか線と表現したりします。ここであれこれ僕が書くより吉田印刷所様が書かれている記事を読んでいただいた方が早いかもしれません。 え〜と、ここで僕が書こうと思ったのは線数の説明ではなくて、その線数を測るツールとしての線数ゲージ(線数メーター)のことです。見たことも聞いたことも無いという人も多いと思います。色々種類が

          線数ゲージ

          手作業での面付け作業

          最近よく入稿されるデータで、入れ子面付けのインデザインデータがある。インデザインを使って何種類もの表裏のあるデータを手作業で面付けしてある。 データを見ていると表裏が一つのアートボードに付いているイラレデータを手作業でインデザインのフレームに表裏面を配置時にオフセットして貼りこんである。 しかし時々表裏面付けが間違っている時がある。(そらそうやろなと思う)10数年前に自分がやっていた作業を思い出した。ある日上司が下記のような面付けをする仕事があると入れ子になった多丁面付けの

          手作業での面付け作業

          黒バックと写真のトラップ処理

          製版処理でのトラップ処理というのを以前に書いたことがある。 最初にトラップ処理の必要性を教えられたのはアナログフィルム製版時代。写真製版というかアナログレタッチの時代ではフィルムをネガからポジに反転する時に、ルミラーベースの厚みを通して露光されることで境界部分がわずかにかぶっていい感じにトラップかけたみたいになる。トラッップ(当時はかぶせと言っていた)が特に必要なスミベタとか特色版がある時などは反転時に露光強めたり、フィルムとの間にベースを1枚追加して反転していた。これも以前

          黒バックと写真のトラップ処理

          画像の貼り替え作業

          先日起きた製版作業のミス。インデザインドキュメントの作業で初校を提出後、訂正でレイアウト差し替え作業を行なった。初校時に画像の貼り替えを行なっており、再入稿データに初校時に貼り込んだ画像をコピペして作業した。初校の実画像の貼りこまれたフレームを選択コピーして、編集メニュー/元の位置にペーストで新しいレイアウトの同じ位置に画像をコピーしたのだが、レイヤーの最前面にペーストされたため画像の中の白抜き文字が隠れてしまった。 (以下のサンプル画像ですが、見た目がほとんど変わらない画

          画像の貼り替え作業

          文字への編掛け

          ここ最近(2022年2月)Twitterで文字に網掛けするとジャギって見えるというツイートを多く見かけたので投稿。これは数十年前のアナログレタッチの時代から言われていたことで、文字や罫線に網伏せすると「印刷された罫線や文字がかすれてみえる」とか「線がガタガタになっている」とか言われることが多かった。文字や罫線だけでなく斜めラインの塗りのエッジ部分などもよく指摘されていました。当時の印刷線数はほぼ175線で(今も主流ですが)少し目のいい人なら肉眼でも網点が確認できます。さらに当

          文字への編掛け

          入稿原稿の作り方について

          ちょっと自分用の備忘録も兼ねて営業や工務の方など製版部に作業依頼をされる方に入稿する際にお願いしたいことを書きます。会社によって作業形態も様々だと思いますのであくまで参考程度として。 納期や仕様はきちんと伝えてください。 品質要求度の高いものは画像処理者に先方の指示が正しく伝わるように打ち合わせてください。 作業内容は指示書や、原稿・カンプなどに読みやすく書き込んで下さい。直接書き込めなくて付箋等に書き込む場合はテープで止めるなど剥がれ落ちないように気をつけてください。

          入稿原稿の作り方について

          グラデーションとかぼかしとか

          少し前に出した校正刷でのこと。グラデーションの境界線部分が白っぽくなりボケ足も短くなってすごく不自然な仕上がりになってしまっていた。 特色Aを特色Bの上にガウスぼかしで乗せたグラデーションで、入稿データはRGBプレビューで作成されていた。たしかにRGBプレビューのままだと綺麗に馴染んで見える。しかしCMYKプレビュー、そしてオーバープリントプレビューにすると色の境界部分が白っぽくなってしまった。データをモニターで見ているだけでもちょっとまずいのが確認できる。 このデータをF

          グラデーションとかぼかしとか

          トラップ処理について

          トラップは印刷時の見当ズレにより色と色の間に隙間がでたり、白抜きやベタなどの部分に余計な色が覗いてしまう現象を回避する方法のひとつです。いまのCTPセッターでは版を焼き付ける際にファンナウトする機能もあり見当調整も出来ますが、いかに印刷機の性能が良くなったとはいえ見当がずれる要因は様々で、ノックアウトのままだと印刷時の見当ズレを完全になくすことは困難です。データで前処理しておくことでトラブルを回避しようとするものです。ファンナウトもうまくいかなければ刷版の出し直しになり時間と

          トラップ処理について

          デジタルでのアナログ的レタッチ作業

          20年ほど過去に作業したとてもアナログ的な作業です。 多色刷りでの山越阿弥陀図の製版作業。山越阿弥陀図屏風を撮影したカラーポジからの4色分解。色合いを再現するための補色としての色成分の抽出分色作業です。どこにどんな色を使いたいかの指示をもらっての作業でした。 4色分解した画像がこんな感じです。天地1008ミリの画像データ。金色や地色の色味がうまく出ていません。金のラインや補色の色成分を抽出していきます。Photoshopでデジタル補正していくのですが、PhotoshopもC

          デジタルでのアナログ的レタッチ作業

          製版作業雑感

          先日ちょっとした印刷事故が起きた。インデザインで作成されたパンフ。プロセスカラーの文字にオーバープリントが設定されていた箇所があった。同じ色成分が重なっていて色の変化が起きないところもあったが、一部の文字や罫線で下網が加算されて色が変化してしまった。全く文字が読めなくなった部分もあった。 下版前に先方に確認用PDFを送信してチェックしてもらい、OK後の下版・印刷。 しかし刷了後に不具合発覚。調べてみると初校提出時にすでに色が変わった状態で印刷されていた。確認用PDFにもオー

          製版作業雑感