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#4 こんなことがあった(姉と弟)

兄弟姉妹関係で、長子として生まれた子、末子として生まれた子、中間子として生まれた子、そして一人っ子、それぞれにメリットデメリットがあると思う。

ただ、そういう兄弟姉妹関係が親と異なる場合は、互いの状況を十分に理解できないことに由来する葛藤みたいなものが生じやすいと思う。

私の場合、父は四人男だけ兄弟の三男、母は兄弟姉妹四人の中の三番目に生まれた次女。この情報だけでも、長子や末子や一人っ子として特に目をかけられた子ではないことはわかる。

他方、私は二人姉弟の長子の長女。

そのため、母親からは自分の助手として期待されたためか、育児(弟の世話)や家事、社交でいろいろ手伝わされては、一定程度の期待に応えられない場合は「使えない」「役たたず」と罵られたり、あるいは自分の姉を連想するためか、「上の子は得をしている」「親から目をかけられていてズルい」「親の手伝いをしている分、いろいろ経験できていいじゃないか」と言われたりしたものだった。

兄弟姉妹の上の子に対する憧れみたいなものと恨みや僻みみたいなものを自分が産んだ子である長子の私に突きつけてられても困るよなと何度も思ったものだった。

手伝いをしなくて済むなら別にしたくはないんですけどね、とか、子どもは私以外にもう一人いるんだからそちらにもそれを言ったらいいじゃないか、とか、手伝わせるならきちんと教えるなり訓練するなりしてからにしてよ、などと思いつつ、言っても仕方がないことは子どもなりに分かっていて言わなかった。

もともと必要が無いことはあまり言わない言葉数が少ないタイプなので、真逆の言葉が暴力みたいな人のターゲットになりやすいのだと思う。いちいち傷ついたり、傷ついたことを顔に出すタイプではなかったことを利用されて、私自身やそれ以外の人に対する暴言や毒を含む言葉をずっと聞かされながらも心を壊さずに無事に生きてきたのは、それなりに聞き流す能力があったからだと思う。

ただ、言われたことをそこそこ記憶しているので、何も無かったわけではないし、さすがに私も年をとってきてそういう害悪についての抵抗力が弱くなってきていると自覚しているので、最近は私に毒害を及ぼしかねない人とは距離を置くことをかなり意識するようにしている。

自分がどういうことしているか意識しない母は、子どもを持てるのであれば一人っ子でいいと思い、実際に諸事情もあって子どもは一人しか持たなかった私に対して、何度も何度も「子どもは何人か産めばいいのに、上の子が下の子を世話するので便利よー」と言ってみたり、それと同時に「あんたが(弟に)きつくて(弟が)気の毒だった」と言ってみたりするので、それってあなたは親として二人の子どもの世話をすることを怠って上の子にそういう面倒を押し付けたんじゃないか、それって親としてどうなんだ、と思いつつ、それでもやはり言っても無駄なことは言わないので、子ども時代からずっとそうだが、何も反論しないのだった。

ただ、私だって選べるならば一人っ子か、あるいは上に頼れる兄や姉が欲しかったと思うのだった。

親が自分のどちらも自分の子であるにもかかわらず、姉弟間で対応を変えたりするのは諸悪の根源なので、ほんと、して欲しくなかった。