共通項は彼の美学

知人のご子息が数学者になりたいのだという。

学びたい、を通り越してというか
聞けば既に年齢相応の学びをとうに越え
しかしだからと言ってその先を学んだとしてもおそらく生業にはならなさそうな域にまで達しているらしい。

凡人は考える。

数字とか計算とかはとんと苦手で出来れば誰かにやってほしいけれど
うまく出来たものでちゃんと、それだけをやっていたいという人もいるのだな。

だけど彼は他の事は苦手らしく
他に得意なことといえば超絶技巧のピアノ曲を奏でることだとか。
それも難易度が高いことで有名なクラシックの某曲、とかではなくて
知る人の限られたとあるゲームの曲だとか

数学者達は得てして、数式について 美しい という表現を使うものだけど
彼の欲するそこらには落ちてない域の数式と
そこらでは習う事もない超絶技巧のピアノ譜は似ているのだろうな

きっと彼にとっては同じように美しいに違いない。

自分の中にないものは見つけられない。
自分で見つけられないものはわからない。

未知のものには出会いたいと憧れることすら出来ないのだから
知るには

何があるのかいるのか、いつ来るかひょっとしたら来ないのかも
なにひとつ分からない
奇跡のようなタイミングに目を光らせておく
または
読み、伝え聞くかして辛うじてその存在だけを識るほかない


彼に見えているものはなんだろう。
私にはつかまえきれないそれは、どんなふうに美しいものだろう。

会ったことのない若者の話を聞くにつけ
是非ともいつか直接
それを語る彼の言葉を聞いてみたいとひとりワクワクしている次第。




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