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世界の希望と絶望が交差する時、あなたはどちらを選ぶのか_第5話

「いよいよか。」

凛は引き金に指を掛けた。

「敵はこの洞窟に在り!隅まで探せ!」

敵の司令官の号令で一斉に洞窟内部に散らばっていく。

「自分入り口付近に居るのはあくまで援軍を止めるため。自分が出る番は今ではない」

凛は自分にそう言い聞かせると気配を消した。

一方洞窟の奥では、高所に陣取りくる敵を弓で射っていた。

「なんだよこの数は!どれだけ倒しても次が来る!」

「そんなこと言ってる暇あるかよ!」

経験したことのない数の敵に混乱していた。今までせいぜい十数人しかいなかったのが100人前後に増えたのだからそれも仕方ない話ではある。

暫くしても返ってくる敵兵はいなかった。恐らく全員倒せたのであろう

「シルヴォさん!敵全員倒しました!」

そんな声が奥から聞こえた。その時、

「突入!」

敵の援軍の突入号令が聞こえた。

引き金を引いて、銃を連射する。慣れた手つきで相手を倒していくが、恐らく150人程はいるであろう。全然数が減らない。
「おい!ここにいるぞ!」

敵兵の合図で、凛の方向に一斉に弓が向けられた。

そろそろ弾が尽きるという時に災難が降りかかってきた。

「この場は後退あるのみか…」

凛は洞窟の奥の方に走っていった。

奥の方に走っていくと、エイラとシルヴォが話していた。

「お2人、敵の数が多すぎます。弾が尽きかけたので急いできました…」

凜はとっくに息が切れていた。

「分かった。洞窟の入り口が危なくなければ状況を逐一報告して」

エイラはそう言うと、洞窟の一番広い所に出た。

凜は急いで先程の穴に戻ると、目の前の光景に絶句した。

「なんだこの敵の数は…」

目の前の穴の入り口は敵兵で埋め尽くされ、その前には焚火によってバリケードが出来ていた。

慌ててエイラとシルヴォに接触しようと急いでいくと、20人程の人が倒れていた。

エイラとシルヴォは戸惑っていた。

「大変です!入り口が塞がれました!…」

凜はそう報告した。

エイラは少しの沈黙の後

「ここから脱出するよ!」

と周りに言った。それから洞窟内のいろんなところに散らばった人達を集めた。

「ここからどうにかして脱出する」

エイラがそう言うと、一人が

「どうやってやるんですか!火なんて飛び越えられませんよあの高さ」

と、不安そうに言った。

場には不穏な空気が漂っている。

「分かりました。私が行きます。私ならあの敵兵と火を突破できます」

奥の方から1人が名乗り出た。

するとエイラは

「そうね。これはあなたが適任。分かった。後方からの援護は任せて」

そういうと周りの全員に

「準備するよ!」と声をかけた。

「誰なんだろう、あの人は」

凜はこの状況を突破できる人がいると言う事を不思議に思いながら、持っていた残りの弾をすべて銃に入れた。

「さぁ、行くよ!」

その合図とともに、一人の少女が走り出した。